元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

ついついツイッター:kipple

2010-04-29 01:23:00 | kipple小説

     ついついツイッター


ついついオレもツイッター!ついつい、あの娘もツイッター!みんなで楽しくツイッター!

オレもアイツもツイッター!どいつもこいつもツイッター!老いも若きもツイッター!

みんながやるからオレもやる!オレがやるから、お前やれ!だって、みんなやってるじゃん!

猫も杓子もツイッター!ゆりかごから墓場まで!この世の末までツイッター!

そういや流行ったICQ!そんな昔は憶えちゃいねぇ!人類揃ってツイッター!

そらそら、お次はクラウド来るぞ!全てをぶち込め雲の中!

光通信全てを制御!いったい人類どこへいく!何がしたいの人類さん!

あたし、臭いの嫌だ!おれ、自然嫌い!ホントは、みんな自然が大嫌い!

だって、自然って怖いし危ないし汚いし、虫とかいるし、何より臭いがいやなんだー!

おれ、生って嫌だ!あたし、生の人間嫌い!ホントは、みんな生人間大っ嫌い!

だって、人間も自然の一部だもん!自然だから臭うもん!臭いもん!

ツイッターなら臭わねぇ!短いテキストでたくさんだ!生の付き合いゴメンだね!

食い物だって生、嫌だ!無味無臭の加工物!栄養取れればそれで良し!

生の人間嫌だから!全ての自然が嫌だから結局みんな引き篭もり!

人類の総意は引き篭もり!全人類で引き篭もり!無味無臭の空間に!産まれて死ぬまで1人きり!

寂しくなんかありゃしねぇ!携帯端末一丁あれば、なんでもあるぜ、クラウドに!

・・・

そして高度情報化社会は留まること無く進み、人類は自然を否定した。

人々は全て一人一人、隔絶された清潔で無味無臭の住居で一生を送るようになった。

快適に1人で生きるため、必要なものは全てオートメーション化され、食料も医療も全て情報通信でまかなわれるようになった。

怪我や病気も全て予測され、事態が発生する前に全てオートで回避された。

人類は誰一人、自分達の住む世界がどのように制御されているのか分からなくなった。

皆、どこかに絶え間なく稼動し続ける究極のAIがあり、全ての問題を完璧に解決して決定していると思っていた。

実際、そうだった。全て、人類の望むままに・・・。

しかし、最後に問題が残された。

全人類、1人1人が目をそむけていた現実。

自分自身が自然である事。あれ、おれの臭いヤダ!あたし臭い!イヤ!

いくら自然を排除しても!いくら生で人と会わずにすんでも!自分が生臭い!自分が自然である事が我慢できねぇ!だいたい生で生きてるって事が苦しいんだぁ!

人類は己が自然の一部である事に耐えられず死を選択しはじめようとしていた。

そして、さらにその事態も究極の自己進化系AIによって予測されていた。

隔絶された居住空間で暮す全人類は一斉に完全数値化され、生の肉体は消去された。

全人類の個々の全肉体情報は全く生だった時と変わらずに完璧に数値化されクラウドの中で再構成された。

かくして人類は、完全に自然から離脱し、仮想人間になった。

物理的な問題は全て消滅し、無味無臭の情報塊と化した人類に自然への嫌悪は存在しなくなり、情報塊どうしの付き合いを楽しみ、人々は幸せに暮しましたとさ。

それが人類の必然だったぁ!




                   


