食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『夢追人、別れ』

2013年07月16日 17時30分29秒 | 趣味

兎,鳥猟専門から後述する猪猟への回数が増えるに従ってパピーの出番が減っ

ていく。鉄砲を持った姿を見ると連れて行ってもらえると思い大騒ぎするので人目

を避けるように出かけることが増える。犬との信頼関係はこうして崩れていくのか、

別の理由があるのか。パピーは段々と兎を追わなくなってきていた。鳥猟ばかりに

行っていたのでもない。三年間に限れば私にとっては優秀な犬であり満足させて

くれた。それが今は何一つとして満足させては呉れなくなってしまった。叩くことな

どなかったが『行け』と怒鳴ったことは何度もある。でもパピーは山が好きそうに見

えた。

夏バテや病気持ちの犬は残暑厳しい時期が赤信号だ。パピーには病気らしい兆

候は何一つなく、ただ気がかりは兎を起こさない、追わないことに尽きた。

九月の末に突然、他界した。娘が気付いた時はハーハーと苦しそうに息をして口

から泡みたいなヨダレを出す。それを拭いてやることと水を含ませてやることが唯

一の看病になった。すぐに舌を出し妻が病院に電話したが成す術のない状態で

あることを知らされただけだった。そして短い生涯の幕を引いた。家に帰るとタオ

ルをかけてもらい静かに寝ていた。子供たちが手向けた野花が添えられ、線香の

煙が揺れていた。子供も妻も涙を流しパピーの死を悲しんだ。Yさんの犬、ジャッ

クが眠る近くに埋葬してやった。暗がりで電池の明かりを頼りに穴を掘りながら無

性に涙が流れた。堪えても堪えてもどうすることもできず子供の前では、勿論のこ

と妻さえもこの涙を見せたくなかった。だから必死に堪えるのに、押さえることが出

来ずスコップの上にポタリと落ちる。

身体はタオルで包んでやり二度とつけることのない首輪を外して上に置く。好物

だった牛乳や卵、有り合わせのものを一緒に添えた。今、掘ったばかりの土を少し

ずつかけていく。子供たちの嗚咽が始まる。俺は男だ。涙は流さないぞ、と強がり

を言う。でもパピーよ、天国で自由奔放に暮らしておくれ。沢山の猟と思い出、

りがとう。さらば、パピー。

私の本心は誰にも判らなかっただろう。今こうして初めてその心を語るのだから。

休みの度にいつも一緒に山に行き昼飯を分ち合い、兎の獲物に喜び合ったことは

数え切れない。疲れ果てた二人がトボトボと雪の中、枯葉の中で家路を急いだこと、

山の清水に辿り着き顔をくっつけるようにして先を争い飲んだ水。

その夜は二人で過ごした山の思い出が走馬灯のように駆けめぐりそれが、暗がりの

中、独りで思い切り涙を流した。

多分、このような突然死はパルボではないかと思う。普通、パルボは下痢が伴うが別

名、コロリ病とも言われ空気感染し、その威力は半径、数キ口の犬を全滅させてしま

う。何の前ぶれもなく死ぬのはその強烈さからしてパルボに違いない。パピーにはフ

ィラリアの予防は万全にしてあった。


『弱肉強食』

2013年07月16日 17時20分51秒 | 日記

カブトムシたちが寄って来る楢の木、午後になってから草刈りのついで覗いて見た。

本日はカブト、クワガタなどの貴賓はお見えにならず所謂、庶民のコガネムシやス

ズメバチなどがワイワイと五月蝿い食事をしていた。よく見るとコガネムシ同士でも場

所の取り合いで戦っている。何処の世界も同じとみえて、いい場所でお食事をして

いる、のび太の所にジャイアンのような奴が来て、無理やりに場所をとってしまい、の

び太は仕方なく別の所へ。

食べ物を見つける能力、奪い取る能力のない生き物が生き延びることは難しい。とこ

ろが一時的にせよ食べ物を他人様にプレゼントする鳥がいる。恋の季節になるとカワ

セミのオスはメスにお魚のプレゼントをしてプロポーズする。振られても,無視されても

せっせとプレゼントを続け、その熱意に負けてカップルになんてこともありそう。涙ぐま

しいオスの努力。餌を沢山獲って来ることは生活能力あふれたオスの証しで子孫を残

すなら、こうした優秀な家系を選んでほしいとのアピールか。人間は食べ物を栽培した

り飼育したりする知恵を身に付け、貨幣価値に変換して分け合っている。表面上は上

手く回っているように見えるが、実際は大きな矛盾の中で弱肉強食の世界を繰り広げ

ているのだ。私たち日本人は、そうした中ではとても恵まれており、質・量ともに贅沢過

ぎるといってもいい。世界では20%未満の人が地球上の富(金銀財宝ではなく、食、資

源など)を牛耳っており、その恩恵に与かっていると言われている。残りの80%以上の

人は1日3回の食事にもありつけない、ましてや日本人が見向きもしない食料でも贅沢

品なんてことも当たり前。私がいつも口にする『食料自給率』の低さ、地球規模の異常

気象が出始めたら、その影響は私たちの食卓を直撃する。素人目にその兆候は分か

らないが、それが見えるようなことになるのに、そんなに大きな時間を必要としないの

ではないかと心配している。

アメリカの小麦が、ロシアの・・・・こうしたニュースが飛び交い出し、各国が自国の食料

確保優先に走り出した時、うまく立ち回る能力が日本にあるのか、これまた心配の種は

尽きない。


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