歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

八潮に行ってきました

2008-05-15 19:17:18 | Weblog
 金型メーカーのヒアリングのため埼玉県八潮市を訪れました。つくばエクスプレスには初めて乗りましたが、速くて快適ですね。
 八潮を訪れたのも初めてなのですが、金型、成形などの町工場が多く見られる町でした。かつて都内の城東地区で操業していた工場が、土地が手狭になったり、騒音や振動の問題でここに移転しました、という例が多いのでしょうか。

四川省大地震に思う

2008-05-14 23:56:00 | ニュース・雑感
 四川省大地震の被害状況が明らかになってきましたが、死者は2万人近くに達しようとしています(特集:四川省大地震(読売新聞))。これはひどいです。震源地に近く、多くの死者を出している綿陽市には2005年に出張で訪れたことがあるだけに、今回の震災は他人事ではありません。
 
 綿陽は省都の成都から高速バスで1時間30分ほど北上したところにある地方都市です。四川省という内陸部にある聞いたことのない町ということで、いったいどんなところだろうか、と当時は内心ちょっと不安だったのですが、今まで訪問したことのある中国の町の中でも際だって整然としていたので驚きました。
 実はこの町は、宇宙や軍事と深い関係のある研究所、企業が集積した町なのです。おそらくインフラ整備などで国から様々な優遇を受けていたのでしょう。私がこの町で訪問したのが、長虹(チャンホン)という中国最大のテレビメーカーなのですが、長虹も元々は軍需工場を起源とした企業です。


 長虹の本社です。中国最大ですから、世界最大ですね。


 この時の出張ではかなり時間が余ったので、タクシーをチャーターし、研究所が集積する「中国科技城」という地域をぐるりと回ってみました。本来は外国人の立ち入りが制限されている地域に勝手に入り込んだので、堂々と写真を撮ることができなかったのですが、研究棟と研究者の宿舎が建ち並び、まるで筑波のようなところでした。
 なお、綿陽だけでなく、隣の徳陽という町にも軍事関係の施設や工場が集積していると聞いています。


 まだ時間が余ったので、三国志とゆかりの深いお寺にも行ってみました。ここは良いところでした。なかなか雰囲気の良い寺でしたし、中国の観光地にしては清掃が行き届いており、しつこい土産物売りもおらず、ゆっくり散策することができました。


 お寺から眺めた綿陽の町です。今回の震災で倒壊した建物もあったことでしょう。

 亡くなられた方々にはご冥福をお祈りすると共に、できるだけ早く被災地が復興することを願いたいと思います。

キヤノンモールドを訪問してきました

2008-05-13 23:17:12 | Weblog
 茨城県笠間市のキヤノンモールド株式会社を訪問してきました。精密小物のプラスチック射出成形用金型の分野ではおそらく日本でトップクラスのメーカーです。ここはもともとイガリモールド株式会社という金型専業メーカーだったのですが、2004年にキヤノンの子会社となり現在に至っています。

 同社はキヤノンの金型内製化戦略を担い、キヤノンの仕事のみをやっているとばかり思っていました。しかしお話を伺ってみると、キヤノン以外の仕事の方が多く、カメラ、OA機器だけでなく、自動車部品、医療機器、食品容器などを成形する金型も生産しています。見るからに難しそうな複雑形状の製品の金型も手がける一方、ヨーグルトやミント菓子の容器、歯ブラシなど「この手のものを成形する金型、中国とかで作るんじゃないの?」と思ってしまう金型も手がけているので、面白いなと思ったのですが、後者のような製品を高精度で安定して大量生産する金型を作るには、実は大変な技術が必要だということを知りました。

 工場の中も拝見しましたが、高い精度を実現するために最高の環境が用意されている金型工場だと思いました。操業は1直なのですが、精度に狂いが生じないように、工場内は空調によって24時間365日温度が一定に保たれています。そして休みの日も空調は止められることはありません。また、同様の理由でダイセットは内製化され、熱処理も内部で行われています。もちろんそのための設備は最高のものが用意されており、特にダイセットの工場には1台1億円はするような大型のマシニングセンタがずらりと並んでいました。

