元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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『十年星』:kipple

2006-07-18 00:50:00 | kipple小説


     『十年星』


「太陽系にはね、実は、十番目の惑星があるんだよ。私はね、そこからきたんだよ。」
 と、ジェッターじいさんが言った。

 砂場で遊んでいた、十歳の少女、お星は目を輝かせた。

「そーなんだー!そのお星は、十番目なの?なんて言う名前の星なの?」

「十年星。」

「えー?どうしてぇ~?十番目だから十番星じゃないの?」

「十番目なんだけど、行くのに十年かかるから十年星っていうんだよ。」

「そーなんだー!行くのに十年かかるから!十年星って言うんだぁ!」

「十年星はね、ここ、お星ちゃんのいる地球と同じ形をしてて、同じ生物がいてね、もちろん人間もいる。十年星人は全く、この地球の人間と同じなんだけどね、表面的には殆んど同じなんだけどね、でも、地球より、遥かに文明が発達してるんだよ。行きたい?」

「うん!行きたい!」

「そうか!よし行こう!おいで!私の家が、宇宙船・流星号だから!」

「うわぉ!家が宇宙船なのぉー?うん!今すぐ行く!」

 そして、お星は、ジェッターじいさんのバンに乗って、窓一つ無い流星号に到着した。

「待って!十年は、長いわ!あの家みたいな流星号の中でずっと過ごすの?」

「何々!大丈夫!流星号の中に睡眠カプセルがあるから、そこで十年間、眠ってるうちに、すぐ着いちゃうよ!」

「ほんとー!すっごーい!早く行こう!ジェッターじいちゃんも一緒でしょ?」

「あたりまえだよ。一緒に行こうね。私の星、十年星へ!」

 そして、お星は、流星号の中に入り、地下室に設置された睡眠カプセルに入るや否や、眠ってしまった。

 ジェッターじいさんは、ニッコリ笑って言った。

「流星号!応答せよ!流星号!応答せよ!行くぞ!マッハ15のスピードだ!」

 そして、十年後、流星号は、十年星に到着し、お星は目覚めた。

 睡眠カプセルが開き、十年分老けたジェッターじいさんに十年星人の服を買ってきてもらって、流星号の外に出た。

 ジェッターじいさんと一緒に駅に向かう商店街の中を歩きながら、お星は、目を見開いて驚き続けた。

「すごい!このTV、地球とは形が違うわ!地球のより、ずっと綺麗に映るのね!これは何?これが十年星のケータイなんだ。写真を撮れるんだ!TVを見れるの?ワンセグっていうんだ!ビデオも撮れるんだ!音楽も聴けるんだ!買い物も!インターネットもできるんだ!すごい!地球とは大違いだわ!地球では確か電話だったわ!何もかも同じようだけど、遙かに文明が進んでいるわ!さすが十年星人だわ!地球人とは大違いだわ!何、これ?ブログっていうのもあるの?!すごい!すごーい!」

 実は拉致監禁だった。ジェッターじいさんは、ロリコン変態エロジジイだった。

 ジェッターじいさんは、十年間、眠っているお星の身体のありとあらゆるところを、ありとあらゆるやり方で弄くりまわして、心ゆくまで、たぁ~っぷりと楽しんだ。

 ジェッターじいさんは、大満足で、もう大人の身体になったお星に興味が無かった。

「これから、わたしの大冒険が始まるのね!」

 お星も、大満足だった。ワクワクが止まらなくなり、爆発したように駆け出して行った。

「じゃねー!ありがとうー!ジェッターじいさん!もう、いいわ!これからは、あたし一人で十年星を冒険よ!さよならー!ばいばーい!」

 お星は、輝く笑顔で、弾けるように去っていった。

 ジェッターじいさんも、スッキリとした顔で笑って、手をふった。



 木枯しお星
 上州新田郡三日月村の貧しい農家に産まれたという
 十歳の時に国を捨て
 その後、一家は離散したと伝えられる
 天涯孤独なお星に、やっと自分の居場所と、身体一杯の元気と、心の底からの笑顔がやってきた!
 人生、捨てたもんじゃない!お星を、お星が待っていた!
 十年間、どうやって眠りながらちゃんと育ったかは・・・定かではない・・・。





This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)