新型コロナウイルスの感染死を恐れ世界中が戦々恐々とした一年でしたが、さらに強力な変異種が発生したとい
うニュースに人間も冬眠できたら良いのにと思うこの頃です。
しかし個人的には当ブログのトータル訪問者が12月初旬に30万人に達しました。<古代からの暗号>として山
上憶良等が『万葉集』に託した<秋の七草>の花の名をヒントに精一杯知恵を働かせて日本のルーツの謎解きに
挑戦してきたものなので大変うれしく思いました。皆さま有難うございます。
前回のブログでは筑後の「こうやの宮」に伝えられていた<七支刀(六叉の鉾)を持った人形>は伽耶から渡来
し、それを受け取った勢力が天磐櫲樟船に乗って天下ったと伝えられる饒速日命(火明系・物部氏)の勢力で、
「高良の宮」は「かわらの宮」と呼ぶという伝承から鯰をトーテムとする呉から渡来した勢力(かわらの鯰)と
推量しました。
筑後の山門郡の古代人が「こうやの宮」に人形を遺した目的の第一は「六叉の鉾(七支刀)」を受けた記念であ
ろうが<こうや>にも意味があるとすれば六叉の鉾を譲渡した側を示す可能性が考えられ、金官伽耶の前身とも
言われる<狗邪韓国(くやかんこく)>の<狗邪>を<こうや>と発音したのではとないかと思いました。
学研の『新漢和大辞典』によると
狗 ー 発音を 呉音では <ク> 漢音では <コウ>。意味は<犬><卑しい者のたとえ>。
邪 ー 発音を <ジャ・シャ> 助辞では <ヤ><ガ>。用例 邪馬台国(やまたいこく)琅邪(ろう
や・山東半島の地名)
とあり<こうや>とも読める事を確認できました。
狗邪(耶)韓国とは
3世紀中頃に朝鮮半島南部にあった国。
中国の正史『三国志』(陳寿が魏蜀呉の三国が鼎立していた紀元220から280年間の歴史を記したものに、死後
裴松之が新資料を加え、宋時代の429年成立した。)の「魏書・東夷条」によると
「倭人は帯方東南の大海の中に在り山島に依りて国邑をなす。旧百餘国。漢時に朝見する者あり。今使訳の通ず
る所は三十国なり。郡より倭に至るには、海岸にそいて水行し、韓国を歴るに南しながら、東しながら、その
北岸の狗邪韓国に到るに七千餘里なり。始めて一海を渡り、千余里にして対馬国に至る。」とあり『後漢書』
では「倭の西北端の国」とする。
今回気づいたことですが「こうやの宮」の主と思われる坐している人形には<五七の桐紋>が描かれていますが
これを神紋とするのが岡山市の吉備津神社・鹿児島の鹿児島神社・奈良県の大神神社などです。2009年のブログ
で<吉備加夜国>のルーツを狗邪韓国とした事は正しい推理だったようです。(詳しく知りたい方は当ブログの
2009年10月7日と8日の「吉備加夜国の起こりー1と2」をお読みください。)
「秋の七草」の暗号の発案者たちは暗号を解読する鍵を<同音異義語(掛詞)>と定め、第二の暗号「古今伝授
・三木三鳥」第三の暗号・藤原定家の『拾遺愚草』中の「詠花鳥和歌各十二か月のなかの花鳥の取り合せ」でも
このルールは守られています。
「秋の七草」の<尾花>の場合
尾花=薄・茅・萱であり同音異義語として伽耶を探し当てることが出来た。
尾花は萩に次ぐ二番目に詠まれていますが、日本列島の初期に関わっていることを示すように「葺き草の
茅(尾花)」とし、吉備津神社の社伝には賀夜奈留美命(出雲国造神賀詞で飛鳥の甘南備に坐すという。)
が「茅葺の宮」を創始したと記されており、吉備のルーツを<茅>→<伽耶・加夜・賀夜>と掛詞の関係か
ら伽耶を想定しました。
「古今伝授」<をがたまの木>の場合
木の名<榧>を導くために<雄(花)が珠(実)の木>という難解なヒントであるが、<尾花>対<雄花>
<茅>対<伽耶>と二重の掛詞にした手腕は見事である。
榧には榧の木と犬榧の木があり、榧の油は食用に、犬榧の油は灯明に用いられるが、灯明とは火明りであり
火明命を連想させる。火明命は物部氏の祖神であり、狗邪韓国がそのルーツであろうか?
『拾遺愚草』中の<詠花鳥和歌各十二か月・花鳥の取合わせ>より<薄と鶉(うずら)>の場合
薄は秋の七草の尾花であり、御賀玉の木が榧であった事をふまえると、御賀玉の木→雄が玉の木→榧の実→
鈴木(すずき)→すすき(薄)と発想したと思われます。
当ブログでは2011年1月15日から3月5日まで「謎解き詠花鳥和歌・薄と鶉1~8」を掲載していますが、2011年
3月11日に東日本大震災が起こり、私の故郷の大災害に心奪われ中断してしまいましたが、「こうやの宮」の七支刀人形から中断したブログの<薄と鶉>の関係がほのみえてきたように感じています。引きこもり生活の中で頭
の体操のテーマが見つかり老化防止の種が出来ました。
新しい年はコロナの不安から解放されて、生き生きと暮らせるように、家の中で楽しみをみつけステイホーム
で乗り切りましょう。皆さまよいお年をお迎え下さい。
草野 俊子