食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『夢追人、猟犬Ⅱ』

2013年07月12日 18時04分03秒 | 趣味

後で判ったことだがジャックは既にフィラリアに冒されていた。症状としてはそう重

いようには見えなかったが時折、ハーハーと苦しそうな格好をすることがあった。Y

さんは病院へも連れて行ったが血液検査をする限りフィラリアの幼虫は見えず『何

度か検査しないと判断はできん』と医者は言う。

フィラリアは正式にはミクロフィラリア、豚が多い所では発生率が高いらしく源は豚

かもしれない。フィラリアの幼虫はミクロサイズで犬の血管の中に住みつき栄養分

を吸収し成長するとラーメン大で長さは三十センチにもなると言うから育成度はす

ざましい。初期のころは経口薬を蚊の出る頃から秋まで与え予防することができる。

この時点では幼虫は蚊が吸える大きさだから顕微鏡でなければ見えない。しかし

成長するに従いそれは心臓に集まりやがては血液の流れを妨げるようになってい

く。犬が激しい運動をすると心臓の鼓動が大きくなる。虫はその中で動こうとする。

結果は歴然としている。

外から見た症状ではクシャミをし出すと軽い症状とされるが必ずしもこんな風には

ならない。成虫を殺すには手術をして虫を取り出す方法はあるが危険が大き過ぎ

現実的には困難、別の方法は成虫を殺す注射がある。この方法も危険で一発勝

負、成虫が暴れ心臓麻痺を起こす可能性が高い、死んだ成虫が血液の中で溶け

る時に犬がそれを吸収し切れるかの問題がある。最後の治療として注射を打ち死

んだ犬は沢山いる。

蚊は血を吸う時に一度、吐き出す。もし以前に吸った血の中にフィラリアがいれば

その時、犬の体内に入る。蚊にかまれない予防として周波音を出す発振機を据

え付ける(音が蜻蛉の羽音に近い周波数音で蚊が寄って来なくなるとあるが余り効

き目はない)、黄色の虫避け電灯をつける、香取線香をたく、などがある。今、飼っ

ているビーグルの『小丸』は昨年の夏にフィラリアにかかり死の淵から生還した犬

だ。大体、夏に体力が落ちた後で具体的な症状が出てくる。散歩に連れて出ると

直ぐに息苦しそうにハーハーとする。収まるのに段々、

時間がかかるようになる。気付いたらどうもフィラリアに間違いなさそうだ。

その内、いつもはピョンと上がる所さえも自力で上がれなくなり食欲はゼロ、ハーハ

ーと苦しそうで見ておられない。医者に相談したが打つ手はなく、自分の方から『注

射で治療して下さい』と申し出た。この医者とは酒を何度も交わした中だし『注射』の

意味を私が充分理解していることも知っている。

『そうか、そうするか』とだけ言った

注射は二回に分けて打つ。注射後およそ二週間で成虫は溶け出し、いわゆる拒絶

反応はその頃から始まると説明を受けた。小丸は頭を上げることさえ出来ず上目使

いにしか見ない、情けない顔をして助けを求めているように見えた。米子市住む妹

の見舞いまであり我が家にとっては毎日が臨戦体制だった。

餌は何をやっても、大好物の牛の生肉をやっても見向きもしないから、口の横から

無理矢理に食べ物を入れて、口を塞ぐと仕方なしにゴックンとする。その方法で食べ

させる状態が続いた。注射を決心したのはその後だった。

一か八と賭けをした約三週後に回復の兆しがみえ出し一命を取リ留めた。

一方、ジャックは訓練から帰ったその日の夕方に急死した。今も自分の家が見える

小高い山裾に眠っている。


『二重苦・三重苦の原発被害地』

2013年07月12日 17時58分37秒 | 日記

昨晩のクローズアップ現代はとてもショッキングな内容を取り上げていた。3.11で

制御不能に陥った東電の福島原発のために避難させられた人々は、自主避難を

含めての数字だと思うが15万人。当初、人の消えた町ではペットとして飼われて

いた犬や猫が突然に主を失い、中には十分な餌も得られない哀れな姿で徘徊し

ていた。それはペットに限らず飼育されていた牛や鶏も同じような運命を辿ってい

た。動物の生態系の中で頂点にいた人間の姿が消えると、どのようなことになるの

か、3.11の震災でこのようなことを考えるなんて、まさか・まさかだ。

今、浪江町、大熊町などでは避難して不在になった家の中はネズミ天国で、帰宅

を許され帰宅する度に被害が大きくなっていくのを見に行くようなものだとか。最

初の頃は、早く綺麗にして帰宅許可が出たら一刻も早く帰るつもりにしていたのに、

今となっては家を建て直すか、相当のリフォームをしなければ住める状態ではなく

なってきた。ある人は、この家に帰って住むことを諦めたと言っていた。壁、柱といわ

ずあちらこちらを齧り、穴を開けたり布団や衣類などは食い散らかされ、おまけにネ

ズミの糞尿、これはとても臭く少々のことでは消えない。仮に掃除をして表面的に綺

麗になっても、ネズミの被害に遭った跡に暮らす心境にはなれない。こうした被害の

中で一番怖いのは壁の内側や天井裏にある電気の配線をネズミが齧っているかも

知れないことだ。齧られたことでショートや漏電などによる火災の危険もあるから、そ

の検査も必要になるが調べるのも簡単ではない。東電はこうして追われた人たちの

住まいの補償をどのようにするのか。ネズミ被害で建て直す費用も当然の事、面倒

なければならないはずだが・・・・どうするのか、東電は

人間は鶏舎の鶏も放置したまま避難してしまった。ケージの中で水も餌もなくなれば

生き延びることなど出来はしないから、卵を産み落としたまま死を迎えざるを得ない。

ここでネズミは卵や死骸を食べ放題で、その跡は言葉を失うような光景だ。ネズミの

歩に天敵のハクビシンは我が世の出番とばかりにネズミ退治に現れる。こうした食

連鎖は何処まで続くのだろうか。

屋外ではイノシシが群れをつくり昼間から道路を占領している。猪は夜行性だから昼

は山の上や小高い安全な草むらなどで寝ているはずなのに、本来の習性すら失って

いる。人は怖いものなのに人が居なくなったから、怖いものは何もないということなの

か。あれから2年たったから、こうした猪たちは人のいない世界で2度の出産をしてい

る。子供は怖いはずの人間に出会うことがないから、人間を怖いとは思わないで育っ

ている。こうしたことが将来、人間と猪の関係にどのような影響、変化を表すのか予測

できないと専門家の意見が付された。

今までは人が管理していた畑は原野同然になり、野生動物には住みやすい環境に

り『動物たちの賑わい』は増していく。一方、それと隣接し今も畑を作っている農家

は増える野生動物から被害を守らなければならなくなり、深刻な問題だ。生態系まで

壊してしまった東電はどのように罪を償うのだろうか。まさか、得意の『カエルの面に

小便作戦』を決め込むつもりではなかろうな。


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