元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

音楽室5号 第5章

2021-06-22 07:23:00 | 音楽室5号

 


第5章
(FORCEだよ。ルーク。ホースだ!。はぁ馬ですか?馬の口から水を撒くんですかい?)


 一日中、歩き続けたキーホーは自律神経に疲労感をプレゼントされました。

 交感神経に副交感神経が爆撃を受けている模様でした。

 さて、そこで、キーホーは黒いバスを待つ事にしました。

 キーホーは、とろんとしました。

  すると、

   キーホーは

    小さな停留所で

     隣のベンチで船虫の様に丸まった、

      カエルに似た、おばあさんに話しかけられたのです。


「あたしゃ処女でね。」

「僕はDO ̄TEIでね。」

「え?何でっしゃろ。あたしゃ英語は、わかりましょぇん。ひぃぃ。」

 沈黙が続きました。その一掴みの時間が、あの夕暮れの淡い、もの悲しい、奇妙な、ひとときであった事を、記しておきましょう。

   ヒュ───────────────ゥ。

(汚れなき?七十五才と、汚れなき?十九才の出会いだぁ。

 す・て・きじゃないか。

 でも、どうして僕は、このようなワンダフル~なゾーンの中にいても、寂しくて寂しくて仕方がないのかなぁ?

 きっと僕にも世界にも、なぁんにも意味が、ないからじゃないのかなぁ。

 あぁ。

 でも、今の僕と、おばぁさん、ステキだなぁ。

 感動的だなぁ。爆裂ロマンチックだなぁ。

 夕陽が雰囲気(むぅど)を盛り立てるなぁ。)


《 そして、恥じらいながらも二人は、しだいに、

  しだいに、寄り添ってゆくのであったぁ。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チン! 》


 キーホーは、とってもセクシーな、おばあさんを感じています。

彼女の肌を、その下の血潮を、魂のうごめきを、感じているのです。

彼女の方も、キーホーに感じているらしいのです。

それに、この信じがたいリリカルな風景。

まるで夏のオレンジ・ジュースの、ひと雫の内部(なか)に入っているみたいです。


 キーホーは、やさしい声で言いました。

 頬を赤くし、モジモジして。

「あのぅ。僕は今、とても、あぁ、なんて言うのか、その。胸が、張り裂けそうで・・・・・」

「まあ。・・・あ・あたしも、なんだか息苦しゅうてなぁ。
 あんたのよぉな人、・・・あたしゃ今まで感じたこたぁないねんよぅ。
 ぁあ・・・あたしゃ、あんたを、心の底から愛してしまったぁ。」


 おばあさんは、まっ赤に染まり、キーホーは、いとおしさが一杯です。

ついにキーホーは、おばあさんをベンチに押し倒して抱きしめて、

KISS、KISS、KISS。


 敏感な、おばあさんの身体に、余計に刺激され、ついに、キーホー・・・は・・・

 キーホ・・・・・は、二人は・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・結合してしまったのです。ハート


   チャン! チャン! ※

 注。あとの方のチャン!に、アクセントを置く事。


 冷たい風がオレンジの時間を運び去り、バスが恐ろしい程、非情な感じで、やって来ました。

キーホーは、冷蔵庫のようでした。

老婆は、萎れて隅でクシャッと縮こまってやがります。

そのうち、老婆は、冷たい風にコトンとベンチから吹き落とされて、枯れ草玉みたいにコロコロと、遥かな山の方に飛んで行ってしまいました。

(ああ、まただ。僕は淋しくてたまらない。

 そうだ、またスカートめくりを忘れていた。

 僕は、どうして、こんなに辛いのだろう。)



 キーホーは、しょんぼりと背を、くの字形に丸めて、シュウ、シュウと音をたてている氷のような黒バスのタラップを、一段、一段、昇って行きました。

汚れてしまった?七十五才と十九才は別れました。

運命の冷たい風が引き裂いたのです。

キーホーは、もう、おばあさんの事など、すっかり忘れてしまって、唯、黒バスの硬質の冷たさに恐怖しているのでした。

淋しい・・

 

(何かが僕から遠いところへ去ってしまった。

 なんて寂しいんだ。

 いったい僕は何のために動いたり考えたり感じたりしているんだろう。

 答えが、ずっと、ずっと遠くにある様な気がする。

 だから、こんなに悲しいんだ。きっと、そうだ。)





KIPPLE


音楽室5号 第4章

2021-06-21 06:59:54 | 音楽室5号

 


第4章
(そう。波の音で美少女の言葉はマルチェロの耳に届かない)


