元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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「雨族」 断片20-焼却場Ⅳ~F・クラウネン:kipple

2007-11-09 00:28:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
     断片20-焼却場Ⅳ~F・クラウネン


落合さんは微かな品の良い笑顔のまま、僕に近づいてきて乾いた手で握手をするとブルーのスーツの男を紹介してくれた。

「こちらは、{えふ}ぼっちゃまです。動力ぼっちゃまの双子の弟なんですよ」

やはり、F・クラウネンだった。落合さんは続けた。

「動力ぼっちゃまに双子の弟がいたなんて、ご存知無かったでしょう。ちょっとした事情がありましてね。{えふ}ぼっちゃまは生れるやいなやクラウネン家の手の届かない政府のラボに隔離されてしまいましてね ・ ・ ・」

僕は、その時、室内の冷ややかな空気が細かい氷の繊毛に変異した様に感じた。

F・クラウネンが突如として振り向いて突き刺さる様な声を発したのだ。

「落合!それ以上言うな!」

F・クラウネンは一言怒鳴るとナイフでザッパリと切り裂いたような口を閉ざして僕の顔を貫くように見た。

彼の眼差しは実際、僕を通りぬけ、背後の壁さえ通りぬけ、永劫の彼方の絶望的な暗黒世界を凝視しているみたいだった。

僕は、ごく必然的に彼の目を見返した。

そして彼の両目の色が違う事に気が付いた。

右目が、瞳孔がほとんど確認できないような古いコンクリート壁のような灰色で、左目が、薄いブルーだった。

彼はどう見ても人間ばなれしていた。

茶色の薄い眉毛に人工的にそげた頬。

僕は、これこそ誰もが冷酷な顔だと認めざるを得ないだろうと思った。

F・クラウネンは、僕に興味を失ったとでもいうようにふらふらと視線をずらし、ぼそぼそとつぶやいた。

「お前が{ロミ}か。兄貴に俺の事は聞いているだろう。俺は今どういう気分に陥っているかわかるか?」

僕は彼が何を感じているのか全くわからなかった。

死神とでも対話しているような雰囲気なのだ。

僕は細かく震えるように首を振った。

「俺はお前を射殺したい気分なんだ。兄貴は俺に射殺される時にお前の事を頼むと言い残していった。お前を援助しろとな。ところがお前は醜悪だ。平凡きわまりない中年男だ。貧相な特徴の無い顔、狭い肩、薄い胸、ふくらんだ腹、短い足、ぼさぼさの髪。先が思いやられる。いいか、これから俺はお前の相棒になるんだ。くそ!俺は兄貴の頼みごとだけは絶対守るんだ」

僕は傷ついた。

僕は、あまり人は嫌いにならないたちなのだが、F・クラウネンに関しては、すぐに潰れた芋虫よりも嫌いになった。

僕の方こそ彼を射殺したかった。

それに彼の言っている内容が僕には感情的にとても理解できなかった。

兄を射殺しておいて兄を敬愛している口調なのだ。

僕はその事を考えているうちに、何故か“ベラクルス”という映画を思い出してしまった。

バート・ランカスターがゲーリー・クーパーに撃たれニヤリと笑って死んでいく。

ゲーリー・クーパーはバート・ランカスターの事を敵対しながらも評価していて、それでも決闘しなければならない。

死にゆくバート・ランカスターがクーパーに誰かさんの事を頼むと言い残しても、それはそれで納得できるのだ。

ひょっとしたら、FとD・クラウネンの関係はそんなものだったのかもしれない。

しかし、F・クラウネンはどうみても、そんなタイプの人物には見えなかった。

でも、人は見かけによらない。




断片20     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


人生とは!:kipple

2007-11-02 00:26:00 | kipple小説

     人生とは!



おれぃ!はっ!いよっ!だっ!ぐぉ!
人生とはぁぁあああ~っ!!何だぁぁああああ~っ!
WHAT IS A LIFE?
何なんだぁぁぁあああああ~っ!
そうだ!

いよいよ!あっしは悟った!
人生とはぁぁああっ~!
ダンジョンRPGだー!

ダンジョン尽きたら、又、ダンジョン!死ぬまでダンジョンRPG!

老後は絶対!ダンジョンRPG!敵は!老眼だー!体力と金だー!

人は何のために生きるのかぁっ!

決まってる!ダンジョンRPGのためだぁぁあああ~っ!

この世は!全て!ダンジョンRPG!

ダンジョンRPGのために喰って!寝て!夢を見て!映画を観て!本を読み!音楽を聴き!遊び!旅をし!恋をし!嫉妬し!病気に罹り!事故り!怪我をし!リハビリし!ジムで運動し!働き!買って!売って!歓び!悩み!憎み!怒り!喧嘩し!苦しみ!のんべんだらりとし!泣き!老い!笑う!幸も不幸も!全ては、ダンジョンRPGのためだあぁああああ~っ!

今やってるダンジョンRPGも!次のダンジョンRPGのためにある!

この世のリアルの体験は全てダンジョンRPGだ!そして!この世のリアルの体験は全て、ダンジョンRPGに置換され!さらに!ヴァーチャルな体験も全て、ダンジョンRPGで追体験される!
そうだ!人生の全ては!ダンジョンRPGであり!かつまた!ダンジョンRPGのためにあるっ!

何度でも言ってやらぁ!人生はすべて!ダンジョンRPGだぁっ!

何度でも言ってやらぁ!老後は、ダンジョンRPGやでぇぇぇえええ~っ!

何度でも言ってやらぁ!目を大切になぁ~!身体だけは、もうほんとうにぃ~!

いいかぁ?これも、ダンジョンRPGのためにあるんだよっ!全てのゲームもダンジョンRPGのためにあるんだよ!

体力は大事だよなぁぁ~~~!

でもよぉっ!垂れ流しになって頭ボケボケ、フラフラになっても!やるんだよぉぉおおおお~っ!

ダンジョンRPGをなぁぁぁあああああ~っ!

いいかぁっ!ダンジョンRPGの中には、己のリアルの人生の思い出が!想い出に浸る無数のヒントが!あるんだよぉぉぉおおおお~っだ!

そうだぁ!リアルの人生の中で!人として出来る事を出来るだけやっとけば!きっと、全て、ある!己の人生を!ダンジョンRPGの中で何度でも、追体験できるのだぁぁあああ~っ!やりたくても出来なかった事も出来るのだぁ!例えば人殺しとかなぁ!さらに!時に海の上だって歩けらぁ!空だって飛べらぁ!指先一つでなぁ!ぶははー!

ああ!人生が二度あれば~♪

ふん!人生なんぞ!何度でもあるぜぇ!ダンジョンRPGの中に!
所詮、人生は死ぬまでの暇つぶし!ならば!老いさらばえてガタガタのボロボロになった時!ダンジョンRPGこそ!きっと最高の暇つぶしとなるのだあぁああああ~っ!

そのためには!あらゆる人生体験を死ぬまで一生懸命せにゃならぬ!糞長いダンジョンRPGなんぞやっとる暇なんぞ無~~い!


ぶぎゃぁああぁぁあああああああああぁああぁぁああああああぁぁあああああああああ~っ!



                  


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)