南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

反転攻勢するならば・・・

2010-11-04 13:06:00 | 政治
米国民主党の敗因は経済政策にあったとオバマ大統領が記者会見で述べていました。
医療保険改革法や金融制度改革法を成立させたオバマ政権を私は高く評価しますが、これからオバマ政権はどこを軌道修正するのでしょうか。
敗因であると述べた経済政策とは景気対策法のことですが、史上最大規模といわれる8000億ドルもの財政出動を実行しました。
共和党はテレビコマーシャルでこの景気対策は、結果的に中国産品の対米輸出を増加させ、米国よりも中国で多くの雇用を生み出したと痛烈に批判しました。
確かに米国内の失業率の改善は見られませんし、改善を求めても中国政府の人民元安には変化がみられませんでした。
オバマ政権の対中政策に大きな変化が現れるかもしれません。

さてわが民主党も政治とカネ問題でボロボロ…外交では尖閣諸島に続いて北方領土へロシア大統領が上陸してボロボロ…有効な雇用(景気)対策も遅れがちでボロボロ…内閣支持率は菅内閣発足以来最低の36.4%(産経新聞)という急落ぶりです。
支持率に一喜一憂することは好みませんが、肝心要の政策がブレはじめると心配です。
特に“雇用”政策でのブレは禁物です。

わが国の良さは日本型経営と呼ばれたところにありました。
中長期的な視点で経営全般を考えて、短期的利益だけを追い求めるような経営は軽蔑されていました。
雇用関係も企業と労働者の間の長期契約の中で取り交わされ、双方にとって信頼関係がひとつの有用な財産となっておりました。
それがゆえに現場では上下の身分や職分を超えて情報を共有化し、改善や習熟のための検討や訓練が常時行われていました。

出稼ぎなどの短期の季節雇用が一般的だった時代もありますが、地方から都市部への人口移動とともに「季節労働者」の確保も難しくなりました。
次に登場してきたのは期間を限って雇用する「期間社員」でした。
この「期間社員」も企業との雇用契約のもとに採用されますので、それなりに労働条件は担保される性格のものでした。

決定的に日本の雇用環境を破壊したものは、1995年に経団連が提起した「新日本的経営システム」です。
経団連は自民党の力を借りて「労働者派遣法」や「入管法」の大改正を行いました。
当時、労働者側にも自由な移動や企業に縛られない生活が保障されるとして、歓迎する人々もいました。
一方、企業側では雇用の調整弁として低いコストで労働力を確保できることや、外国人労働者に対しても対応しやすいことなどから一気に派遣労働が拡大をしていきました。
その結果、わが国労働者のなんと1/3までが非正規労働者に置き換わってしまいました。
不況になって、派遣労働者がまるで物を捨てるように切り捨てられる状況をその目で見て、国民は大きな衝撃を受けました。

敗戦直後も大混乱に陥りましたが、それでも故郷には地域コミュニティが残っていました。
昔はみんなで助け合って生きていましたが、現代社会では家族の絆すら失われて人々はバラバラ、行き場を失った失業者が都市の公園などで冷たい雨に打たれています。
ようやく国民はそんな時代を変えなくてはならないと気づいて政権交代が成ったと思います。

民主党は国民との約束で「製造現場への派遣禁止」を掲げました。
間違えた法改正のために社会が崩壊したのですから、その過ちを正すことは当然です。
しかし経営側は猛反対、民主党包囲網を狭めつつあります。
今国会で成立させることができるか否かに、民主党の反転攻勢のカギが隠されています。