story・・小さな物語              那覇新一

小説・散文・詩などです。
那覇新一として故東淵修師主宰、近藤摩耶氏発行の「銀河詩手帖」に投稿することもあります。

業火の男たち

2005年08月31日 14時00分00秒 | 小説
元亀二年九月十一日、織田信長の軍勢三万は、近江の国、瀬田で野営をしていた。
九月始めに岐阜を出て以来、向背の定まらぬ城を落とし、一揆を打ち殺すだけの、ただ殺戮の限りをつくしただけのような戦で、軍兵たちの目は飢えた獣のように赤くなっていた。
秋の風が琵琶湖の湖面を渡る。
さすがに夜になると寒さを感じる。
今、信長のいる本陣の天幕の中では、信長の甲高い声だけが響いていた。
「よく聞けよ!明日、早暁・・一番鶏の鳴くのを合図に、我らは総人数にて、比叡の山へ攻め上る!」
赤ビロードのマント、トラ皮の腰巻をつけた信長は、居並ぶ武将達とは異なる国から来たようにも見える。
静まり返った天幕の中で、武将達は声を飲んでいた。
佐久間信盛、柴田勝家、前田利家、羽柴秀吉、明智光秀、蜂須賀小六・・その名を聞けば子供までもが黙り込む恐ろしげな猪武者達だが、さすがの彼らも息をするのも忘れたかのようだ。
ややあって、恐る恐る声を上げたものがあった。
「恐れ入りますが、比叡の麓、坂本の町はいかがなされますか?」
明智光秀である。
さして明るくないかがり火に照らされ、信長の端整な顔立ちは能面のように見えた。
酒をあまり飲まぬ信長が、酒の土瓶を床机の横においてあった。
彼はその酒を一口、あおるように口に流しいれ、ぐうう・・犬が吼える前のような声を出した。
「坂本・・・あれは比叡の罪の溜まり場よ!まず、ここを早暁に出たあとは、一気に焼き尽くし、生きるものは全て殺せ!まずは比叡の汚物の溜まり場から焼き清めよ!」
光秀は、信長よりは幾分か年上である。
けれども、信長の今の激情を押さえうる程の力は有していない。
黙り込んでしまい、項垂れて下がってしまった。
柴田勝家の剛毅な髭まみれの顔も、炎に照らされてはいるが、表情は強張ったまま、出来損ないの仏像のように空を睨んでいるだけだった。
「申し上げたき義がございすれば・・」
秀吉がおずおずと進み出る。
「なんじゃ!猿!如何にお主であっても、ワシの積年の恨みを晴らすこの戦・・何も言わせぬぞ」
秀吉の申し出には、信長は一息をつくように、軟らかく答えていた。
「相すみませぬ・・王法仏法と申します。拙者は、無学ゆえ、良くは分かりませぬが、伝教大師より幾百年の霊場をば、灰燼に帰してしまう事に、いささか戸惑いをば覚えます」
神妙にかしこまった秀吉を見て、信長は始めて軽く笑った。
「猿よ・・お主は、やはり、無学よのう・・」
「は・・無学にてございます・・されど、殿のご心中は察しておる所存でございますが・・」
「ワシの心中とな・・」
「は・・心中・・でござります」
「それは、ワシの心中ではなく、ここにいる幕僚達の心中ではないかの・・」
「は・・その・・柴田様、佐久間様・・その皆様にも、殿の本意をば、ご存知頂く方がよろしいのではないかと・・」
うまいことを言うわ・・信長は感嘆しながら、岐阜を出て以来、何も伝えずにここまでやってきたことによる士卒の不安も実は感じていたのだ。
彼らは比叡山が霊廟であると信じている。
戦とはいえ、霊場で人を殺し、建物を焼けば、それが自分の今生、あるいは来世までもどれだけの悪業となって残っていくか・・そこが引っかかっていたのだ。
もしも比叡が霊廟ではないと言うなら、その証拠を示して欲しいに違いない。
信長は、今、比叡を守護すると言われる神よりも自分が高い位置にあることを印象付けなければならなかった。
秀吉の進言はそこをついていたのだ。
ふっと、信長の表情が変わった。

