ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

伏見稲荷神符3 杉を祀るのは倭人?

2009-09-14 11:57:35 | 日本文化・文学・歴史
『出雲国風土記』の逸文で語られる稲荷縁起の「餅が白鳥に化した」という説話を
<餅>は<杵築大社>に<白鳥>は<新羅>に置き換えるてみると、記紀や出雲
神話で語られる<国譲りの天つ神側からの伝承と考えられないだろうか。
この餅が白鳥に化す伝承は『豊後国風土記』や『筑紫国風土記』にも見え、民族学
では<白鳥の稲の穂落とし伝説>として全国的にみられるため、山城に限られた
伝承ではない。

ところで、稲荷の神は<宇迦之御魂大神>という穀霊であるが、民間で信仰される
<オウカ様・宇賀神・オガノ神>も同じ神で、古来<蛇>の姿で描かれており、
この<蛇>は梵語(ぼんご)で<白蛇>を意味する<宇賀耶>を表わしていると
考えられている。
古史古伝に<神武天皇の前に73代にわたり、ウガヤ朝があった>という伝承は、
この<宇賀耶>を指し、出雲の大国主命に象徴される<国つ神の時代>が存在した
ことを思わせる。

次になぜ<杉を斎き祀る>かを考えたい。
杉は<椙・倭木>とも表記し、日本では中国の柳杉と同種に杉の字をあてている。

   味酒を三輪の祝がいはふ杉手触れし罪か君に逢ひがたき
                     万葉集 巻4-712        


   我が庵は三輪の山もと恋しくはとぶらい来ませ杉立てる門
                     古今集 巻18-982

など、杉が三輪神社の神木として万葉集や古今集に詠まれているが、伊勢の豊受大
神宮・筑紫の香椎宮・常陸の鹿島神宮・石上布留神社・伏見稲荷なども杉が神木
である。

この三輪の神社とは、奈良県桜井市にある大神(おおみわ)神社で、倭大物主櫛
みか玉命を祀る大和一宮である。
大物主とは<一国の諸神を統べて、その国土を守護する神>の意味で、大国主命の
別称ともされているのだが、古事記にはこの神の有名な<三輪山神婚説話>が記さ
れている。

  夜な夜な活玉依毘売(いくたまよりびめ)=紀では倭とと日百襲姫命(やま
とととびももそひめのみこと)のもとに男が通い、遂に姫が身籠る。男の素性を怪
しんだ両親は、麻糸を通した針を着物の裾に刺させる。翌朝、糸を辿っていくと
それは三輪の神社まで続いており、男が神であったことを知る。
さらに日本書記では、倭とと日百襲姫命のもとに通ってくる男に、姿を見せて欲し
いと求めると、翌日櫛げの中で美しい蛇となっていた。本性を見られた神は三輪山
に登ってしまう。

この説話では<大物主神>と<蛇>と<三輪神社>が重要な要素であるが、
蛇は<宇賀耶>つまり<穀霊>であり、七草のルールに従い<穀霊→国霊>と置き
換えれば、大国主命の亦の名<大国玉(魂・霊)>をも導き出せるように思われる。



稲荷縁起の杉は大神神社の杉であり大国主命を導き出す<験の杉>でもあった。
実際に大神神社の境内には<しるしの杉>が現存している。

また<杉(すぎ・サン)>は<木>と<三>に分解すれば、古今伝授の<三木>と
考えられ、<倭木>と表記することを併せて考えれば、国譲りする前の<倭国>を
構成していた者を<三木>としたのではあるまいか。
古今伝授には<三木三鳥>説と<三木三草三鳥>説があるが、伝承とは短くて簡単
なほど古いとされるので<三木三鳥>をとるが、三木とは<ヲガタマの木・メドニ
ケズリ花・カハナ草>である。これらは秋の七草の<尾花・萩・葛>と対応し、
尾花は<伽耶>・萩は<八掬脛・荒吐>・葛は<国巣>と私は比定している。














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