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元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

「1968年、液晶海岸、夏」妄想:kipple

2008-04-09 01:49:00 | kipple小説

     「1968年、液晶海岸、夏」妄想


こんな「1968年、液晶海岸、夏」妄想がきた。


「ボコノン教になった日」

1968年、液晶海岸、夏
地球に落ちてきた私は、私とは何であるか、または、私である私として、私は何であろうか、何であろうとしているのかを、全てを客体でもって私である私という個体を睥睨したものの、何も分からず、ただ、目の前で出会ったホースラヴァー・ファットに連れられ、渋谷に出向けば、ラムフォード卿が連れていたはずの愛犬カザックが銅像として駅前に飾られ、全ての人がボコノン教に入信したものの、すぐにアイス9で、この世は滅びるんだよと、トラルファマドール星から来たサロと手を繋いでいるマラカイ・コンスタントに告げられ、“おや、ここは、まるでディズニーランドみたいだね”とニヤリと笑ったニコラス・ローグを尻目に、仰ぎ見れば、円山町のラブホテルの天辺に教祖ボコノン様が仰向けになってアッカンベーをして死んでおられる巨大なハリボテが見えた・・・振り向けば、「朝まで生TV・第一回」放送を途中で退席した立川談志がいて、大きなサングラスをかけてパイプを咥えながらこう言った・・・

“う~ん、浦賀の黒船は、まだ、いるのかい?”

そして、私が獲得した主観の中で、この世界は一度、滅亡してる事をジーン・ケリーと一緒に思い出し、“ねぇ、知ってる?今度のフリッツ・ラングの「M」って映画!凄いんだってー!殺人鬼の映画なのよ!ピーター・ローレが、また、ニクイ演技してるってさぁ”と興奮しながらチロリン村の少女が言うのであったぁ!それから「百年の孤独」な歳月が流れ、ガルシア・マルケスとギュンター・グラスが、口を揃えて、こう言うのである。

“さぁ「ブリキの太鼓」を叩け!ボコノン教復活の日が来た!”


こんな「1968年、液晶海岸、夏」妄想がきた。
 

「ハッスル」

1968年、液晶海岸、夏
ズブリ・・・ズブリと液晶化されたヘドロとゴミだらけの材木座海岸の海に入って遊泳を楽しんでいた私は突然、海底から足を引っ張られた。
驚いた私がもがくと、足を引っ張った男が顔半分だけ「地獄の黙示録」のように海面から突き出して、こう言った。

“はい、こんちわ、私が熊沢天皇です!今の天皇は偽物です!家系図あります!ぶくぶく!ぷわっ!ぷわっ!”

そうか、熊沢天皇がこんなところに・・・最近見ないと思っていたら液晶化された材木座海岸の海の底に潜んでいたのか!
私は有名人に思わぬ場所で出会った事に嬉しくなり、ついニッコリとした。すると、熊沢天皇は口に人差し指をあて、こう申す。

“シーッ!お前!大東亜戦争は、どうなったぁ?ちゃんと答えろ!”
“え?もう終わりましたけど・・・”
“バカヤロー!終ったと思ってんのは、横井さんと小野田さんくらいだ!本当はまだ続いてる事くれぇ皆、知ってらぁ!”

そして、私は熊沢天皇にさんざん怒られながら、二人して近くの海の家でコカコーラを飲んだ。割り勘で。
熊沢天皇は海の家の畳敷きの上で竹内文書を開き延々と私に説明した。

“いいか?二千万年前は、この地球全土が天皇のものだったんだ!だから俺のものだぁ!所有権は俺にある!こちとら、それを返せ、と言ってるだけだ!分かるな!終れるわけねぇだろ?日本が地球全土を奪還するまで終らねぇんだよ!でな、こないだの戦争、実は、アメリカに日本は勝ったんだぜ!”

私は目を丸くして、その矛盾点を突いた!

“えええ~!今さっき戦争は続いてるって言ったじゃないっすかぁ!勝った負けたって結果が出たって事は終ったんじゃないんすかあ?”

そうすると熊沢天皇は目玉をキョトンと丸くして、こう言った。

“アホぅ、戦争は、とっくの昔に終っとるわい!まだ続いてるなんて思ってんのは、横井さんと小野田さんくれぇのもんだ!誰が続いてるって言ったってぇ?バーロー!さっきの俺と、今の俺は違う俺なんだよ!”

私は、あ、この人、バカなんだと思った、その時、意表をつかれた。

“あ!お前、必殺好きだろ!”


今度は、私が目を丸くして少し動転しながら言った。


“な・何で分かったんすか?す・好きですけど。それが何か?”