「比叡の山には、もはや仏法はあらず・・・三百年前、日蓮上人は真言亡国であると喝破された。伝教大師が開き、戒壇を有する霊場であったのはそれよりも遥か大昔の話じゃ・・法華経を護持し、広めゆく伝教大師の心は忘れ去られ、加持祈祷の真言密教に頼るは、いかなる文証によるか!さらに、仏法を保つものは聖僧であるべし・・今の比叡の大衆共は聖僧であるとは到底言えぬわ・・・酒を飲み、魚鳥を食らい、女人を侍らかせる・・これのどこが聖僧であろうか!」
信長は真言の祈祷をして歩く高野聖が大嫌いだったが、本心では同じくらい、日蓮の名を声高に叫ぶ法華宗も嫌いだった。
けれども、彼は今、石山本願寺一派との壮絶な殺し合いの過程でもあった。
つい、この五月にも、尾張の国長島において、本願寺一派との壮絶な戦で大敗を喫したばかりだった。
石山本願寺率いる一向宗、高野聖を使って領内を撹乱する真言宗、そして、天皇に守られていると錯覚し、王法仏法を叫ぶ比叡山の天台宗山門派との戦においては、法華宗の力もまた借りなければならなかった。
例えば、彼の幕僚の中でも蜂須賀小六は法華宗徒だった。
それはともかく、信長が、幕僚達に日蓮の言葉を示し、比叡の滅亡が当然であり、滅亡させる戦に参加する事はけっして未来永劫の罪を被ることではないと説明したことは大きかった。
幕僚達の眼から不安な色は消え、彼らが本来もっている獰猛さを取り戻すことが出来た。
「仏法などと言うものは、大人しい間はそのままに差し置いても構わぬが、下手に力を持つようになると煩いものだ。それが大きくなってくると、弟信興を殺した長島の一向宗のように、我らを窮地に追い込むまでになる。宗門などと言うものは、使えるときには使うが、用がすめば抹殺するに限る。法華宗もこのたびは日蓮の言葉を借りさせてもらったが、いずれ、手痛い目にあわさねばならぬ・・」
信長は、比叡の山を見上げながら、そう、自分に言い聞かせていた。

*****************

彼が比叡山を嫌うのは彼自身何度も苦渋を飲まされたからではあったが、更にそれ以前、彼の心にしみこんだ一人の武将の姿があったからでもある。
その武将は斎藤道三という。
天文十七年、信長は尾張の国聖徳寺で、娘婿の顔をみたいという道三の求めに応じて、対面していた。
信長は道三を驚かせようと、自国の軍隊の中でも最強の兵を引き連れ、長柄の朱槍五百本を林立させ、当時は珍しかった鉄砲五百挺を担がせ、その先頭でおよそ風采と言うものに拘らない異様な服装をして聖徳寺へ行軍した。
見物の民衆に紛れてそれを見ていた道三は信長の察し通り、かなり驚いたようだった。
それは、自分の娘を嫁にやる相手を見間違えたという一瞬の後悔であったろうと、信長は思う。
聖徳寺ではさらに趣向を凝らした。
信長は別室で威儀を正し、武士としての正装で道三に相まみえたのだ。
礼儀をわきまえ、道三の面前に出た信長は、義父の前で平伏した。
「初めてお目にかかりまする。織田三郎信長にてござります。本日は義父殿に置かれましては、遠路はるばるこの信長とのご対面をお申し付けくださり、誠にかたじけなく、有難く存知まする。また、この信長、これまでは義父殿のご威光をば、つぶさに感じながらも、ご挨拶もなかなかに出来申さず、永くご無礼仕り、まさに紅顔、恥を知るとはこのことにてござります。改めてこれまでの非礼をばお詫び申し上げる次第にて候」
先ほどまでの盗賊か土豪かと見まがう姿とは打って変わり、威儀を正した娘婿の姿に、道三は、自らの若い日を思い起こし、苦笑していた。
「いやいや、さほどまでの礼は要らぬ。さすがにわしが目をつけた信長殿の水際立った振る舞い、いたく感心しているところよ。さて、婿殿、信長殿に置かれては、今や一国の主でござろう・・四方山の話など聞かせてもらえれば幸いじゃ・・」
「暖かきお言葉、信長、身に余る光栄にてございまする」
信長はあくまでも道三の義理の息子としての立場を崩さない。
初夏の風が寺の庭を通して本堂にも流れ込んでくる午後である。

