南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

「新」平等社会

2006-10-02 22:56:00 | Weblog

「希望格差社会」の著者山田昌弘氏が書いた「新平等社会」を読んだ。
著者はあとがきでこう述べている。
『「こうすれば希望格差社会から抜けられるというハウツー本を書けば、10倍売れるよ」と言われた。
そう言われた時、「うまい方法があれば、とっくに誰かが思いついていると思いますよ」と答えた。』
さすが私の好きな正直な人である。
しかし読み終えると、なにかしらの方向性は見えてくるから、これまたさすがである。

格差はなくなるか?と聞かれれば無くならないと私は思う。著者もそう考えている。
そのくだりを文中から拾ってみる。
『たとえ機会が均等になったとしても、市場は必ず、格差、つまりは「勝者」と「敗者」を生み出す。
自由な活動(主に経済)は、経済的格差を生み出す。
だからといって、自由な活動を規制したり、格差を全くなくすという「結果の平等」は、社会を停滞させる。』
同感である。
では何が問題なのか?
それは「許容できる範囲の格差」ではない点と、「勝者」はいいが「敗者」の行き場がない点である。

これからの社会づくりにヒントをもらえるであろうお薦めの1冊である。