サック。サック。サック。サック。サック。


 しばらく行って砂浜が跡切れ、皮膚病の様に大地が不規則に起伏している丘陵地帯に差し掛かると、キーホーの頭ん中で何者かが、暴動を始めやがりました。


 ちっちゃな奴らが、おっきな集団になって、なんだか古くて汚れたものを破壊しようとしているのです。

 目から火花が飛びます。

 細かいガラスの破片が、頭ん中でシャッフルされているみたいで、もうキーホーには、何が起ころうとしているのかなんて考える事は一体全体、さっぱり、けっぱり、不可能なのでした。



 キーホーは、大きな工場地帯の入り口あたりの小高い丘の上に、いつの間にか立っているのでした。

 そこからは、数百本の高い煙突が悲しいくらいに、揃いも揃って、薄汚れて全く同じ形をして林立しているのが見えました。


 頭ん中で暴動が続いて、景色に数百億のサイケデリックな火花が交錯し、時間に対する認識保持感覚が狂い始め、キーホーは空間が傾斜しているのを、はっきりと、ピッチリリンと、感じ取れるくらいに破滅的でした。


 その時、数百本の煙突が十本に整理されるなぁんて事が、実際に起こったんですよ。


 頭ん中で凍てついたゼリーのような、常識的な、非主体的な~~~~~~~あぁぁ、何と言うか?~~~えぇと、~~~~~回りの動くままに定められて、どうにも、こうにも、否定できなくなってしまった、ある種の理念と言うか?~~~観念というか?~~~。
とにかく、そのキーホーが生まれて、この方、ずっと信じ込み、抱きしめ続けてきたモノの見方に突然、あの硬質ガラスの砕け散る様に無数の亀裂が入り、星雲の破裂!みたいに木端微塵に吹き飛び、そこに全く新しい、ものが生まれたのです。
キーホーは、キーホーであり続けながらも全く違った能力と、いふか、思考の巣を持つキーホーになったのです。


 そして、まぁ、どうでしょう、その時、ついに、運命的に、煙突は一本になってしまいました。

 オバケエントツって言葉を、キーホーは理解しかねますね!ね。



 さぁてと。

 

おばけ煙突

 



 音楽室へ。




  ピリ。ピリ。



 

 サック。   サック。   サック。





KIPPLE


音楽室5号 第3章

2021-06-20 07:03:00 | 音楽室5号

 


第3章

(人形に似た人間と機械に似た人間と、その逆の人達が一様に丸く黄色く濁った目をして無意味にポーズを気取っている。誰かが言ったのだ。そう、この物凄い時の流れの中で誰かが“時が止まったようだ”なんて!?)

 白い大粒の砂に左足を奪われたキーホーは右足を忘れていました。

 でも砂はキーホーの力には、かなわなかったので左足は余裕シャクシャクと大粒の砂を蹴散らしてやったのです。

 

 

 空には何も無かったのです。

 空は全体をボォゥッと青白く光らせ、アルコール液内の死人の肌の様に魅惑的でした。

 その時、キーホーは右足を思い出し、歩ける事を知りました。

 しかし、淋しさは、ぬぐいきれません。

 相変わらず。


“さぁ海に沿って音楽室へ向かおう”


 しばらく行くと緑色の広いゴザの上に透明な少女が存在していました。

 キーホーは、どうしてか恥ずかしくて顔を桜色に染め、伏せ目がちに近付いて行きました。

 透明な少女は、膝をついて白く大きな、がらぁんとした画用紙に指で絵を描いていました。

 キーホーは勇気を出して、その美しい透明な少女の近くへ行き、こう言いました。

「明日は明日の風が吹く?」

 少女は黙っています。

 たぶんヴィヴィアン・リーに気持ちが伝わらないからでしょう。

スカーレット・オハラはタラの広野にテレポーティションしたんですよ。

だって、消しゴムが口を消すより井戸に落ちたシルクハットなんだから。※

 ※注。この部分に意味は無い。私、作者は、もう、これ以上、意味のない事をつらつら書かない事を、ここで宣言します。よろしくね。

 それでは、もう一度、キーホーが少女に話しかけるトコロから。


   ハイ!


 キーホーは勇気を出して、その美しい透明な少女の近くへ行き、こう言いました。

「何の絵?」

 すると

「あなた、私が見えますの?」


   ☆ ☆☆☆ ☆


「あっ!あっ!そうか!君は透明な少女!」

 そのようでした。

 キーホーにも誰にも少女の姿は見えないのでした。

 でも画用紙は見えました。

 そこには美しい少女の絵が描かれておりました。

 その絵の中の少女は透明な少女に色が付いたんだという事は、キーホーには、ちゃぁーんと、わかっていましたさ。

(そうだよ。僕も少女も誰もかも、こんな事、十年も前から、わかっていた様な気がするよ。

 ほら、わかるだろう。

 僕は、十年前に祖父の書斎で燈っていた、小さなランプの灯りが、軒下の防火用水桶の水面に、ゆらゆら揺れているのを、さめざめと降り続ける雨の中で、偶然に見つけた様な気持ちなんだ。

