![]() | 学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) |
福澤 諭吉 | |
筑摩書房 |
斎藤孝氏(なぜ日本人は学ばなくなったのか)に興味を覚えてその著書を探していたら、この「現代語訳 学問のすすめ」に当たりました。
文語体で書かれた「学問のすすめ」はいつも手元に置いていましたが、ちょっと読みにくいんですね。
近代日本の始まりの時期に世に出た「学問のすすめ」の中には、その後の日本で大事にされている価値、考え方の基本がすべて入っています。
その日本らしさが失われつつある現代にあらためて復活させたい名著ですが、読みにくさが最大の難点でした。
その難点を克服しているこの現代語訳、ひょっとしたら私の探し求める「学問のすすめ」の伝道者にふさわしいかもしれません。
機会を見つけてぜひ著者にお会いしたいものです。
本の横帯には“最高の生き方指南書”と書かれてありましたが、決して誇大広告ではありません。
今、各地協との対話集会をやっておりますが、どうかするとどこかで基本的な認識のズレを感ずることがあります。
たとえば「組織内だけで充分ではないか」「地域に顔を見せる必要はない」…。
そのズレを修正させるヒントが、この本から探し出せるような気がします。
第12編からの引用
「一身の衣食住を得てこれに満足するべきだ、とするならば、人間の生涯はただ生まれて死ぬだけだ。
死ぬときには生まれてくるときと何も変わらない。
このようにして子々孫々と続いていけば、何百世代を経ても村(地域)のありさまは変わらない。
『世の中の人がみな小さいところで満足していたならば、今日の世界は、それがはじまったときから何も変わっていなかったに違いない』」