長年中立政策を取ってきた、スウエーデン。
戦後、対ロシア融和的中立政策を取ってきたフィンランド。
ロシアのウクライナ侵略は、この2か国の外交政策を激変させました。
フィンランドは、侵略後と侵略前では国民の意識が大きく変化しました。侵略前は、中立を支持する国民の方が多数でした。侵略後は、フィンランド国民の意識は一気に変化しNATO加盟に賛成する国民が増えました。
スウエーデンも事情は同じです。長年の中立政策を、大変更してフィンランドとともにNATO加盟を申請しました。
フィンランドとスウエーデンには複雑な歴史があります。フィンランドは、極寒の北欧の小国です。
古い時代には、キエフ大公国の一部でした。
その後、スウエーデン王国とロシア帝国の戦争の舞台になりました。勝ったほうがフィンランドを支配する構図です。
ロシア帝国で起きた共産主義革命を利用して、フィンランドは独立を果たします。
第二次世界大戦のとき、ソ連はフィンランドの軍事侵略を実行します。それが冬戦争です。
冬戦争 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E6%88%A6%E4%BA%89
この時、西側諸国もナチスドイツとの戦争中で民主主義国家であるフィンランドへの支援は、ありませんでした。フィンランドは、独力で戦争を戦うしかありませんでした。しかし、この時陰に日向にフィンランドを支えたのが、当時のスウエーデンです。実質的にフィンランドの後方支援基地の役割を果たしました。フィンランドの子供たちの多くは、スウエーデンに疎開しました。
フィンランドがソ連との冬戦争に勝てたのは、このような隠れたスウエーデンの大きな支援があったからです。スウエーデンにも打算は、あります。フィンランドがソ連に屈すれば、次はスウエーデンです。
しかし、この出来事が戦後、フィンランドとスウエーデンの親しい関係を作り出しました。今では、北欧の姉妹国家と言えるような関係です。
フィンランドは、スウエーデンにとって盾のような国家であるわけです。当然にフィンランドの仮想敵国は、ロシアです。戦後の長いときを経て、フィンランドは現在ヨーロッパ最強ともいえる陸軍を作り上げました。だから、フィンランドが軍事的に弱いからNATOに加盟申請したわけではありません。独力でもロシアと戦える軍事力は保有しています。それを、より強固なものにするためにNATOに加盟申請しました。
スウエーデンとほぼ同じ時期に加盟申請したのは、姉妹国家だからです。「一緒に行動しようね」と言うことです。
ところが、トルコが特にスウエーデンに対して拒否反応が強いです。トルコの憎むトルコ内クルド人過激派のメンバーを、スウエーデンは匿いトルコに批判的な態度を取ってきたからです。加えて、去年デンマークの過激右翼がスウエーデン国内でトルコやイスラム圏を激怒させるような事件を起こしました。
ブルガリアは、国内が割れており親ロシア派の首相と親ユーロ派の大統領と議会があります。しかし、議会が両国のNATO加盟を認める決議をする流れになっています。
NATO加盟には、加盟国全部の批准が必要です。
残るは、トルコ1国のみとなりました。
トルコは、フィンランドには特にわだかまりはありません。スウエーデンに大きなわだかまりを持っています。
これまで両国は、NATOの同時加盟のために外交的努力を継続してきました。しかし、トルコとの関係を考えると長くなります。そこでフィンランドの先行加盟を先に実現しようという動きになってきました。
フィンランド先行「可能性高まる」 NATO加盟でスウェーデン首相
2023年03月14日20時22分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031401068&g=int
スウェーデン首相の方から、そう言ってもらわないとフィンランドは、そう出来ないわけです。スウェーデン首相が、そう言ってくれれば、とりあえず先行してフィンランドのNATO先行加盟が実現します。
地図を見れば分かりますが、ロシアと1300kmに及ぶ国境線を有しているのは、フィンランドです。ノルウエーもNATO加盟国です。だから、フィンランドのNATO加盟がNATOにとっても、重要です。フィンランドの強力な国防力と、1300kmに及ぶ長い国境線はスカンジナビア半島へのロシアの軍事的圧力を大きく減らします。そして今、北極圏でのNATOとロシアの競り合いがあります。これにも、フィンランドのNATO加盟は大きな意味を持ちます。
そのため、フィンランドの先行加盟をスウエーデンが発言したわけです。とにかく、先に対ロシア包囲網を完成させようと言うことです。それが、完成してしまえばロシアがスウエーデンに軍事的圧力をかけるのは、事実上不可能になります。
南はトルコから北はフィンランドに至る長大で強力な対ロシア包囲網が完成してしまえば、ロシアが軍事的な影響力をヨーロッパに及ぼすのは、事実上不可能になります。
今、一番弱い立場にあるのがバルト3国です。どれも小国でロシアかロシアのポチのベラルーシと国境を接しています。その北のフィンランドがNATOに加盟すれば、ここにもロシアは手出ししにくくなります。
そして眠れる軍事大国ドイツは、バルト3国の防衛を宣言しました。具体的には、ドイツ国防軍のバルト3国の駐留兵力が増えます。これまでは、大隊規模でした。旅団規模のドイツ軍を常駐させると宣言しました。5000人規模の機甲部隊や機械化部隊その他一式の戦争道具を備えた部隊です。
もう、この辺りにはロシアが手出しするのは、不可能です。
ウクライナに気軽に火遊びを仕掛けたばかりに?
ロシアにとって悪夢の対ロシア包囲網が、ほぼ完成してしまいました。これは、最悪の最悪と言えます。こうしないために長年ソ連は、色いろ努力してきました。
おまけに平和ボケで眠りこけていた、ドイツ国防軍の「枕」を蹴飛ばして無理やり叩き起こしたようなものです。ドイツのゲルマン魂に火が付きました。
つまり、「絶対、こうするな!」と言う長年ソ連が努力してきたことを、全部某プーチンは、やり遂げてしまいました。
ドイツは、とことん整備が終わり次第レオパルト戦車をウクライナに送り込むでしょう。
ロシアの戦車は、今ウクライナの戦場にある分だけで、あとは倉庫に眠っている?ウンと!古いT-55?戦車しかないと思います。これは、50年以上前の旧式戦車です。整備するだけで大変でしょう。
要は、ロシアに有利な部分はないと言うことです。
訓練も装備もない素人兵士の頭数が多いだけです。
それが、ドイツの戦車と戦うのですよ?
北朝鮮とイランのお情けにすがっても、大したことはしてもらえないと思います。
中国に頼むには、ガス田や油田の権益と引き換えでないと無理でしょう。それやるとロシアの稼ぎがなくなります。
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