 しかし一番印象に残るのが、工場入口に掲げられた「金型」と書かれたこの看板です。イガリモールド時代からのもので、金型というものを強くアピールするために掲げられたものなのですが、それにしても目立ちます。かつてこれを中華料理屋の看板だと勘違いした人が車で工場内に入ってきたことがあったとのことですが、さもありなんという気がします。個人的には中華料理屋というよりむしろ焼肉屋といったイメージなのですが。。。
 金型はその産業としての重要性に比して、一般には認知度がまだまだ低い状況にあります。勘違いはちょっと困りますが、これぐらいのインパクトを与えるPRが金型業界にはもっとあってよいのではないでしょうか。

ニール・ガーシェンフェルド 「ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け」

2008-05-11 21:08:28 | 読書
 先日このブログで取り上げた(こちら)DIYの情報サイトMake:Japanのことをもう少し調べようと思い、トップページに出ているMake:Technology on your timeという雑誌の創刊号サンプル(PDF)をダウンロードして読んでみました。なんともぶっ飛んだ内容といい、出版元がO'Reillyという有名なコンピュータソフト専門の出版社であることといい、なんとなく予測はしていましたが、そこにMITのビット・アンド・アトムズセンター所長のニール・ガーシェンフェルド氏のインタビュー記事が掲載されているのを見つけ、「ああやっぱり」と思いました。

 以前、ガーシェンフェルド氏の 「ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け」(ソフトバンク・クリエイティブ)という本を読んだことがあるのですが、これは印象に残る本でした。
 かつて巨大で一部の特殊な領域でしか使われなかったコンピュータ。これが個人でも所有できるようになり、さらに個人が開発したプログラムやツールが人々に共有されたことで進化していった結果、情報の世界は大きく変貌したわけです。工作機械などの生産設備もこうしたコンピュータと同様の歴史をたどり、個人が欲しいモノを個人自らが設計、生産し、さらに設計や製造の方法もオープンソースで情報を共有するようになる、という「ものづくり革命」をガーシェンフェルド氏は構想し、実際に活動しているのです。Make:Technology on your timeという雑誌も、彼の構想に沿っているようです。

(以下「ものづくり革命」の序章より引用)
 昔は、コンピュータといえば限られた市場しかない高価な機械であり、特殊な技能を持ったオペレーターが特別な部屋で反復作業に使う大型汎用コンピュータと相場が決まっていた。当時のコンピュータの売り上げ予想をいま見ると、その金額の低さに唖然とする。計算機能の実装技術が発達したおかげで、普通の人々がパーソナルコンピュータという道具を介して計算機能にアクセスできるようになった結果、かつてない勢いで新しい仕事や遊びが続々と誕生した。
 しかし、コンピュータ自体(コンピュータに限ったことではないが)をつくる機械は、相変わらず市場の限られた高価な道具であり、特殊な技能を持ったオペレーターが特別な部屋で反復作業に使うものにとどまっている。大型汎用コンピュータがパソコンに代わったのと同様に、やがて世間一般の人々がパーソナルファブリケータ(PF)という道具を介して工作機械の機能にアクセスできるようになるだろう。しかも、この変革によって人々が個人のものにするのは、ビットから構成されるコンピュータのデジタル世界ではなく、原子から構成される物質の世界であるため、その意味はコンピュータの変遷よりもはるかに大きい。
(中略)
 コンピュータの世界と同様に、工業生産の世界でも、これまで長い歳月にわたって、生産手段の所有・非所有が経営者と労働者を分かつ基準となっていた。しかし、工業生産の手段が簡単に入手できるようになり、設計を無償で共有できるようになれば、ハードウェアもソフトウェアと同様に、オープンソースハードウェアは、簡単なものづくりの機能を出発点として、パーソナルファブリケーションのような「オモチャ」に「本物の機械」の肩代わりができるわけがないと高をくくっている会社の足をすくうことになるだろう。両者の境界線はやがて消失し、現在市場と呼ばれているものは進化して、製造者から消費者へと切れ目無く続く連続体になり、一人から十億人までの広範囲にわたる市場にサービスを提供するようになるだろう。
(引用終わり)