すると熊沢天皇は勝ち誇ったように鼻を、ふん、と鳴らしてコカコーラの瓶の底の方にある四角いマークを指し示して言った。

“□だ。□は辛口、○は甘口。物事、全て裏がある。な!本当は裏なんてもんじゃない!裏の裏の、そのまた裏の裏の裏と無限に続くんだよ、それが現実ってやつだぁ!日本人は全て必殺よぉ!全て裏の裏のまたその裏裏・・・があんだよ、ボウズ!”

私は熊沢天皇が何を言っているのかよく分からなかった。それで訊いてみた。

“あのぅ・・・日本人が全員、裏稼業を持ってるという事なのでしょうか?・・・”


即答が返ってきた。


“そうよ!一億火の玉で裏稼業やってんだよ!日本人は!何やってるか分かるか?青年!”

私も即答した。

“分かりません!”


そう言うと、即座に熊沢天皇は教えてくれた。


“日本人の裏稼業はアメリカ人だ!あの時、アメリカは二発、広島と長崎に原爆を投下した!しかし、その直後、日本軍の一万発の原爆がアメリカ全土に降り注いだのだ!アメリカ人はほぼ全滅し、そこに一億火の玉になった日本人が特攻隊や人間魚雷と合流して乗り込み、アメリカ人に化けた!いいか!絶対極秘事項だぞ!アメリカに乗り込んだ一億火の玉全日本人は、生き残っていたアメリカ人の皮を剥いでスッポリとかぶったんだ!科学的に言うとな、アメリカ人の皮膚細胞を研究した化学部隊が皮膚細胞及び骨格アメリカ人化実験に成功し、一億火の玉日本人全員をアメリカ人化した!表面だけなぁ!その代わりにな、今度は逆に、生き残ったアメリカ人どもの皮膚細胞及び骨格を日本人化させて、表面的に日本人に仕立て上げて、日本に送りこんだ!結論から言おう!すなわち、実は今日本にいる、日本人は全員アメリカ人であり、アメリカにいるアメリカ人は全員、日本人なのである!そうして日本は戦争に勝ったのだ!あれ以来、ずっと日本人はアメリカ人になりすまし、元天皇領土だったアメリカを奪還し、アメリカに居住を移し、負けて日本国に送り込まれて表面だけ日本人と化して日本人だと洗脳されたアメリカ人の生き残りを都合の良いように使役しておるのだよ!これが歴史の裏だ!裏の裏の、また、その裏の裏裏裏島太郎の真実だぁ!どうだ!今や皮膚と骨格のみならずアメリカの日本人は全細胞がアメリカ人化し実は日本人であるという事は全く分らなくなったぁ!アメリカ人そのものになったぁ!同じく!日本に送られたアメリカ人も全細胞が日本人化して全く分からん!日本人そのものになったぁ!分かったか!このアメリカ人めぇ!”

私は何だか、勘定が合わないような気がしたものの、アメリカ人と言ったって白人、黒人、ヒスパニック、アジア系黄色と色々いるじゃないかとか思ったものの、言葉はどうなんだとか思ったものの、あれ以来、自分が実はアメリカ人であったという衝撃の裏の裏の・・・熊沢天皇の現実だか妄想だかにやられて、何だか未だに、こうして日本で日本人として暮しているという事に対して違和感が拭えないのである・・・

1968年、液晶海岸、夏
あの夜、金色のピエロの人形が割れた・・・バッシャァァ~ン!


こんな「1968年、液晶海岸、夏」妄想がきた。


「カラスpart1」


     次第に小さな黒い点が 青い空を丸く旋回してくる

     カラスだ

     一匹 二匹 三匹 四匹 五匹 ・・・

     カラスは完全に増殖している 確実に増殖してくる

     彼らは夏の太陽を中心にクルクル、大きな円を描いている

     そして、その円は次第に次第に大きくなってくる

     そう、カラスは、カラスたちは私に向ってゆっくり降下しているのだ

     私の血は 砂の中にどんどん吸い込まれていく

     私の倒れている場所を中心に 砂漠は果てし無く赤く染まっていく

     赤く染まっていく 赤く染まっていく 赤く染まっていく

     だって私の血も 砂漠の広さも 無限なんだからぁ

     そして私自身も 無限になっていくみたいだ

     何もかも 血と 空と 大地に 溶け込んでいく

     静かだ こんな気持ち 初めてだ・・・

     カラスたちは、すでに私の数メートル上まで来ていた

     百羽以上いた 突然、中の一羽が私の目玉を喰った!