 胸の奥で何かが遠のいて、遠のいて、キューッと侘びしくなる)


 突然、絵にがつきました。

 瞬く間に黒い燃え滓と化した少女の絵は、かろうじて、まだ、その原形を保っており、キーホーに向かって何かを伝えようと蠢いている様でありました。

絵ぼうぼう


 とうとう風に、細かい灰に、分解されてしまった時です。

 小さな声が聞こえました。

“押し入れ事件がありましてね。ついに指を、噛み砕いて血でボードに「鳥」って書いてしまいましたよ”

 風は海に消え、灰も飛沫に混じりました。

 透明な少女は誰にも見えないのですから、いないも同じです。


 さぁ。

 音楽室へ。


 キーホーは、歩きながら再び、ふっと淋しく感じて、またスカートめくりの機会を無駄にしてしまった事を悔やみました。

でも、透明だもん、しょうがないやって、少し自分をごまかしました。


砂浜、砂浜。


 サック。サック。サック。



 サック。   サック。   サック。





KIPPLE


音楽室5号 第2章

2021-06-19 07:04:06 | 音楽室5号

 


第2章
(毛は、どこにでも侵入するという震撼すべき、その事実。ケ・ケ・ケ)


 カタカタと、コカコーラの空き缶が小さく呻いていました。

      目くるくる

 ピカピカ輝きながら銀色電車は冷たいプラットフォームに滑り込んできました。

 電車と大気の巻き起こした突風が夏の終わりの鋭角的な陽光の中に、カラカラと空き缶を転がしました。

 キーホーは改札の影の領域を抜け出してオレンジ色の夕暮れに体を割り込ませてゆきました。



 むっつりした人達が青ざめた駅構内の空気の中に溢れ出しました。

 一帯は、たちまち肉の渦となって人間切符切りは滑稽な自動人形と化してしまいました。(自動改札故障の為、人間が切符を切っていたぁ!)

 人々は滝の様に階段とエスカレータを落下していきます。

 キーホーは銀色電車に電動ノコギリを振り回して乗り込み、軽やかに座席を確保しました。

 キーホーは窓から構内の様子を淋しそうに眺めています。


 天井では、どす黒い大きな鳥が雑踏めがけて、タメ息を落としていました。


 やや!改札口で、一悶着おきた様だ。

 バイオ・プロレスラーみたいなサラリーマンが勢いよく人々の頭上を飛び跳ねています。

 それを仕事場を放棄した人間切符切りが真っ赤(マッカ)になって怒鳴り散らして空中を旋回しているのです。


 職員の消えた壊れた自動改札口には、ソレッ!とばかり乗り越し客達が押し寄せていました。



 静かに銀色電車は動き始め、キーホーは構内の騒ぎから目を離して小さくつぶやきました。

 「メリークリスマス」




 電車の開いた窓から狂おしい夕陽の反射がキーホーを刺します。

 キーホーの隣には、なんとコケティッシュな、りょう子さんが秘かに微笑んでいるではありませんか!

「あらら。まぁ。」

 りょう子さんはキーホーの動揺を見抜いて意地悪く目を光らせました。

「何を恥じてるの?
 あなたの心は、まだまだ死んだ子猫みたいに綺麗なのよねぇ。
 パッピィ。パッピィ。
 グリューゲン。グリューゲン!」

 りょう子さんの言葉には明らかに侮蔑と好意がゴチャマゼに含まれていました。

 感受性の鋭いキーホーは、しっかりと言葉の意味を捕まえました。

 こう言い返したのです。

「ざけんじゃねぇやい!」


 りょう子さんの顔が急にシリアスになりました。

 通り過ぎる高架線下の商店街では、けばけばしいネオンライトと濃くなった夕陽が複雑に絡み合って、あたりに靄の様にたちこめているのが窓から窺えました。

 りょう子さんの可愛い唇が蠢きました。

「純粋乞食!」


 遠い空の彼方で道路工事の硬質な音が鳴り響いていました。

 キーホーは激昂しました。

「な・なんて表現をするんだ。
 なんて女だ!」

 キーホーは、りょう子さんの前で両手両足を鳥の様にバタバタさせました。  顔は小刻みに震えています。

「あら、そんなに興奮しちゃって。
 そうよ、あなたは絶対に宇宙の終わりまで童貞のオタクちゃんなのよ」

「それで僕が病気であるって事が少しは救われるんだよ!」

 キーホーは息を切らしながら、ふと、手のひらから水をこぼした様に言いました。

 すると、りょう子さんが、

「何から?」

 と薄笑いを浮かべましたのでキーホーは、

「うわぁ---------!」

 と叫ぶと狭い窓から夕闇の空に羽ばたき、気付いてみると内臓の様なギッシリとした街を空中から、それも百メートル程の高さから見下ろして(俯瞰)いる自分に気づきながら、落下していきました。


 ペシャン!!