 これは日本人からはまず出てこない発想でしょう。すごすぎます。
 ではどのようなものが作られているのか、というと、

 周囲に迷惑をかけずに叫ぶための携帯用パーソナルスペース「スクリームボディ」
 何者かが近づくとヤマアラシのような仕組みで接近を拒む「防御可能ドレス」
 アラーム音を止めるのに苦労する目覚まし時計
 マネの「横たわる裸婦」をモチーフにした自転車
  などなど


 「なんじゃこりゃ」なものが多く、とても技術的に水準が高いものとは思えません。
 しかしながら、自らの興味やニーズを満たすために個人によって開発されたコンピュータソフトがオープンソースによって共有され、多くの個人が開発に参加することによってマイクロソフトのような巨人を脅かすようなソフトウェアになっていった例もあることですし、もしかしたらハードウェアでも同じような変革が将来もたらされるのかもしれません。
 アメリカの知識人の構想のすごさに驚かされる本です。

吉岡秀子「セブン-イレブンおでん部会 ヒット商品開発の裏側」

2008-05-09 23:44:01 | 読書
 吉岡秀子「セブン-イレブンおでん部会 ヒット商品開発の裏側」(朝日新書)を読みました。読み始めは「セブン-イレブンをヨイショする提灯記事みたいだなあ」と思いましたが、読み終えた頃にはセブン-イレブンの徹底的にユーザーサイドに立った商品開発のあり方には感銘を受けました。

(以下表紙より引用)
こんな増え方、だれが信じられるか!
1974年 1号店、出店
1980年 1000店、達成
2003年 1万店、突破
いかにして、セブン-イレブンは、来客1日1千万人の規模に成長したのか。おにぎりを舞台にした母の味追求大作戦。飲むためのおでんスープ。究極の「フワッ」「サクッ」メロンパン。
「いつも消費者が正しい」で勝ち抜く、コンビニ王者の商品開発史を一挙初公開。
(引用終わり)


 本書はセブン-イレブンの、(1)おにぎり、(2)メロンパン、(3)調理めん、(4)おでん、(5)サンドイッチ、(6)カップめん、(7)アイスクリーム、(8)お菓子&デザート、の商品開発について取材、紹介しているのですが、いずれの商品開発にも共通しているのが「作り手の都合で商品を作るな」という哲学です。ユーザーニーズをくみ取って、おでんのだしには高級料亭向けの鰹節を使ったり、お母さんが握ったおにぎりの味を実現するため専用の冶具を開発したり、メロンパンへの砂糖がけは熟練者が手作業で行ったり、それは大変な努力を重ねています。
 このようなこだわりの商品開発はユーザーにとって嬉しいことですし、だからこそセブン-イレブンはコンビニの中でも高い支持を得ているのでしょう。

 けれども、同社を支えるメーカーなどには重い負担がかかっているのではないかなあ、とちょっと気になりました。

日本航空宇宙工業会「日本の航空宇宙工業」

2008-05-08 23:02:28 | 読書
 溜池にある社団法人日本航空宇宙工業会を訪れ、「日本の航空宇宙工業」と「世界の航空宇宙工業」の2冊を買ってきました。1冊2100円也。ちょっと高いですね。一般の書店には並ばない業界団体の報告書ですから仕方ないでしょう。
 まず前者を読み終えました。日本の航空宇宙工業の歴史や特徴、業界の現状や課題について文章中心に書かれています。報告書ですから文章中心というのは当たり前かもしれませんが、この手の業界団体の報告書というのは得てして図表中心で文章が少な目なことが多いので、少々新鮮です。鋳造や鍛造についても割と記述されていたのも意外でした。