     続いて百羽のカラスは 残らず私の身体に舞い降りた

     血の止まらぬ肉を喰らい

     言いえぬ苦しみの中で私は・・・

     遠い昔、この砂の上で崩れ去った あの文明を思い出し懐かしんだ

     私は彼女と、あの悲しい夜 狂ったように踊り続けた

     私たちは得体の知れぬ焦りに襲われ 一晩中、踊りまくった

     そして次の日 その焦りの正体を私は知ったのだった

     そして 奴も、それを知ってから

     あれから35年経った今まで 二人とも 頭にキていたのだった

     1968年 液晶海岸 夏  夜10時45分

     ガラスが割れた 破片が私の頭に降りかかってきた

     私は もぞもぞ 起き上がり 窓ガラスを割ったものは

     ピエロの硝子人形である事を 発見した

     誰かが 私に敵意を抱く何者かが

     私のアパートの窓ガラスに この人形を投げつけたのだ

     怒りが湧いてきた 私は窓を開け 夜の空間に向って叫んだ!

     “どこのどいつだ!こんなもん!”

     全て あの日に見たカラスたちのせいでした

     全て 景色を一気に灰色に染めてしまう あの可愛いカラスたちの群れでした

     僕を骨まで喰らったカラス 怨んでも怨みきれないカラスたち

     カラス・・・

     (風鈴の音)


こんな「1968年、液晶海岸、夏」妄想がきた。


「ケラケラケラケラ」

   ケラケラケラケラ

   荒れ野を走る冷たい風が 絵画的遠近感を

私とその奇妙な石と木に垂れ下がった首吊りの輪の作り出す風景と、やけにボーッと眼球にゼリーを貼り付けたようにボンヤリ印象づけている

   ケラケラケラケラ この冷たい風は 笑い声のようだ

   ケラケラケラケラ 風は北から 吹いてくる

   ケラケラケラケラ 北は都会だ 私の故郷  都会 都会 都会

   ケラケラケラケラ そうさぁ この笑い声は都会なのだ 都会都会都会・・・

   人の憎しみ苦しみ悲しみ狂気快楽幸福感 全てをひっくるめると

   このケラケラケラケラ の笑い声になってしまうのかも知れないね

   風は笑い声を運んでくる 笑ってやるぞ 何が都会だ

   さて私は、これから この奇妙に積み重ねた石の上に乗っかり

   いち に さん で! いち に さん で!

   跳ね上がるのだ! 青一色の空に向って! 跳ね上がるのだ!

   そして 落ちる 落ちる 落ちる 落ちる  落ちる落ちる 落ちる落ちる

   私は木に蓑虫の如くぶら下がり 少しづつ 少しづつ 落ちてゆく

   私の首が細くなり 私の鼻から耳から耳から耳から

   じゅるじゅると 白いもの 赤いもの が吹き出して

   この笑い声を子守唄代わりにして 空に混じるのだ

   青い空の仲間入りをするのだ フハハハハハハ

   君の笑い声に見送られて 死ぬなんて

   私は 最高に 最高に 惨めじゃないかぁ  クソォ!笑うな!

   ケラケラケラケラ  くそぉ~、俺を笑っていやがる

   貴様がこんなに 貴様が勝手に俺を育てて そして俺から そこから追い出したのだぞ

   滅びろ! 滅んじまえ! やめたぁ!やめたぁ!やーめた やめた!

   やめた!やめた! 自殺なんか止めたぁー!自然に死ぬのを待つぞ  何が青空だ

   この地球じゃ どこへ行っても お前の笑い声は俺の耳を追ってくるんだろ

   勝手にやるさ 俺は勝手にやる  ケラケラケラケラ

   ケラケラケラケラ 私は石を蹴り倒して 縄を引きちぎり笑い声を聞くさ

   ここまで来て 私はお前の思いのまま動かされていた事が分かったんだ

   逆転さぁ こんな笑い声 今度は、その笑い声の方が惨めに聞こえらぁ

   思い通りには、いかなかったよな へぇ~だ!

   私は死なずにな また お前のところに戻ってやる

   お前の中に死んでやる できたら お前も道づれにしてやる

   お前も 道づれにな

   ケラケラケラケラ くそぉ~! また笑ってやがる

   笑え! 俺には何一つできねぇよ

   たった一つの反抗と言ったら、お前の中で俺を変えてやる事だ!

   今にみてやがれぇ!

   そして自殺をやめて 都会に復讐を誓った俺は・・・

   1968年 液晶海岸 夏  夜10時45分 に、いた

   窓ガラスが割れ 破片が俺の頭に降りかかり

   その窓ガラスを割ったピエロの硝子人形も粉々に割れていた・・・グワッシャァァ~~~ン!


「1968年、液晶海岸、夏」妄想は、幼少の頃より、突然、やってくる。しょっちゅうやってくる。限り無くやってくる。

果たして、この「1968年、液晶海岸、夏」妄想とは何なのであろうか?

未だに、謎である。 私の人生の最大の謎の一つである。


     ガッシャァァアーン!






                  


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)