 キーホーは着地しました。

 ひと息ついて、ぐるりを見渡すと一斉に街路の水銀灯が淡い光達を拡散させ始めました。

 キーホーは左を向きました。

 彼の瞳に誰もいない薄暗い路地が映りました。

 路地の中では小さな、つむじ風が枯れ草をころがしていました。

 ふいにキーホーの頭の中で“カーン”という鋭く透明感のある音が飛び散りました。

 すると、たちまちキーホーは自分の役割を思い出したのです。

(ああ嫌だ、嫌だ、何故、僕は役割を果たさなきゃならないんだろう。
 ええい!街灯も自分も全て消えてしまえ!
 今、この瞬間から、この世、全て、消えてしまえ!)

 キーホーは体中が、がらんどう化した気分になり思いきり唇を噛み締めました。

 ごった返したオレンジゼリーの風景が凄まじい速さでキーホーだけを残して落下してゆく様な気分でした。

ハート

「おにいちゃん、はい。これあげる」

ハート

 キーホーは目をパチパチしました。

 リボンを結んだ白い麻のスカートの女の子が天使の顔をしてキーホーにペロペロキャンディを差し出していたのです。

 キーホーは救いを感じました。

 キーホーのがらんどうの中からサイダーの気泡みたいに強烈な清涼感となって無限の海岸が湧き出し、少年の頃、修学旅行の深夜、布団の中で生まれて初めて胸に宿した、あのメランコリックな永遠への感傷までが吹き出してきたのでした。


 一筋の涙が頬を伝い、金色に美しく光りました。

「僕はね、僕はね」

 キーホーは渾身の力をこめて少女の鳩尾(みぞおち)を天高く蹴り上げました。

 そして、高層ビルの彼方の夕陽に向かって猛スピードで消えてゆく天使の顔をした少女に向かって、ペロペロキャンディーをBye・Byeと振りながら言いました。

「僕はね。とても淋しかったんだよぉぉぉおお。
 ありがとぉぉおおおぉぉ・・・」



 キーホーは、その後、気を取り直して海に向かって歩き始めたのですが、夜空にキラキラ波しぶきの様に貼り付いた星たちを背にしていると、なんだか再び気分が、しゅんとなって、

(ああ。僕はダメだなぁ。
 どうして女の子のスカートをめくらなかったんだろう。
 どうして、いっつも後になって思い出すんだろう)

 と、しみじみと考え込んでしまうのでした。



 夜が来て、

 朝が来ると、

 キーホーは砂浜を歩いていました。



 サック。   サック。   サック。





KIPPLE


音楽室5号 第1章

2021-06-18 07:39:17 | 音楽室5号

 


第1章

(第3の涙は今日も、お話に来てくれなかった。※だ・ら・しちゃうもん。※注。堕落の事。)


 雨の降る午後、キーホーのもとに小さな書簡が届きました。

 キーホーは鳥が飛んでくの、たまに見る。

白くて大きな広い、でぇっかぁい、がらぁんとした、荒涼とした部屋に一人で木の椅子に凭れるキーホー。


特に何か、ありますか?


「別に」


 キーホーは自分が、おかしいのを知っています。

でも何という病気か、分かりません。

症状が、どんな病気に対しても、あんまりフィットしないのです。

アゴラフォビアの様であり梅毒の様であり自閉症の様であり仮面鬱病の様であり生きていない様であり、でも全部に当てはまり、全部に当てはまらない症状が一杯あるのです。

他人が大嫌いで大好きだし、外出もしたいけど籠もっていたいし、考えたいけどボォッとしていたいし。


 背後で雲が空と擦れ合う音が、するすると端から端を通り抜け、首を吊った猫みたいに空気がパタンと本を閉じる様な弾け方をしましたのでキーホーは総合的に命令の意味論をすぅっと肺の中に吸い込みますと、状況に目覚めました。


