旧(アイマスな)駄目人間の溜り場

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生物と大絶滅

2011-05-16 15:00:00 | 
スティーブン・スタンレー著、長谷川義和・清水長訳。
定期的にセールをする謎の出版社、東京化学同人から出ている、
海外の本を和訳しているシリーズの1つだと思われる。
ちょっと変わった古書店にあるのを発見して、とりあえず確保した物。
表紙にトリケラトプスがいて、それだけでも目がひきつけられる。

で、内容としてはタイトルそのまま、生物の絶滅、しかも大絶滅と呼ばれるような、
大規模な物について、じっくりしっかり、200ページを超える全編フルカラーで、
写真・図も豊富に語られれている。

大絶滅、といえば、大抵の人は白亜紀末期のK/T境界の恐竜絶滅が……、
と意識が行くだろうが、そこも充分取り上げながらも、
そもそも生物における絶滅の定義(つまり生息域を減らすなどではなく)から、
大絶滅と呼ばれるものとは、そもそもどういうものなのか。という定義付けからはじまり。
地質年代の中で、先カンブリア紀から順に、カンブリア爆発の後の絶滅、
オルドビス紀、デボン紀、ぺルム紀末、中生代のそれぞれの紀の末、
などなど、主要な現在で言われる大絶滅の時期を、
それぞれ、どのような種が減ったのか、どの程度の割合で、
その減少の特徴は?考えられうる絶滅の原因になった物は?と、
それぞれについてしっかり語られていて、極めて読み応えのあるものになっている。

著者の持論として、基本的に大絶滅の原因は、気候変動の寒冷化。
というのがあるようで、どの絶滅の原因でもそれが非常にプッシュされていて、
白亜紀末のK/T境界のイリジウム濃度の異常についてもたいした問題ではない扱いには、
もはや、乾いた笑いしか出てこないのですが。
それにしても、寒冷化の論拠として、海洋のプランクトンの堆積速度の変化や構成種の変化、
プレートテクトニクスなどによる、極地方への大陸の移動など、
論拠もそれなりに示されていて、これがまた面白い。

通常の絶滅としては、見逃されがちな小型だったり、植物種だったりに、
しっかり注目して取り扱っているのもまたよかったです。

恐竜に関しては、ほとんど表紙詐欺のレベルでしたが。

とはいえ、生物の絶滅と、気候の変動、特に地学分野のプレートテクトニクスなどから、
原因を出していく、というのは格別に興味深く面白かったです。
その辺りに興味のある人なら楽しめるかと。
若干古めであり、本自体が馬鹿でかいのが問題ですが。
そんなこんなで、読むのに時間はかかりましたが、とても面白かったです。