「婿殿・・まずお伺いするが、お供の者達の槍の柄が随分長いようであるが・・」
穏やかに、信長の杯を酒で満たしてやりながら、道三は一番気になることを聞いたようだった。
「義父殿・・戦はもはや名乗りおうて、手合わせをするものではございませぬ・・槍衾とするには、槍の柄は長いほうが有利にございます」
道三は大きく頷いた。
「さもあらん・・・婿殿はなかなかに智恵の達人のようじゃ・・」
「それがし如き者、智恵などはそれほど持ち合わせてございませぬが・・やはり勝つためには、ない智恵も絞れば出てくる道理でございましょうか」
信長はあくまでも謙虚である。
「槍のことは相分かった・・されど、鉄砲をあれほどに用意されたのは、如何様な御了見があってのことかの?」
道三は謀略と刀で人生を切り開いてきた男だった。
鉄砲などは鳥脅しくらいの意味しかないと考えている。
「義父殿・・鉄砲は、使いようによっては、槍よりも刀よりもはるかに大きな力を発揮できると・・かように考えてございますれば・・」
「ほう・・されど、玉込めもなかなか手のかかるものではあるし、熟練の撃ち手がおらねば、鉄砲の弾を込めている間に、馬に乗り込んでこられように・・」
「おっしゃるとおりでございます。されど、鉄砲放ちをよく鍛錬し、戦の前段階において二列三列に並べ、一斉に鉄砲を放った後、前後をすぐに入れ替えますれば、なかなかどうして・・槍や刀を使わずとも、戦のカタをつけることも出来ますれば・・」
ほう・・道三は厳しい表情をして考え込んだ。
自分の時代とは違う時代を生きる若者の答えに、感嘆し、恐れを抱いたのである。
それでも、ややあって、柔らかい表情に戻り、杯を口に運んで、一息ついた。
「婿殿、お考えは、よう分かり申した。鉄砲・・なるほど左様な使い方を心得ておられるか・・されど、あれは南蛮のものゆえ、なかなかに高価なものよのう・・それだけの金銀を使った値打があるかどうか・・ワシには今ひとつ乗り気になれぬ」
溜息とともに、そう言った道三に信長は人懐こい笑顔を見せた。
「義父殿・・もはや、紀州の根来や雑賀では鉄砲は実戦に大きな力を発揮してござります。根来も雑賀も坊主どもでござります。それがし、いずれは、これらの坊主どもとの戦もせねばならぬものと考えておりますれば・・」
「ほう・・坊主と戦をなさるるか・・」
「さようにてござります。この信長の尾張においても、長島の如きは、まるで領主の威光が届きませぬ・・これでは自分の領地に他所の国があるのと同じでござる。このようなことの原因は全て、糞坊主が信者を丸ごと私物化しているからでござりましょう・・それがし、海内を一つの国にまとめるには、坊主持ちの国は邪魔になるこそすれ、役になど立つまいと考え致しておりまするに・・」
「長島は・・そうよの・・一向宗徒であったの・・」
「さようで・・」
「奴らは一向念仏の己らの世界に酔っているのじゃよ・・遠慮は要らぬわ、念仏無間地獄を現出してやりなされ・・」
「念仏無間地獄にござりますか?」
「日蓮上人の四箇の格言じゃ・・真言亡国・律国賊・禅天魔・念仏無間地獄・・」
信長は、道三の言葉を何度か繰り返した・・真言亡国、念仏無間地獄・・
ふと、信長は気になって、道三に訊ねた。
「真言亡国とは、高野山を指すのでござりまするか?」
道三は、にやりと笑いながら、答えた。
「確かに真言宗がはびこる時は亡国の時である、そういう意味であるが、日蓮上人は比叡の天台宗に向けて、そう言われたのではなかろうかと思うのじゃ」
「天台宗でございますか・・」
「さよう・・伝教大師以来の法華経の火は消えて久しく、真言密教の加持祈祷を叡山においてなされる有様に怒りを込めてそう言われたのではなかろうかと、思うのじゃ・・」
「ということは、いずれ滅ぶと言うことでございましょうか?」
「叡山の僧どもは、女人を連れ込み、魚鳥の肉を貪り、坂本の町には女郎屋までもあるのじゃ・・これでは、法の上はともかく、いずれ滅びるしかなかろう・・」