んで。


 キーホーは脳のセロトニン神経細胞をしょぼしょぼさせながらも書簡を開いて読んでみたのです。






:書簡の内容。

  ↓

『やあ。何かあるかね?
 無いね。
 まあ、何でもいいけど。
 じゃ、いくよ。
 これが今度の報告だ。
 GOOD LUCK。
「臨床的な精神におけるGABA流体フィードバックA10経常収支は資本論的収支と供に総称して阿称COMPと呼ばれている訳だが、米国のH・E・デッガー氏の説によれば筋縮的に多岐発生型の断層移重相乗効果によるモ・ル・ド・ム〔人間の対近未来乗り入れ的に未発達化した固着状態への一時的固執により生じた内因的かつ、奥床合差の不均衡状態からの不安神経症の残滓的な意識断層への絶対無意識なる介入〕が、ある一定のトラウマ・外傷的因果のため、漸増的に拡散状態に(その権欲組織統制の欠如の充足のため)なる。
それにより、一時的な健忘症や、時によっては自我欲動のあまりにも複雑な要因的被虐混乱(マリンティック=カオス)のため逆に性的欲動が代償のための活動場を得るチャンスだ!とばかりに笊法的に崩壊寸前の全前進欲動に志向移項の顕在的誘動を行う。
そして、暴れ回る自我欲動“エラン・ヴィタール”を所々に執着を残しながらも見捨てて、欲動部位へ全意識を投入する事もあり得る。
そして彼はスカートめくりを、するでしょう。
----------U・H・カーロム(1915年)」
「意識と無意識との可能性連結に後者のリビドーをシンクロしたてたのはフロイトだけど私は、そんなもん断固否定してやる!
人間の行為とその因果関係は全て、その肉体の造形に由来する。
無意識の中で生後から発達し続けるのは前進機能である。
リビドーは、これのほんの一部に過ぎないともアホに敬意を払って言っておく事も出来ないことも無い。
これは肉体機能の歩行による前進から来るもので歩行開始時から人間は生への前進という避けがたい動力を与えられてしまう。
そして肉体は立ち上がり自由に後退もできる様になる。
その頃から退行機能が現れてくるのだ。
要するに人間の精神は前進と後退で行ったり来たりして停止状態に近いところに居座っていて、もし、そのバランスが崩れた、もしくは過度なる状態になると、記憶という経験的印象が少々、過激な諸行動に人間を駆り立てるのでありまする。
乃ち!、彼は、音楽室へ行き目玉にピアノ線を刺すでしょう。
----------モーリタリア
          S・P・ブブ(1934年)」                  』




 キーホーは書簡を読み終えました。

キーホーは無限記号の様に腕組みをして、ゆっくりと視界にブラインドを降ろして、つぶやきました。


「ほう。」。」。」。」・・・・・・・・・・

   (そして、かったるそうに)

「「「「「「「「あぁあ」



キーホーは、スカートめくりをして、音楽室へ行き目玉にピアノ線を刺すことになりました。

いや、音楽室へ行き目玉にピアノ線を刺してから、スカートめくりをする方が、よいのかもしれないな。

とにかく両方やればよいだろう。

キーホーは、そう言いきかせると視界のブラインドを引き上げ、ゴムの様に腕を弾かせました。


時

 

 時が、ただ過ぎました。

 時は、いつも、ただ過ぎるのです。

 キーホーは、おごそかに立ち上がり、旅に出ました。

キーホーが通り過ぎた後、木製の回転式二枚重ねのドアが、カタン・コトンと二十日鼠の閉ループの輪の様に回り続けていました。

それは、まるで悲しいサインペンデュエットみたいでした。




KIPPLE


音楽室5号 序章

2021-06-17 07:54:32 | 音楽室5号

 


序章


※(クルベムゲイル・サーガ)

「断片17」

『音楽室 5号』


※注1。
クルベムゲイルとはアラム語とコイネ語の母体となったアコネ語で、クルベイン(奇型的)、ゲイ(美しい)、ル(人)という意味。
アコネ語は初期シュメール人が聖なる言葉として用い、後にキリストというスーパー・プロパガンダ・アイドルの主催するポスト・クムラン教団によって受け継がれた。
他にクル(者)、ベム(~するところの)、ゲイル(言葉を持つ)というゲイネ語系の解釈もある。
ゲイネ語はアルファケンタウリのノイズ(雑音)言語を元にしている。


※注2。
私は五年間、クルベムゲイル(奇型的美人種)、サーガを書き続けてきた。
長短、合わせて百十二編にも及んでしまった。
この物語はヘラクレイトス的思考形態の終末的具現をクルベムゲイルの末裔のひとり、孤独なアンフェタミン中毒者が繰り返し体験する完璧なノン・フィクションだ。
全て信じるが良い。







“お願いだ。

  

    
  ヴィヴィアン・リーに



    僕の気持ちを伝えておくれ”

 





KIPPLE


探偵キック 陸

2021-06-16 07:30:40 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックの自我は、すでに崩壊を始めていた。ふと、自分のふるえる両手が、2人のロミの発言を交互に入力し、いつの間にか、 青年Z=ロミ と、キック=ロミ の両方を自分一人で演じているのに気づいた。

 気が遠くなって行くようだった。いったい私は、いつから、もう一人の私を作り出していたんだろうか?レク夫妻の娘の失踪時の半年程前に、このチャットに出入りして彼女と知り合ったのは、私自身だったのだろうか?

