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最近ちょっとお疲れ気味

中村繁夫「レアメタル超入門 現代の山師が挑む魑魅魍魎の世界」(幻冬社新書)

2009-06-01 23:55:08 | 読書
 中村繁夫「レアメタル超入門 現代の山師が挑む魑魅魍魎の世界」(幻冬社新書)を読みました。実に通俗的な題名ですが、内容は非常に真面目かつ日本の産業にとって重要です。
 中村氏の著作は、本書のほかにも以前「レアメタル資源争奪戦―ハイテク日本の生命線を守れ!」という本も読み、このブログでも紹介させていただきました(こちら)。「レアメタル資源争奪戦」は今回の金融危機以前、本書はそれ以後の出版ということで、執筆時点での世界経済の情勢は大きく異なります。それでも金融危機以後もレアメタルの希少性には変わりはなく、むしろ自動車のハイブリッド化への移行が本格化した現在の方が、日本にとってレアメタル資源確保の重要性が増していると著者は強調しています。
 また、本書では「レアメタル資源争奪戦」では描かれなかった、天才的な投機の才能を発揮するレアメタル・トレーダーたち(ユダヤ系が多い)の姿や、まるで劇画のようなマフィアや反政府組織による資源争奪戦の模様が描かれており、興味をそそられます。まさに生き馬の目を抜くような世界、魑魅魍魎たちのうごめく世界で、いかに日本は産業の「ビタミン」、「アキレス腱」であるレアメタルを確保していくのか、本書が投げかける課題は重いと思わざるを得ません。