昨年末から 年越しして読んだ2冊。
「〇〇賞」というキャッチコピーに弱い私。すぐ買っちゃう。
これは、紀伊国屋書店員さんのおススメでもあった。
≪ エンド・オブ・ライフ ≫ 著:佐々涼子
2020年、ノンフィクション大賞受賞作。
在宅医療を支える訪問看護師・森山文則さんは、在宅看護に生きがいを見出し
患者のためにベストな最期を選択し、実践していた。
森山さんが寄り添った、患者たちの残された日々の過ごし方は
とても価値のある、心に残る良い刻であった。
そんな彼の日々を追ったライター・佐々涼子さんのノンフィクション本が本書。
そんな看護師森山さんに ”すい臓がん” が見つかった。
患者の最期を最高な時間にしようと願っていた森山さんだが
自分の命の終わりが見えた時、苦悩が始まる。
民間医療に頼り、宗教に頼り・・しかし最後はやはり
家族たちの看取りの中で、静かに命を終えたのであった。
いつかはわが身に起こることだ・・と知る。
≪ JR 上野駅公園口 ≫ 著:柳 美里
全米図書賞 受賞作。久しぶりの柳美里さん。
舞台は上野公園。
福島から出稼ぎのために上京、上野駅に降り立った主人公。
東京で知った家族の死など、負のスパイラルの中でホームレスになった彼。
上野公園で生きていく彼の人生を描く。
ホームレス仲間との交流、それぞれの事情・・
暗い気持ちになるが、なぜか先に先にと惹きつけるストーリー。
東京に行ったら、度々足を運ぶ上野の森。
でも、ホームレスの人に会ったことはない。もう姿を消したのか。
それとも夜になったら、何処からともなく集まって夜を明かすのか。
今日のような凍てつく日、彼らは命を繋ぐのだろうか・・。
柳さんの言葉「帰る場所を失くしてしまったすべての人たちに」贈る。