道三は元々、京の法華宗、妙心寺の僧であったと言われている。
その道三から、信長は日蓮上人の話を一渡り聞いた。

別れ際、暇乞いの挨拶をする信長に、道三はこう言った。
「婿殿・・婿殿が、わしの後継ぎなれば良かったやも知れぬ・・わしの息子は二人とも暗愚であり、理想など持ち得ない。いざと言う時には、わしの息子に代わり、美濃を治めてくれ・・」
「義父殿、勿体のうございます。されど、義父殿に万が一のことあらば、この信長、何を差し置いても、義父殿をお助け申す。このこと、本日、お約束仕りまする・・」
信長は神妙に道三の言葉を受けた。
道三は屈託のない表情で、信長を見送った。
信長のあとに、五百本の長柄の朱槍と五百挺の鉄砲が続いた。
まるで、戦行軍である。

「お館さま!信長は噂どおりの、うつけものでござりましたな!」
道三のそばに控えていた猪子兵助が、からからと笑った。
「お前は、そのように思うか・・わしには、口惜しいてならぬ・・あと数年で我が一門のものは、信長の門前に馬を繋ぐであろうよ・・」
道三はそう言い捨て、彼の供の者に出立を命じた。
斎藤勢も、武装はしていたが、槍は短く、鉄砲は有していなかった。
織田勢の見事な隊列と比べると、いささか見劣りがしていた。

***************


信長は数度しか会うことのなかった道三を思い出していた。
道三はまもなく息子に追われて、果てた。
信長は苦労の末、道三の息子を追い出し、美濃を手に入れて、今日の足がかりとした。
敵を容赦なく殺戮する残忍さは、本来、信長が持っているものではなかったが、斎藤道三から学んだものだ。
道三は敵は徹底的に叩き潰し、殺戮し尽くすと言う。
謀反人や罪人は岐阜城内の庭で、家中の者に見物させる中、釜茹でにされたり、牛に足を括り付けられ、身体を引きちぎられたりする残酷な刑を受けた。

