午前3時過ぎ現在の旧布施市界隈の気温は電光温度計で2度。今夜はそれに低気圧がもたらした雨の後の寒風が総てをなぎ倒し、バイクも倒れているほどだった。当然、寒風は体温を奪い体感気温を確実に零下にする。そんな中で新年会に飲み疲れて店から出てきたオメデタイ連中は如何でもいいが、近鉄布施駅界隈にダンボール囲いをつくるなどして、ささやかな休息をとる野宿者が今夜も15人いた。温かい場で寒さをしのいでいる野宿者にはカイロはさほど必要ではないが、風の通り道になる場でダンボールで囲って風を防いでいるだけの野宿者にはたとえ小さな使い捨てカイロでも有難いものだ。寒気が襲う最近の毎日曜未明同様、一段と激しい週明けの寒さ対策のためのカイロを今夜は配布しておいた。明後日には布施戎の宵戎を控えたこの街は笹を持った商魂たくましいぎらついた連中で一杯になるが、その片すみで、この地でも野宿者が生きている。戎の微笑みは、商魂たくましい連中のご都合にまみれているが、底辺下層の同輩のものとして奪い返されてしかるべきではないか。そんな事を考える時節がまたやってきた。ダンボールを敷いて暫し横になった筆者は再び寒風のつくる寒気の壁に挑みながら、つま先に痛みとして寒気を受け、朝の来る方向へ急いだ。「今年は寒いぞ」という「南港臨泊」帰還組の1人の言葉を思い出して。俄かに暖かい空間で過ごした野宿者は路傍に戻ってかなりの確率で身体を壊すか、凍死する恐れがあるが、その当人は大丈夫だろうか…などと考えながら。