考えるのが好きだった

徒然でなくても誰だっていろんなことを考える考える考える。だからそれを書きたい。

人は誰でも芸術家(かなり変更)

2006年10月25日 | 教育
 陳腐なタイトルだなぁ。。(笑)

 養老先生が、何かに、摂取カロリーか何かから言って、人が生き延びてきたのは、食べ物だけでないと書いていた。もっと違う何か精神性のようなモノがあったからではないかということを書いておられた。(いつものごとく、正確な言葉を覚えていない。)

 下級社会において、女は歌って踊ると、何かに書いてあった。(これは養老先生ではない。)

 さもありなん。

 今の子どもは、歌って踊るのが大好きである。ひと頃ほど、ピアノ熱はないのに(ピアノを弾ける生徒の割合は減っている。)、音楽熱が冷めないのは、ある程度の衣食が足りて、人間が生き延びる原動力だったであろうと(私が予測する)祭祀熱?、つまりは「歌って踊る」才能にこうこうと火が点り始めたのではないのかな。食べ物が乏しくても生き延びたのは、宗教性や「遊び」に関連する「歌って踊る」エネルギーがあったからではないのかな。余裕があるから「歌って踊る」のではなく、(養老先生がおっしゃることのように)そもそも人間が生きる原動力が「歌って踊る」欲望だったわけで、だから、ヒマができてたら益々やりたくなってきたのが、「歌って踊る」ことなのだ。

 社会が豊かになってくると、「見て楽しむ」芸術的要素も高まる。(要は、人間はそもそもが遊び人だということである。)高校の教科書でさえ、ぴかぴかカラーである。紙質も良くなければできまい。カラーのインクもなければできまい。それで、これが一体誰のためのモノかというと、「作る大人の楽しみ(換言すれば、仕事)」で、使う子どものためのモノではないのである。紙を作る大人、インクを作る大人、デザインする大人の仕事という楽しみだったのである。

 で、こんなにつるりとした「きれいな」本で勉強をした生徒が、古い黴くさい資料に興味を示すのだろうか?という大いなる疑問を持つが、以下のような考え方もあるだろう。 
 見た目が悪い資料に興味を示すのは、ごく最近、ここ100年、200年の趣味の問題でしかない、きっと。歴史を紐解くには、歴史の積み重ねが必要で、書いたモノの伝統は、せいぜいでここ数百年でしかない。よって、汚くてカビが生え、虫食いだらけの古文書を有り難がるのも、ここ数百年の趣味なのである。長い長い人間の歴史から見れば、それこそ、歌って踊って神に祈りつつ生き延びてきた太古の祖先から見れば、「ついこの間」である。
 だから、古の物品を有り難がる趣味を持つ人間の歴史も、非常に浅いモノである。

 だから、ぴかぴかのカラー教科書の存在は、しようがないないのである。だって、人が「今」を生き延びるのを目的にするのが、大昔からの「芸術」の役割だったのだろうから。だから、今の大人がせっせと知恵を絞って、紙とインクと労力をふんだんに使って教科書を作るというその作業そのものが、一種の「芸術」で、多くの人が生きていくための生きがいと糧になるのである。人は、そんな風にでも芸術を使って、今も生きているのである、きっと。

 女の子が「おしゃれ」にうつつを抜かすのも、しようがないのである。
 なるほど。

2 コメント

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拾った教科書から (森下礼)
2006-10-26 00:08:02
私はなんであれ拾うのが趣味で、新学期に大量に捨てられる教科書もよく拾います。(高校教科書より中学教科書を拾うことが多いですが)

 この前ちょっと時期遅れで拾った中学教科書・・・国語、数学、理科について、ちょうど新指導要領のビフォア・アフターのサンプルになりました。

 どの科目でも、ほりさんが言われるように、ピカピカになっていました。紙自体が白い上質なものに変わりました。

 でも、これって、目に悪いのでは?また、数学の教科書もカラフルになっていますが、数学教科書がカラフルなのは考え物なのでは?モノカラーのほうが頭脳の訓練にいいのでは?実際、数学の授業でカラー・チョークが必要になることが多いのは、あくまで理解を助けるためであって、これは生徒へのサービス過剰と言えるかも知れません。

 国語教科書の光村出版にTELしたところ、以上のような傾向は確かにそのとおりで、新指導要領の導入以前は教科書会社のあいだで暗黙の「教科書つくりのルール」があったのだけど、それが崩壊してしまい、一社がカラー化、ヴィジュアル化に走ると、他社も同じことをしなければならなくなった、とのお話でした。

 生徒に「考える」機会を提供する、といった視点では、最近の教育は逆行していますね。
オトナが生きるための教科書(笑) (ほり(管理人))
2006-10-26 19:52:57
森下礼さん、いつもコメントをありがとうございます。



雑に書いてUPした記事だったので、コメントをいただいた後でしたが、かなり変更して書き直しました。



おっしゃるとおり、考える力を奪っているように思います。何でそこまでカラーなの?と思います。ラジオがテレビになって想像力を奪うと言われ、しかもカラーになった。

機械が優秀になればなるほど、使う人間はバカになるものです。



白黒よりも、カラーの方が「わかりやすく」「高級感」がある。手が込んでいて、その分「良い感じ」がする。

だれも、「思考力養成」なんて考えてないです。

教員も保護者もこういった論理がわからない。教科書会社は売れることを考える。市場化というヤツでしょうね。

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