Make:Japanと自作ジェットエンジン

2008-05-07 01:00:16 | ものづくり・素形材
 Make:JapanというDIY(Do It Yourself)情報を扱ったモノ作りの情報サイトの存在を知りました。2008年4月20日(日)には江東区でこのMake:JapanのイベントMake: Tokyo Meetingが開催されています(こちら)。
 電子工作ネタが多いのですが、機械工業系では自作のジェットエンジンが出展されています。これを作ったのは電気電子工学科の大学生で、高校生の頃からジェットエンジンの自作を続けているのだそうです。彼のホームページにその自作の模様が紹介されているのですが(こちら)、その辺のガラクタを寄せ集め、足りない部品は自分で旋盤で削って自作して、頭髪を焦がしてしまうようなトラブルを経ながらも本当に自立運転するジェットエンジンを作ってしまっています。すごい。
 Make:Japanに登場するモノは、正直言って「なんじゃこりゃ」なものが多いです。しかし、こうした遊び心満載な斬新な発想に基づくモノ作りから、新しい日本の産業が生まれてくるかもしれません。

アニメ「図書館戦争」が面白い

2008-05-05 01:52:51 | Weblog
 この4月から木曜深夜に放映されているアニメ「図書館戦争」。これは本好き、図書館好きな私には実にこたえられないアニメです。

「図書館の自由に関する宣言」

第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。


 これは社団法人日本図書館協会が1954年に採択した、「図書館の自由に関する宣言」の骨子です。まさに図書館は日本国憲法が定める表現の自由、思想の自由を守る牙城といえるでしょう。

 そんな図書館が、表現の自由、思想の自由を規制しようとする勢力から武力によって脅かされたら、どうするのか。「図書館戦争」では、図書館の自由を守るために"図書隊員"たちが武装して反撃するのです。

(以下、番組公式サイトより引用)
  2019年(正化31年)。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる『メディア良化法』の成立から30年が経ち、メディア良化委員会と図書隊が抗争を繰り広げる日本。
 念願の"図書隊員"として採用された笠原郁は、両親に、図書隊の中でも危険の伴う防衛員志望だとは言い出せないまま、軍事訓練に励む毎日を送っていた。郁は高校時代、書店でメディア良化隊員に本を奪われそうになったところを、一人の図書隊員に救われたことがある。その「正義の味方ぶり」に憧れ、顔も憶えていない図書隊員を王子様と慕い、自分も図書隊に入隊して本を守ることを決意したのだ。
 やがて、卓越した運動能力と情熱が買われ、郁は、エリートによる精鋭部隊である"ライブラリー・タスクフォース(図書特殊部隊)"に配属されるのだが……。
(引用終わり)


(予告動画)



 「図書館戦争」の原作はいわゆるライト・ノベルなのですが、原作者はかなり自衛隊の組織について取材しており(日経ビジネスの記者による原作者へのインタビュー記事参照)、このためアニメも"図書隊員"たちの訓練や軍事行動の表現が実にきめ細かくリアルなのです。なお彼らは平時には一般の図書館員として勤務しているのですが、この様子の表現もまたリアルです。なんといってもアニメのエンディングロールには、「協力 社団法人日本図書館協会」というクレジットが入っていますし。。。こうした細部にわたるリアルな表現、そして「体育会系」で恋愛下手なヒロインが繰り広げるコミカルなラブコメが、物語を面白くしています。
 そもそも、図書館内で激しい銃撃戦が繰り広げられるなど現実にはありえない物語であるとはいえ、現実社会でも表現に対する規制を強めようとする動きが見られることから、スムーズに物語の世界に感情移入できるような気がします。

 また、興味深いのが、例によってこのアニメも中国の某動画サイトで早速中国語の字幕付でアップロードされていることです。表現の自由、思想の自由が大きく規制されている中国人の若者たちは、このアニメをどんな気持ちで見ているのでしょうか。

 たかがアニメ、たかがライト・ノベルと侮ることができない作品であると思います。

秋山雅弘, 原口英紀「デジタルプロセス・イノベーション―製造業再生のシナリオを詳解」 (日経BP)

2008-05-04 23:06:57 | 読書
 秋山雅弘, 原口英紀「デジタルプロセス・イノベーション―製造業再生のシナリオを詳解」 (日経BP)を読みました。私が読んだのはこれが2回目です。ちなみに著者の1人の秋山氏は、3D-CADシステムの開発、コンサルティングを行う株式会社アルモニクス/(浜松市)の代表取締役として、現在でも積極的に製造業のデジタル化について発言されている方です。

