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あこがれのピンク色の女

2021-06-08 07:11:55 | 夢洪水(散文・詩・等)

あこがれのピンク色の女



 珍品屋で真っ赤な大きいゴミ箱を買った。

 珍品屋の店員はピンク色のスカートをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のストッキングをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のスニーカーをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のノースリーブを着ていた。

 珍品屋の店員はピンク色に髪を染めていた。

 珍品屋の店員はピンク色のピアスをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色の口紅を塗っていた。

 珍品屋の店員はピンク色のコンタクトをつけていた。

 珍品屋の店員はピンク色のマニキュアをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色のニーソックスをはいていた。

 珍品屋の店員は透き通るような肌をした美しい女性だった。


 ロミ君は、圧倒された。

 平然と彼女から珍品を買ってる他の客がバカに見えた。

 彼女に圧倒されない奴は、皆バカだと思った。

 それから、たびたびロミ君はその店に通った。

 いつの間にかロミ君の頭の中で彼女は絶対ピンクになった。

 彼女のイメージは一つの超宇宙的絶対美のピンク色となった。


 ある日店で、2人のスキンヘッドが彼女の事を口汚く罵っていた。

 それを見たロミ君は激怒して2人に喧嘩を売った。

“表へ出ろぉい!このつるっぱげ野郎!”

 ところが裏の空き地でロミ君は2人にこてんぱんにやっつけられてしまった。

 ロミ君は土の中に首を残して埋められ、血へどを吐いた。


 その日から、その2人組のスキンヘッドは何の恨みか、

 ねちねちと、しつこく、ロミ君をつけまわし、いじめ始めた。


 一度、珍品屋のあこがれのピンク色の女の前で彼らにイタズラされた。

 スキンヘッド達はロミ君の尻をネチネチと撫でたり揉んだりした。

 ロミ君は死にたくなった。

 ロミ君はピンク色の女神の事を一心に想いながら首を吊った。

 しかし、こともあろうか例のスキンヘッド2人組に助けられた。

 スキンヘッド2人組は恩をきせ、ますますロミ君をいじめ続けた。

“助けてやったじゃねぇかよぉ。俺たちゃ、命の恩人だぜぇい!”


 ロミ君は、もう恥ずかしくてピンク神の店には行けなくなった。

 ある日、スキンヘッドがロミ君の家に来て珍品屋で買った、

 例の赤いゴミ箱を踏みつぶした。彼女の分身を壊した。

 ロミ君は殺意を覚えたが、彼らが恐ろしく何も言わずに涙を浮かべた。


 ある雨の日、またスキンヘッド2人組がロミ君の家に来て衝撃的な告白をした。

“おい、僕ちゃん、あの店の女の子を、2人でこましちまったぜ!”

“俺達とあの娘と3人で一晩中やりまくったぜ!”

“俺が彼女のマ◯コをいじくり回し、相棒のチンポを彼女がくわえてなぁ”

“一晩中、ズッコンバッコンよぅ!ぬるぬるの、べちょべちょよぅ!”

“いぃ~い、うめき声だったぜぇ。ああ思い出しただけでピュッだ!”

“いぃ~い、テクニックだったぜぇ。ああ、思い出しただけでピュッだ!”

“綺麗なナイスバディが、くねくねつるつる、よく動くんだぁぁあああ!”

 さらに2人は、もっといや~らしく下劣極まりなく彼女の肉体の評価をした。

 あそこはA、あそこはB’あそこはチト黒いとか・・・

 ロミ君は恐怖から平然を装ったが、彼らが帰った後、泣きわめいた。

“ぢぐじょう!ぢぐじょう!ぢぐじょぉぉぉおう!”

 そしてロミ君は大降りの雨の中を飛び出し、珍品屋に向かった。


 息を切らせて珍品屋に着くとピンク色の彼女がいた。

 彼女は相変わらず圧倒的に美しく輝いていた。

 ロミ君は目に涙を溜めながら、

H「これ」

 と言って、再び赤いゴミ箱を買った。

 彼女はロミ君に天使のような笑顔で優しく微笑んだ。

“有り難うございましたぁ-”

 ロミ君は金を払い口を一文字に結び赤いゴミ箱を小脇に抱えて、

 ダッと店を脱兎の如く猛烈な勢いで飛び出し、そのまま走り続けた。


 そしてロミ君は踏み切りまで辿り着くと立ち止まり暫くじっとしていた。

 そしてロミ君は線路に耳をつけて電車がやってくるのを待った。

 そしてロミ君は線路の上に赤いゴミ箱を抱えて寝っころがった。


 その赤いゴミ箱はロミ君にとって全ての神聖な唯一のピンク色の女だった。

 



そう簡単にゃぁ死なせないぜぇぇええ、とスキンヘッド2人組は笑った。

ウオォォーーーン、ルルル。



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