『音楽室5号』
第4章 (そう。波の音で美少女の言葉はマルチェロの耳に届かない)
サック。サック。サック。サック。サック。
しばらく行って砂浜が跡切れ、皮膚病の様に大地が不規則に起伏している丘陵地帯に差し掛かると、キーホーの頭ん中で何者かが、暴動を始めやがりました。
ちっちゃな奴らが、おっきな集団になって、なんだか古くて汚れたものを破壊しようとしているのです。
目から火花が飛びます。
細かいガラスの破片が、頭ん中でシャッフルされているみたいで、もうキーホーには、何が起ころうとしているのかなんて考える事は一体全体、さっぱり、けっぱり、不可能なのでした。
キーホーは、大きな工場地帯の入り口あたりの小高い丘の上に、いつの間にか立っているのでした。
そこからは、数百本の高い煙突が悲しいくらいに、揃いも揃って、薄汚れて全く同じ形をして林立しているのが見えました。
頭ん中で暴動が続いて、景色に数百億のサイケデリックな火花が交錯し、時間に対する認識保持感覚が狂い始め、キーホーは空間が傾斜しているのを、はっきりと、ピッチリリンと、感じ取れるくらいに破滅的でした。
その時、数百本の煙突が十本に整理されるなぁんて事が、実際に起こったんですよ。
頭ん中で凍てついたゼリーのような、常識的な、非主体的な~~~~~~~あぁぁ、何と言うか?~~~えぇと、~~~~~回りの動くままに定められて、どうにも、こうにも、否定できなくなってしまった、ある種の理念と言うか?~~~観念というか?~~~。 とにかく、そのキーホーが生まれて、この方、ずっと信じ込み、抱きしめ続けてきたモノの見方に突然、あの硬質ガラスの砕け散る様に無数の亀裂が入り、星雲の破裂!みたいに木端微塵に吹き飛び、そこに全く新しい、ものが生まれたのです。 キーホーは、キーホーであり続けながらも全く違った能力と、いふか、思考の巣を持つキーホーになったのです。
そして、まぁ、どうでしょう、その時、ついに、運命的に、煙突は一本になってしまいました。
オバケエントツって言葉を、キーホーは理解しかねますね!ね。
さぁてと。
音楽室へ。
ピリ。ピリ。
サック。 サック。 サック。
KIPPLE
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