(目次)
1.ものつくり産業の危機
 1章 日本のものつくり
 2章 海外をみると
 3章 ものつくり産業のゴールとは
 4章 デジタル・プロセス・イノベーションとは
 5章 デジタルエンタープライズとは
2.3次元データによる変革
 1章 CADの基礎知識
 2章 CADの現状と今後
 3章 ものつくりと3次元
 4章 3次元化の扉の向こうに
3.生き残り戦略
 1章 生き残りのための変革
 2章 ここがいけない、できていない
 3章 失敗しないシステム選定
 4章 差別化のために
 5章 事例に学ぶ
4.製造業の未来、日本の未来
 1章 未来の日本のものつくり
 2章 政治・行政への期待
 3章 デジタルシティ


 古い本(2001年初版)ですが、CADの基礎知識から、3D-CADが製造業に与えるインパクトとは何か、システム選定のあり方、今後の日本の製造業のあり方までを、私のような素人でも大変わかりやすく解説した良書であると思います。私は本書を読んで、3次元化のメリット(①形状把握、②プレゼン、③加工、④製品解析、⑤生産解析、⑥自動図面化、⑦自動帳票化、⑧検査)、3D-CADとPDMやCRM、SCMなどとの関係について理解することができました。
 本書が出版されてからもう7年も経っており、その間にハードウェア、ソフトウェアはすさまじい勢いで進歩しています。したがって、本書に記載されている情報には役に立たないものもあるかとは思います。しかしながら、3D-CADによる製造業のデジタル化による競争力強化についての基本的な考え方については、本書からは依然として学ぶべきものがあると思います。

「劇場版 仮面ライダー電王&キバ」を見てきました

2008-05-03 23:43:17 | 日常
 小学校6年生の娘に連れて行って欲しいとせがまれて、3歳の息子も伴って映画「劇場版 仮面ライダー電王&キバ」を見に行きました。女の子なのになんで仮面ライダーなのかいな、と思ったのですが、クラスの女の子の間でも結構人気があるそうです。それも現在テレビ放映されている「キバ」ではなく、放映が終了した「電王」の方が断然人気があるのだとか。映画もタイトルに「キバ」と「電王」が併記されていますが、実際には「キバ」はチョイ役に過ぎず、完全に「電王」の映画といってよい作品でした。

 仮面ライダー1号をリアルタイムで見て育った私は、平成に入ってからの仮面ライダーシリーズは従来の仮面ライダーとは全く異なる新しい特撮ヒーローものだという印象を抱いていたのですが、「電王」は中でも特に斬新な作品だと思いました。
 バイクではなく「デンライナー」という電車に乗って移動する点が有名ですが(ちなみに「デンライナー」のオーナーに扮するのが、あの「世界の車窓から」のナレーターの石丸謙二郎氏です。このキャスティングには笑いました。)、主人公がなんとも弱々しい青年で、「イマジン」という怪人たちが憑依することによって強くなるという点も新鮮でした。鬼のような外観の怪人たちを指差して「こいつらって悪者なんでしょ?」と娘に聞いたところ、そうではなくて彼らは主人公の仲間であり、共に悪の組織と戦うのだと聞いて驚きました。しかも悪の組織に所属する怪人たちも、主人公の仲間である怪人と同種の「イマジン」であるというからややこしいです。

 こんなの仮面ライダーじゃないよ、と思っていた「電王」ですが、実際に作品を見てみるとそれはそれで結構面白く、楽しめました。1人で戦う昭和年代の仮面ライダーよりも、むしろ「ゴレンジャー」などの戦隊ものにテイストが近いと作品だと思います。しかし、1人だけでは弱々しい存在であっても、怪人という人種(?)の異なる仲間たちと仲良くなってその力を借りれば強くなれる、という点は超人ぞろいの戦隊ものにはない要素でしょう。これも時代を反映しているのかな、と感じました。

 ちなみに、見せ場となる戦闘シーンの舞台がどこかの廃工場だというのは、今も昔も変わりませんね。「電王」のクライマックスの舞台は工場のレイアウトや残されている機材などから判断するに、どこかの鋳物工場ではないか、と思ったのですが。。。