 私は彼女とメール交換をしていた?いや、私は沖縄に住んでいた事もないし、年だってもう40を過ぎている。私は、いつの間にか、架空の私自身の情報を私自身の頭で、この手で・・・若い極端な強弱を併せ持つ人格を、現実存在として作り上げていたのか?・・・・・・・・・・・ 
 
 と、キックが思考の迷宮の中を、ぼんやりと漂っている時、急に背後で大きな声がした。さらに、かなり強い力で“パシッ”と背中を叩かれた。

 キックが、ぼんやりと虚ろな顔で後ろを振り向くと、快活で大柄で世話焼きの部長が、いつものように元気良く笑いながら立っていた。

いよぅ!どうした、キック!相変わらず熱心だな!ねっしん!ねっしん!はっはっはぁ~!いいねぇ~、頼りにしてるよ!ほら、例の中途採用の新入社員を連れてきたぞ!この2人だ!今日から君の部下という訳だ!よろしくたのんまっせぇ~!ファイトだ、キック!じゃ!あとは任せたぜ!有能なお前さんの事だ!安心して任せられるってもんだ!今日のところは、うまく2人に仕事の内容を教えてやってくれ!3人でうまくやってくれよな!そうそう、そういえば、さっきレク夫妻から娘の捜索を中止して欲しいって連絡があったよ!もう、あの娘はあきらめました、そうだ!世の中冷たいねぇ~!でも、今までの調査料はバッチリいただいたよ! 請求料金にかなりお手当を上乗せして払ってくれたよ!おいしい仕事だったな!それじゃぁな!よろしく!ぐわっはっはっはぁ~!

 と、部長は豪快に笑い、どんよりとした半開きの目で虚空を見つめているキックの肩をパンッと叩いて、去っていった。・・・中止・・・捜索は中止・・・・?

 部長が去ったあと、そこにはニヤニヤと薄笑いを浮かべた2人のスキンヘッド男が、じっとキックを見つめたまま突っ立っていた。これが新しい私の部下?・・・キックは何もかも分からなくなっていた。ぼんやりと、その中途採用で今日から彼の部下になったスキンヘッドの2人の男を見ていた。口からは、よだれが垂れていた。

 キックは、このスキンヘッドの2人の男を、以前どこかで見たことがあるような気がしたが、もう虚脱状態で、すっかり腑抜けてしまい、何もする気も考える気もしなかった。
 
「ひひひひひぃ、いひひ、ほら、ほら、俺たちゃやって来たぜ。そう簡単には死なせやしねぇって言ったろう?お前の地獄は永久に続くんだぜ!!」

 スキンヘッド2人組はニヤニヤしながら、かすれたイヤ~な声をそろえて一緒に言った。

「おろろろろぉ?ははぁ、もうバカになっちまってんのか?しょうがねぇなぁ!!それじゃぁ、俺達がお前を、ちゃ~んと動かして、ちゃ~んと元気にしてやるからなぁ!!ほら、これだよ、これ!!使いな!!」

 スキンヘッド2人組は、顔面を不規則に歪めて、嫌らしく笑いながら再び一緒に声を出すと、ラベルに「W・スキンヘッド」と書かれたCD-ROMをキックの手に握らせた。そして彼らは完全に自我崩壊を起こして植物人間同様になってしまっているキックの手を、2人で“ぎゅっ”と強くつかんで、CD-ROMをドライブの中に突っ込んだ。

 すぐにインストーラーが自動的に立ち上がり、全画面はピンク色に変わり、「セットアップしますか?」という文字が現れた。スキンヘッド2人組は、力の抜けきったキックの右手を操って、次々と「OK」をクリックしてゆき、「W・スキンヘッド」のセットアップを終えた。そして再起動をかけてから、再び、キックの手を介して「W・スキンヘッド」の螺旋状のアイコンをダブルクリックした。

「ほら!出たろ!これだぜ!例のメールソフトはよう!ひひひぃ、誰も持っていやしねぇ!俺たちだけが持ってんだ!!!ほら!ほらっ!こうして、グィッとマウスを動かしてなっ!こうしてカーソールを画面から自分の身体の方に持っていって、自分をクリック!!そして、そ~のまま、このメールソフトの送信メール作成で開いたメールのところに、ゆ~くっり、ゆ~くっりっ、ドラッグして持ってって、貼り付けちゃうんだよぉおおおおおお。ほら!!!