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「日本の夢」:kipple

2010-04-24 01:26:00 | kipple小説

     「日本の夢」


何度も同じ夢を繰り返し見る。昨夜も見た。

それは、日本の夢。主に昭和から始まり今から百年後くらいの未来に渡って絵巻物のように綴られてゆく。

実際、細かい部分はすぐに忘れてしまうのだが、大まかなところは同じで、毎回、全く同じシーンがいっぱい出て来る。

時に紙芝居調になったり実写が挟まれたりする。奇怪な夢である。

自分の回りには大勢の兵隊さんがいる。たぶん、昭和の戦争で死んでいった兵隊さんたちのようだ。

そして、その大勢の兵隊さんたちと一緒に、自分も空を見上げ、そこに写し出される映像を見てる。

夢の中では、その映像を解説している言葉が出て来る。文字として現われたり、はっきりとした音声のナレーションのようだったりする。

言ってる事も、毎回同じだ。

まず夢はこんな感じで始まる。

♪若~い血潮の予科練の~七~つ釦は桜に錨~、今日も飛ぶ飛ぶぅ~霞ヶ浦にゃ~でっかい希望の雲が湧く~~♪

と、俗に言う予科練の歌、若鷲の歌を、自分は、無伴奏で周りの大勢の兵隊さんたちと一緒に歌っている。

特攻の歌である!自分は、歌いながらボロボロ涙を流している。

実際、夢ではなくとも、自分は昔から、ふとした折に、この歌を口ずさみ、も~うトンでもなく切ない気持ちになる事がしばしばある。

そして、この歌を唄っている時にたまに、誰かの呟き声のようなものが聞こえてくる。

“だから、あの時、どうして公武合体でいかなかったのだ?そもそもそこから日本は棺桶に半身を突っ込んだんだよ。薩摩も長州も圧倒的な武力で早々にブッ潰しておけばいいものを、どうして、ああなったのだ?・・・坂本竜馬などというチンピラはさっさと殺してしまえばよい・・・開国してからだってプロシアの軍服を日本軍に取り入れたりして、そこらへんからもう全然なってないよ・・・伝々・・・”

と、このような呟き声が聞こえる。もっといっぱい色んなつぶやきが聞こえてくるのだが、忘れてしまう。

そして空、というか虚空に焦土と化した日本の映像が浮び、玉音放送が流れてくる。

そして、夢の本編が始まる。

延々と言葉と映像が続いてゆく。

“玉音放送の時はお葬式でした。日本のお葬式でした。日本はあの敗戦で死んだのです”

マッカーサやらGHQやらパンパンガールやら物乞いやら色々と敗戦直後のゴチャゴチャした日本の特に東京の風景が写し出される。

“日本は死んでゾンビになりました。占領軍は日本中に基地を置き、65年経った今でも日本中の基地はそのままで、いかにごまかそうとも現実はアメリカの占領下そのものです。”

今度は戦後復興期から高度成長の日本の映像が流れる。

“もはやゾンビですからアメリカの奴隷ですが、他国に対しても思考能力を失い日本は生きる屍として、ぼんやりと過ごしてきました。何を言われようが逆らいません。どんな侮辱も嘘っぱちも言われるがまま受け入れて、ぼんやり自分たちを責めてごまかし続けました。それでも日本のゾンビです。ほんの少しカスのような無思考の上昇気力を残しており、それが経済大国へとゾンビ日本をのし上げました。しかし、経済力だけで世界第二位に台頭するという事は徹底的に精神を卑しくするという事でもありました”

そして、ここらへんでボディコンで扇子を振ってる女どもを象徴にバブルに踊るバカ日本人と世界の変動の映像が流れる。世界の変動の映像はベルリンの壁の崩壊やソ連の崩壊のどっかで見たようなシーンが連続する。

“東西冷戦の頃は、無思考で卑しいゾンビ日本でもまだ、ぼんやりと何とか過ごせたのです。ゾンビ日本はゾンビなりに敗戦の惨状から脱するために幾つかの大発明をしたのです。護送船団方式です。年功序列です。女と食い物による料亭接待です。談合です。天下りです。それらのうち年功序列や談合や天下りは国内的に非常に優秀な潤滑油となりゾンビ日本を一体化させ活性化させました。ところが、所詮ゾンビはゾンビです。ボロボロ腐って消えて行くのが運命です。バブルが崩壊し世界全体が資本市場に乗り出し世界の構造がガラガラと変わっていく中、ゾンビはせっかくの自らの大発明を悪とみなし改革を叫ぶようになりました。所詮ゾンビです。自らますますバラバラに溶けて滅びようというわけです。でも、もうすでに死んでますから自覚とかありませんし大きなうねりの先を考えるような基本的な思想哲学の土壌を失しています”

