南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

通貨安競争の行きつく先

2010-11-12 13:36:39 | 経済
G20サミットで米国FRBの国債買い入れに対して、米ドル通貨安戦略だと各国が反発していました。
自らが発行した米国債を自らが買い取るということは、米ドルの輪転機を回すということですから、心配する意味合いはよくわかります。
「金本位制」ではありませんから、米ドルの価値を失えば単なる紙屑になってしまいますからね。
もしもの話、現代が「金本位制」ならば円高は大歓迎です。
米ドルやユーロを買い占め、それらの通貨を金と交換して、欧米の金塊をわが国の財産として手中にできますからね…。

昔々のローマ帝国時代にさかのぼりますと、金貨の誕生を見ることができます。
金貨そのものに価値がありますが大量に流通させるだけの金はありませんから、その金の価値を利用した「金本位制度」が1816年にイギリスで生まれました。
また国によっては「金本位制」だけでなく「銀本位制」や、金・銀を含んだ「複本位制」もありました。
これらによって“通貨”や“紙幣”の価値の裏付けを約束させたわけです。

その後、世界各国がこれに追随して、この制度は国際的に確立していきました。
この当時(幕末)にわが国は開国をするのですが、西欧列強が押し付けた開港条約によって、大量の金が流出してしまいました。
条約のなかに通貨交換の際の「同種同量の原則」があったので、外国貿易商は徳川幕府の一元的管理により国内レートは“銀高金安”であることを巧みに利用したのです。
わが国の金・銀の相対比価が1対5に対して、国際相場は1対15でした。
そこで貿易商は大量の1ドル銀貨を「同種同量の原則」により天保銀貨と交換し、当時は四進法でしたから4分銀貨で1両小判(金貨)に大量両替して海外へ持ち出したのです。
海外へ持ち出した小判は溶解して金塊にすれば“濡れ手に粟”の大儲けです。

なぜこんなに回りくどい説明をするのかといえば、信用の裏付けがない紙幣はどうなってしまうのかと心配だからです。
まさかそんなことはないと思いますが、また「金本位制」への回帰?…ないですよね。
でもゴールド価格はどんどんと上がっています。
(緑線が国際金価格で赤が国内金価格です)