 2人のスキンヘッドは、足を蛇の様にくねらせて踊りながら、ゲラゲラ笑って、声をそろえて喚きながら、キックを完璧に思い通りに操作していた。

 マウスを握ったキックの手を、2人で器用に動かし、カーソールを画面の外まで持ってきて、キックの体をクリックし、そのまま、スゥーッとドラッグして画面の中のメールに貼り付けてしまった。
 
 社内は何故だか薄ボンヤリと現実感を失い、さっきまでザワザワ大勢いた社員達の姿も、すでに何処にもなかった。ただスキンヘッド2人組の下品な大声が、巨大な鐘の中で反響するように響いていた。風景が殆ど形を留めなくなり、ピンク色に包まれていった。

「あとは、俺たちが、な、ちゃぁ~んと、送信してやるぜ!!ゲヒヒヒヒヒヒ!!」

 2人のスキンヘッドの男は、弾けた様に飛び跳ね、激しく頭をシャッフルしながらゲラゲラ笑い、2人で一緒にマウスを握り、右手の人差し指でキックが“染み”のように貼り付いているメールの送信ボタンを押した
 
 キックの意識は完全にフェイドアウトした。送信・完了
 
 スキンヘッド2人組が振り返ると、社内は、いつも通りにザワザワと大勢の人間達が動いていた。特に、いつもと変わったところは無かった。ただ、キックの存在を知る人間は誰もいなかった。もともとキックなんて人間はいなかったのだ。部長が大声で誰かの名前を呼んでいた。誰かの捜索依頼が来たらしい。
 
 

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H H H H  
H H H  
H H  
H  


珍品屋で真っ赤な大きいゴミ箱を買った。

 珍品屋の店員はピンク色のスカートをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のストッキングをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のスニーカーをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のノースリーブを着ていた。

 珍品屋の店員はピンク色に髪を染めていた。

 珍品屋の店員はピンク色のピアスをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色の口紅を塗っていた。

 珍品屋の店員はピンク色のコンタクトをつけていた。

 珍品屋の店員はピンク色のマニキュアをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色のニーソックスをはいていた。

 珍品屋の店員は透き通るような肌をした美しい女性だった。
 
 ロミ君は、圧倒された。
 
 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

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      H「これ」



あこがれのピンク色の女


kipple


探偵キック 伍

2021-06-15 07:46:55 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックは、かたっぱしからサーチエンジンに「珍品屋」と入力し検索した。ごくマイナーなサーチエンジンのデータベースに一軒の検索結果が出てきた。そして、その該当リンクデータ「珍品屋」(コメント:チャットでこの世のものとも思えない楽しい会話が出来ます!)をクリックした。

 画面には、巨大なクリッカブルマップで、古ぼけた懐かしい感じのするレトロ調で描かれた骨董店みたいなGIF画像が張り付けられたホームページが現れた。ようこそ「珍品屋」へと看板らしき絵に描かれた文字だけが、極彩色にピカピカ点滅を繰り返しながら激しく動いていた。キックは情報屋からの資料の中から6人が集っていたチャットのURLを探し、今、彼がアクセスしているチャットに間違いない事を確認した。ふと何故、最初から、このURLでアクセスせずにわざわざサーチエンジンの検索機能を使ったのだろうかと思った。彼は、自分は導かれてるんじゃないか?そんな気がした。

 次にキックは画像の中に「チャットのお部屋・逆さま珍品チャット」と真っ赤な文字で書いてある箇所をクリックした。すると、すぐに画面は切り替わり、チャットのページが現れた。キックの額から妙に脂っこくて冷たい感触の汗が流れた。そして彼は、しばらくROMしていた。チャットに参加せずに中で交わされている会話をじっと見ていた。
 
 キックの頬が唇が、ひくひくと痙攣した。手が震え始めた。皆、いるのだ。「カルト」に「音楽室」に「キル」に「明るい家族計画」に「ロミ」に、そして「赤いゴミ箱」まで・・・。そして皆、何の問題もないように楽しく和気あいあいと会話しているのだ。

 キックは背筋をゾッとさせながらも、彼らの入力しているメールアドレスやIPアドレス・ドメインなどを調べた。そして今このチャットでリアルタイムに会話しているのは、ここ何ヶ月間、ちゃくちゃくと調査してきたレク夫妻の娘と、その恋人5人である事が間違いないという驚愕すべき事実を突き止めた。

 会話から読みとれる内容や性格も、まるで調査結果と同じに見えた。しかしチャットの中では極端に違う、その性格も緩和され何だか皆、仲が良さそうだった。お互いにそれなりに許容しあっているようだった。しかし一人は失踪中で、一人は自殺し、一人は精神病院に入院中のはずだ。入院しているキーホーはパソコン等の機械類の操作などできる状態ではないはずだ。こんな妙な事があるわけが無かった。
 
 そんなバカな事が、あってはいけないのだ!
 
