南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

法と現実

2010-11-11 12:52:16 | 政治
戦争中は闇市で食料を調達しないと生きてはいけない現実がありました。
闇市はもちろん法律違反ですが、政府は現実を鑑みて事実上黙認していました。
多くの役人も闇市を利用していましたが、人を裁く身としてそれは許されないと考えた判事がいました。
悪法であっても“法は法”として、決して闇市を利用せず栄養失調で33歳の若さで亡くなります。
有名な「山口判事の餓死事件」です。

国によって定められた法律は、たとえバカバカしいものでも、たとえ不都合なものであっても守らなければなりません。
それが法治国家に生きる国民の義務であり、法律を破ったものは罰せられてその責任を負います。

一方、その法律は国民によって選ばれた国会議員によって定められます。
すなわち主権は国民にあるわけで、悪法であっても国民の代理人が定めたことになります。
もし法律に不備があるとすれば、主権者である国民が政府に対して声を上げなければいけません。
あるいは選挙によって代理人であるべき国会議員を変えなければなりません。
それが国民の権利です。

いずれにしても国民である以上、国法は守らなければなりません。
この基本をまずは念頭に置いて「尖閣諸島事件」を見てみましょう。
非常におかしな展開を見せています。

法律を犯した(当時は、であろう)中国人船長を様々な現実によって日本“側”は“超法規的”に釈放しました。
国会で追及された政府は、国民には非公開で一部国会議員に6分程度のビデオを見せました。
ビデオを見た国会議員は、「非は中国人船長にある」とマスコミに話していました。
国民の多くは「ビデオを公開すべきだ」と声を上げていましたが、突如、インターネットの投稿サイトに44分間の実写ビデオが公開されました。
その動画はテレビでも放送されて、多くの国民は中国側の非を事実として知りました。
そして昨日、海上保安庁職員が「私がやりました」と名乗り出ます。
さてこの職員をどう裁けばいいのでしょうか?
中国人船長は様々な現実を鑑みて無罪放免としましたが、その延長線上で起こったこの日本人を果たして裁くことができるのでしょうか?

もしあなたが総理大臣だとしたら…どうしますか?