2冊の歌集です。
明治の歌集「みだれ髪」と 令和の歌集「未来のサイズ」
文語体と口語体の歌を読み比べると、それぞれの 趣きがある。
≪ みだれ髪 ≫ 著:与謝野晶子
明治の女性としては、先端を駆けていた与謝野晶子。
女の妖しさ・情念を三十一文字に込めて表した。
* やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
* その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな
* 人かへさず暮れむの春の宵ごこち小琴にもたす乱れ乱れ髪
弟の友人や、住職等に心を寄せ、しまいには師”鉄幹”を愛し
その歌は奔放を極めた。
当時 賛否の評があったらしいが
晶子の率直さは、表紙の絵の💛を射る矢のごとく、受け入れられていった。
≪ 未来のサイズ ≫ 著:俵 万智
万智ちゃんの以前のこの歌が好き。
* 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
* 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
新しい歌集は2013年から2020年までの作品集。
コロナ時代。
* 朝ごとの検温をして二週間前の自分を確かめている
* 四年ぶりに活躍しているタコ焼き器ステイホームをくるっと丸め
息子さんを寮生活に送り出した寂しさ。
* 子のために切りあげることなくなって一本の紐のような一日
* 最後とは知らぬ最後が過ぎてゆくその連続と思う子育て
もしかして恋?
* ひとことで私を夏に変えるひと白のブラウスほめられている
彼女の素直な言葉選びが好き。素直な感性が好き。