 キックは思い切りタバコの煙を画面に吹きつけると、

「こいつが生きてるわけはない、生きてるわけない」

 と、つぶやきながら、殆ど無意識に自分のハンドルネームを「ロミ」と入力して入室ボタンを押した。何だか頭が、ぼんやりしていた。自分が何をしようとしているのか、よく分からなかった。ただ確かめたい、それだけが、その言葉だけが頭の中でグルグル回っていた。

 そして、キックは「珍品屋」のチャット部屋に入った。 


■お知らせ:ロミさんが入室されました。
カルト:こんにちゃぁ~>ロミ

音楽室:ちわぁ~っす!>ロミ

キル:こんにちわ、はじめまして!>ロミ
明るい家族計画:こんちわ、よろしく!>ロミ
ロミ:・・・同じだね・・・君は・・僕と・・・>ロミ
赤いゴミ箱:あら、こんにちわ。お初!>ロミ
ロミ:みんな何の話を、してるんだ?>ALL
カルト:不思議なメールの話だよ!>ロミ
音楽室:不思議なメールの話だよ!>ロミ
キル:不思議なメールの話だよ!>ロミ
明るい家族計画:不思議なメールの話だよ!>ロミ
ロミ:・・・同じだね・・・君は・・・僕と・・・>ロミ
赤いゴミ箱:不思議なメールの話だよ!>ロミ
ロミ:どんなメールなんだ?君たちは何ものなのだ?どういう事だ?>ALL
カルト:僕はね、キックさん。そのメールに彼女を添付して違う世界に送っちゃったんだよ~(^_-)>ロミ
音楽室:そのメールはね、自分でも他人でもいいから、どんな世界へでも飛ばしてくれるんですよ!キックさん(^_^)>ロミ
キル:キックさん。そのメールソフトの名前はね、W・スキンヘッドって言うんだ。(^O^)>ロミ
明るい家族生活:オレが飛ばしたんだよ、キックさん。そのメール・ソフトでオート添付プログラムを送ってな!(^^;>ロミ
ロミ:キック、僕は君なんだよ。探偵だよ。高校出てから、この興信所に勤めたじゃないか!僕は自分を添付して送ったよ!どう?ほら僕である君も違う世界へ、うまくいけば僕と同じこっちの世界へ来ないかい?自分で自分を添付して送っちゃえ!σ(^_^) >ロミ
赤いゴミ箱:キックぅ~!あたしは誰かに飛ばされちゃったわぁ(-_-;)♪>ロミ

 キックは身体中を、ぶるぶる震わせていた。胸の奥の方から得体の知れない恐怖感が、こみ上げてきて気持ちが悪くなってきた。マウスを握る手も汗だくになり、震えていた。ひたすら薄気味悪かった。いったい、このチャットは何なのだ?これは現実かのか?それとも私は正気を失いつつあるのか?

 ここにいる奴らは、本当に私がじかに出会い、身辺調査をしたあの人間達なのか?そんなバカな、何故、死人も参加しているんだ?私?オレ?僕?は、ロミ?ロミは私?どういう事なのだ?ロミ=青年Zは自殺しているじゃぁないか。

 キックはガタガタふるえる手で、もう一度文字を入力し発言ボタンを押した。顔面がひきつり、顎がガクガク鳴っていた。


ロミ:君は何を言ってるんだ!君は自殺したんだろ!誰か他の奴が悪質な悪戯をしてるのか!私が君とは、どういう意味だ!説明しろ!>ロミ
ロミ:バカだなぁ、キック。忘れてるのかい?僕は君自身なんだってば!青年Zはキックなんだよ。いいかい?君は今、ブラウザをもう一つ立ち上げて、一人二役をやっているんだぜ。もう一人のキックだよ。そして、もう一人のロミだよ。忘れたかい?電車に飛び込む寸前に、僕たちは、あの2人のスキンヘッドに飛ばされたじゃないか!いいかい?僕たちの自殺の目撃証言や警察の調書なんかは全部でっちあげなんだぜ。無数の肉片に飛び散った死骸なんてありゃしない。あの2人のスキンヘッドが集団暗示を仕掛けたんだ。全て妄想なんだよ。何もありゃしない。わかるだろう?いいかい?僕たちの目的を忘れちゃいけないよ。僕たちは、他の4人の極端にはっきりとした心身の持ち主たちとは違って、極端に分かれた強い人格と弱い人格を交互に出しながらバランスを取っている優秀な人間なんだぜ。いいかい?わかっただろう?彼女。何もない彼女。平坦でカラッポで、自己の存在を確認できない彼女。そう、君が探している女「レク夫妻の娘=赤いゴミ箱」の心を埋めてあげなきゃいけないんだよ。カラッポの入れ物、カラッポのゴミ箱の彼女の中を僕たちの超アンヴィバレンツな人格と身体で、たっぷり満たしてあげなきゃ!わかったろ!青年Z!キック!>ロミ  


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