瀬田の町の夜半過ぎ、信長は軍勢に進発を命じた。
昨年、かけておいた船橋を軍勢が渡る。
大津の町では、夜中の大軍を何事かと、恐怖の目で見送る住民達の姿があった。
軍勢の後尾近く、秀吉の一党が進んでいた。
「小六どの・・お主は、焼き討ちにためらいはござらぬか?」
馬上の秀吉は並んで進む蜂須賀小六に声を掛けた。
「いささか、ためらいはござる・・」
髭で覆われた剛毅な顔に似合わず、気の弱い答えが帰ってくる。
「ためらいとな・・やはりのう・・」
「相手は、坊主や、町衆でござる・・」
「おうおう・・夜討ち強盗まで働きし強者にしては・・」
「ただのう・・秀吉殿・・拙者、比叡が滅びるのが今日であるということに、感慨の深きものも、あるのでござる・・」
「感慨とな・・」
「さよう・・本日はのう、要法寺において、日蓮上人、竜の口法難三百年の法要があるのでござる」
「竜の口法難・・日蓮上人の霊験があらたかになったと言うあれでござるか・・」
「さよう・・まさに上人が首を斬られるというその時に、闇夜に光り物が現れたと言うその日でござる。それからちょうど三百年の期日なのでござる・・」
明ければ今日は九月十二日だ。
あいにく、空は曇り、星はおろか、月すら見えない。
小六は続ける。
「日蓮上人が戦われたのは、その頃の仏法の権威でござる。なかでも、真言密教を取り入れた叡山天台宗には随分と手厳しくもあられた・・」
「されど・・信長旦那と日蓮上人は何の関係もござらぬ・・」
秀吉が不審気に訊ねる。
軍勢は大津の町をやや過ぎていた。
暗夜の曇り空に、比叡の山塊がどっしりと見える。
「秀吉殿・・信長旦那に様々なことを教え申したお人の中には、斎藤山城守道三がござろう・・あやつは、京の法華宗・妙心寺の僧であったそうな・・」
「では・・小六殿はわざと、信長旦那がこの日を選ばれたと思われるのか?」
「うむ・・じゃが、そうではないかも知れぬ・・いずれにせよ、比叡が今日滅びるのは宿業ということになろうか・・信長旦那は、その宿業を一気に表させる第六天の魔王かも知れぬ・・・我らは、魔王の手下よ・・」
「ワシは、信長旦那がさほどまでのことは考えてはおられぬと思うのじゃ・・これは年来の恨みを一気に片付け、天下布武への邪魔者を消し去ろう・・それだけのことではないかと思うぞ」
「信長旦那はそうであっても、仏の眼から見れば、わしらは、魔王の手下よ・・」
吐き捨てるように小六は言う。
「されど、仏法の戒律を守らず、魚鳥を食らい、女人を侍らせ、女郎屋に通う僧等はもってのほかでおざろう・・ご政道がお気に召さないとなると天子様に直訴はするわ・・およそ、比叡の増どもといえば、良い噂は聞かぬわ・・我らは、信長旦那の思いのとおり、進まねばならぬて・・」
秀吉が諭すように小六をなだめる。

部隊は坂本の町に着いた。
かすかに、空に明るさが見え始めた時刻である。
昨夜、一足先に出た光秀の軍勢が坂本の町を取り囲んでいた。
蟻の子も漏らさぬ完璧な包囲が出来上がっていた。
「皆の者!よく聞け!比叡の山は、今や仏法とは名ばかりの売僧の巣窟である!我らはこれより、悪魔に魂を打ったこれらの者を処断し、仏の御心に従って、全山を焼き清めるのだ!まずは、売僧どもの出城たるこの町より焼くつくす!」
織田信長が大音声で叫んだ。
おお!地鳴りのような歓声が部隊から上がる。
信長は、采配をさっと前に振った。
その瞬間、いくつもの建物が火につつまれ、驚いて出てきた人間が足軽の鉄棒の餌食となっていった。

秀吉の部隊は、一瞬、ためらいを見せたが、すぐに動き出した。
蜂須賀小六は腹をくくったかのように、郎党を連れ、町の中へ飛び込んでいった。
町はあっという間に全てが炎につつまれ、やがて、その炎が山麓を上り始めた。
悲鳴が、怒号が、町を覆う。
念仏の声も聞こえた。
町衆だろうと遊女だろうと、容赦はなかった。刀や、鉄棒のもとに一撃で殺されるのである。
戦などというものではない。
ただ、殺戮するだけの、行軍である。
けれども、昨夜来、曇っていた空は、夜が明けると晴れ渡り、空気は乾き、炎が存分に暴れ回り、まさに霊場が地獄と化すのに、それほどの時間はかからなかった。


コメント (3)
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