内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「講義の合間にJ-POPはいかが?」

2019-12-12 23:59:59 | 講義の余白から

 二時間の授業を途中に休憩を入れずに続けることはこちらとしては別に難しいことではない。しかし、学生の側にしてみれば、その間ずっと集中力を維持し続けることは必ずしも容易なことではない。それはよくわかる。私自身、学生時代、授業とは、多くの場合、睡魔との仁義なき戦い以外の何ものでもなかったから。もし学生が教室で寝ていたとしても、だから、少しも腹は立たないだろうと思う。
 ところが、フランスで教えるようになって二十年余りになるが、授業中にすやすや寝ている学生には出逢ったことがない。おしゃべりが過ぎる学生はいても、爆睡しているような学生を教室で見たことがない。理由はわからない。授業がクソ面白くなくても、だからといって寝ているのはもったいない、だったら、おしゃべりしよう、ってことなのだろうか。
 この推測の可否はともかく、二時間ぶっ通しで席にじっとしたまま人の話を聴くのは楽ではないというのは、文化的差異を超えて、かなり普遍的な「人間的限界」と言えるのではないだろうか。
 そこで、こちらなりに工夫はする。12月に入ってからは、「冬になると日本でよく流れる曲」というテーマで、昭和・平成の風物詩と言ってもいいような定番曲を、日本語学習という名目は維持しつつ、二時間の授業の真ん中の5分間に紹介している。これが好評なのである。先週は、中島美嘉の「雪の華」をスクリーンに歌詞を映しながら聴かせたのだが、皆いたく気に入ったようである。