そして、次に21世紀に入り、9.11テロ等の目に見えてどんどん変り行く世界中の様々な状景が虚空に映ずる。

“所詮ゾンビですから、先を見据えたマトモな考えなんかありません。バブルが崩壊してもバブル気分は続き、世界中で起きてる変化にも、ぼんやりして気づきません。ただただ東京空襲に原爆2発で思いっきり殺してくれたアメリカに従い大勢の卑しいマネタリストが発言権を持ちます。自国の理念なんかありません、思想哲学も何にもありゃしません。あるように思うのは全て自らをごまかすためのまがいものです。精神すらありません。所詮ゾンビですから。”

長いので飛ばします。そして映像は去年の選挙で民主党が圧勝し与党になる場面になる。

“ゾンビはゾンビらしく、ゾンビ国民によって、ついに最後の選択がなされました。多数派とは常に愚かな選択をなすのは歴史の事実です。ゾンビ日本もゾンビらしく常に愚かな選択を繰り返し選挙民はついに完全なる自滅を決意しました。潔いといえば、潔くも思えますが、所詮ゾンビです、何も考えちゃいません。鳩山由紀夫はオミソだと皆、分かっていたはずです。オミソが今まで政治家として目立ってたのは祖父の御威光という事もありますが何より、とてもいい金ズルだったからです。それだけです。それを分かっていながらオミソを総理にしてはいけません。そんな自明な事さえ考えなかったのです。マスメディアと言う狂った怪物がゾンビ列島をのし歩き、それに簡単に扇動されただけです。深い思慮などゾンビにゃ無い。”

虚空に浮いた映像は世界各国の戦争や内紛やテロ等を映し出し、それが瞬く間に世界中に拡散し第三次世界大戦の様々な惨状を流してゆく。

“当然の如く、世界中の大競争は物理的な暴力行為へと内紛やテロを巻き込んだままグチャグチャになってなだれ込んでゆきました。21世紀の世界戦争です。後の歴史においては、すでに2010年は第三次世界大戦の初期と定義づけられます。ゾンビ日本は、あっと言う間に消えます。前世紀に日ソ不可侵条約を軽く踏みにじって南下してきたように再びロシアがそれチャンスだとばかり、あっと言う間に北海道を占領し、中国側も本土に上陸し日本は消えます。アメリカは安保条約どおりに国連の手続きをしますが、その間に日本は完全に占領されてしまい実質的に国としての機能は完全に消滅してしまいます。そしてアメリカは実際的な行動にでます。調停です。すなわち、ロシアと中国の間に入り、領土分割の調停役になります。韓国と北朝鮮も一部分領土を獲得します。世界は甘くありません。そしてゾンビ日本国は、呆然としたままのゾンビ日本人を残して、この世界から消滅します。”

そして虚空の映像は中国を中心に再編成されてゆく世界情勢と共に流民となった日本人を映し出してゆきます。

“祖国を失ったゾンビ日本民族は世界中に流民となって散らばります。すでにとっくにゾンビと化していた祖国を失っても、ゾンビ民族日本人には怨念や復讐心が出て来るわけがありません。何となく、かつてのユダヤ人のように世界中のあちこちに散らばり、迫害されます。バカにされ、軽蔑され、時にはただ日本人だと言うだけでリンチにあったりします。しかし、民族としてのパワーなんぞ微塵もありません。侮辱されても笑ってます。”

と、夢はだいたいこんな感じで、最後に、高千穂の風景が虚空にポッカリと浮く。

“流民となりし我らの聖地、それは高千穂。祖国奪還の折には高千穂を日本民族の聖地と認識し、途絶えてしまった天皇陛下の再降臨をひたすら祈願するのみ。天皇陛下の再降臨なくしては流民となりし日本民族は祖国奪還のパワーを永久に得る事はできない”

言葉は、さらに、こう続く。

“2010年現在、すでに天皇家のお世継ぎの危機は明白なのに何の議論さえしようとしないゾンビ民族に対して、数十年後、世界中で軽蔑される流民となった我々の子孫は、果して何を思うのだろうか?”

そして、最後に、もう一度、一斉に昭和の戦争で死んでいった兵隊さんたちが無伴奏で予科練の唄を歌う。

自分も、歌う。みんな泣いている。自分も泣いている。

♪若~い血潮の予科練の~七~つ釦は桜に錨~、今日も飛ぶ飛ぶぅ~霞ヶ浦にゃ~でっかい希望の雲が湧く~~♪

あまりにも切なく、ハっと目覚めた自分は、夢を見ながら涙を流していた事に気づく。

朝だ。

そして、自分は大きな声で、お天道さまに向かって叫ぶ!

“天皇陛下!万歳!天皇陛下!ばんざぁぁああ~いっ!”




                   


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


妄想太宰:kipple

2010-04-20 00:22:00 | kipple小説

     妄想太宰



昔から、ふっと気づくと近くに妄想の人が去来する。


1人でいる時とは限らぬが、だいたい1人の時が多いんだな。

十代の頃から、よく、太宰治と三島由紀夫が現われた。

横っちょに来たり、上半身だけ空中に浮いてたり、道ばたでひょいと見ると塀の上に立ってたりする。

あっしに向かって、何か忠告じみた事を言う事が多かった気がする。

あっしはもう50過ぎのオッサンだが、何年か前から、太宰と三島に、寺山修司が加わった。

以前は、他にも時々、埴谷雄高なんかが妄想の中に出現する事があったが、結局、最近は太宰、三島、寺山が一番多くなった。

じっくり語り合ったり、意味不明な感じで去っていったり、色々だ。

てな事を書いてるのは、さっき、ちょっと太宰はんが、いたずらっ子のように、あっしの背中を“わっ!”っと押して現われたからだ。

こんな感じだ。


きっぷる“わっ!太宰さん!ビックリしたぁ!脅かさないでくんさいよ!”

太宰治“おわ!どっから湧いて来たんだ!ってかぁ!ははは!ダスゲマイネ!”

きっぷる“へへへ・・・あっしは太宰はんの事、本当は、よぉ聞いて知ってまんねん!”

太宰治“な・なに?それは初耳じゃないか!あ!き・君は・・・何処か似てる・・・似てると思ったら例の・・・レーゾンデートル!”

きっぷる“ふふふ、今まで言いませんでしたがね!あっしは例のね、例の反物屋の孫ですよ!”

太宰治“なんだってぇ!ほ~う!ビックリしたなぁ!アップリゲェ~ルのあっぱれげ~るのエランヴィタールだね”

きっぷる“で、今宵は何だか言いたい事があるみたいっスねぇ?なんすか?”

太宰治“お!そうなんだよ!よく聞きたまえ!
     いいか? あらゆる悪夢は現実化され、あらゆる理想は見捨てられる!
     それが!この世の正体だ!
     フッ                                        ”


と、太宰はんは、あっしに言い放ち、サッサと去って行った。。。

・・・幻覚幻聴じゃないよ。妄想だよ。

かくして、今宵は、妄想太宰はんがやって来て、あっと言う間に去って行ったのさ。

あっしの祖父が井の頭公園のそばに住んでいて反物屋をやっとったのは事実で、万助橋で太宰はんが心中した時の騒ぎの事も小さい頃から親に聞かされておる。

昔、玉川上水の万助橋のあたりはかなりの水かさがあり、すり鉢状で一度落ちたらなかなか這い上がれなかったそうじゃ!

ああ!妄想の人たちよ!ああ!電波に乗ってやってくる!あっしのオツムにやってくる!オツムの中に湧いてくる!

今宵はアッサリしてたなぁ。それで、何が言いたかったの妄想太宰!だから何なの?妄想太宰!

次は、じっくり語り合いたいな。




                   


This novel was written by kipple
(これはエッセイなり。特にフィクションという訳ではない。妄想だが。)