元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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埴谷雄高VSきっぷる・インフルエンザ中妄想対談:kipple

2009-02-05 03:08:00 | kipple小説

     埴谷雄高VSきっぷる・インフルエンザ中妄想対談


 
埴谷雄高“ドストエフスキーを読め!ぷぷぅ!きっぷる君、君はまだ生きているのかい”


きっぷる“へぇ、十代の頃から死にてぇ死にてぇ言ってやすが、未だに生きてやす。ってか、埴谷さん、死んだのいつ頃でしたっけ?”

埴谷雄高“僕?ああ、僕ね、10年くらい前かなぁ?でも、そんな事はたいした問題じゃないんだよ。”

きっぷる“へぇ、みんな遅かれ早かれ何やったって死にますしね。それに生きてるって、やっぱこれほど不快なもんないですしね、年を重ねるごとに埴谷さんの言ってた事が身にしみやすよ!”

埴谷雄高“当たり前だ!人間はどうやったって今の宇宙の法則では「自同律の不快」から逃れる事はできないんだよ!ぷぷぷぅ!”

きっぷる“あ、出ましたね!「自同律の不快」!何か懐かしいです!しかし、世界的な思想家、文学界の孤高の巨人とまで言われた埴谷さんみたいな人に、今じゃ殆んど誰も見向きもしねぇっすよ!”

埴谷雄高“あー、君もダメだね。だから世界中から僕の家に取材が押し寄せようとフェミニスト、フェミニストだと褒め上げられようと、そんな事はどうだっていいんだよ!だいたい僕はフェミニストなんかじゃないしね。だから、宇宙の事を考えなきゃダメなんだって言ってるんだよ。全ての人間がね。”

きっぷる“ああ、そうですよね。形而下の事なんか結局、どうにもならないですよね。形而下の存在であれば結局「自同律の不快」から人間は絶対に逃れる事はできませんよね。”

埴谷雄高“あー、ちょっと違うけど、まあ、いいよ、それで。君、梶井基次郎を何回も読んでみればいいよ、君にはそれを勧めるよ、どこか似たとこがある”

きっぷる“ああ、梶井基次郎なら今でもたまに読んでます!ああ、あっしも同じような肺結核体験をしてますからね、結核療養中の話なんかは凄く心に響くというか似たような気分を思い出します”

埴谷雄高“ぷわっ!ちょっと話が咬み合わないね、君とは。そういう形而下な事を言ってるんじゃないんだよ、僕は”

きっぷる“は!すいやせん!あ、そうそう、最初から気になってたんすけど、埴谷さんは、今でも、やはり・・・そのぅ「死霊」を・・・”

埴谷雄高“当たり前だ!「死霊」を書き続けているぞ!まだまだ完成は遠いがね。ぷわっ!ところで、君は僕の「死霊」の中に出て来る「死者からの電話」のくだりを覚えてるのかい”

きっぷる“へぇ、もちろん!あの段階的な死。即ち、死とは段階的なものであると言うとこっすよね”

埴谷雄高“うぷぷぅっ!そう!そうなんだよー!あの段階的な死という概念を発明したのは僕なんだからね!ぷぷぅ!”

・・・・・・・・・・・略・・・・・・・・・・・・・・・

(大雄(ジャイナ教教祖)と釈迦との洞窟内での対話の話が延々と続く・・・)

・・・・・・・・・・・略・・・・・・・・・・・・・・・

埴谷雄高“いいかい?ジャイナ教(いわゆる餓死教団)の教祖であった大雄は、結局、論争で釈迦を打ち負かしたんだよ!ぷぷぅ!君、君、君、きっぷる君!君は命は大切だと思うかね?”

きっぷる“へぇ、まぁ人並みには・・・”

埴谷雄高“ぷぷぷ!ぷっぷぷぷぅのぷぅ!じゃ、君は生れてから、ずっと自分以外の無数の命を奪って生きてきたという罪業に対してどこまで妥協できるのかね!ぷぷっ!”

きっぷる“あ、釈迦が大雄のいる洞窟に会いに行った時、大雄の信者は全滅してたんすよね、そして、最後に問答で釈迦を打ち負かして、高笑いしながら、自分も砂のようにボロボロ崩れて消えていったと、後には、その高笑いだけが残ったと。何かで読みました”

埴谷雄高“ぷわー!別にいいよーだ!せっかく僕が説明しようと思ったのにさぁ!ぷぷぅ!だから大雄は他の生命を奪って摂取しなければ生きてゆけないという最大の罪業をどう解決するかという事で、最後は喰う事や飲む事はもちろん、眠る事も空気を吸う事も禁じたんだよ。空気を吸えば空気中の微生物を殺してしまうし、眠ればちょっと寝返りを打った瞬間に目に見えぬような小さな虫なんかもを殺してしまうだろう!ああ!何て罪深いのだ!ぷぷぷ!そう!大雄の考えたやり方は完璧だったのだー!洞窟の奥で動かず喰わず飲まず眠らず空気をも吸わず!これ以外にその罪悪から逃れる手はない!”

きっぷる“あ、なるほど、思い出したっす!高笑いを残して消えていった大雄をみて、そこで釈迦は思ったと・・・”

埴谷雄高“ぷわぁ!そうだ!オレに言わせろ~~!釈迦は、こう思ったんだ!それじゃ、死んじゃうじゃんかよ・・・でも、論破されて悔しいな、あ、悔しいな!でも、議論なんて結局ダメだな、オレは穀物までは良し!と、しよっと!大乗で行こう!理屈じゃ負けても、理屈じゃねぇよ、ってな!ぷぷぷぅぅぅ!でもな、僕には大雄に勝るアイデアがあるんだぁ。分かるね、チミ!”

きっぷる“へぇ、ニュートリノ宇宙っすよね・・・”

埴谷雄高“ぷわぁ~おっ!ぷぷっぷっぷぷぅ!感心した!僕の本をよく読んでるではないかね、君♪その通り!そこでだ、どうやって今の宇宙をニュートリノ宇宙にしちまうかというとだね、分かるね、きっぷる君”

・・・・・・・・・・・略・・・・・・・・・・・・・・・

埴谷雄高“なぁ、あのヤマンバって女子はまだいるのかい?やっぱりね、いくら進歩的なぼくでもね、ぼくは、あれはイカンと思う”

・・・・・・・・・・・略(「虚体」について話をしたが忘れた)・・・・・・・・・・・・・・・

きっぷる“あのぅ~最後に一つだけお聴きしたいんすけど。”

埴谷雄高“なに?”

きっぷる“「死霊」は、だいたい、いつごろ完成するんすかね”

埴谷雄高“ぷぷぷ!そうだね、今10章書いてるけど、人類が滅びた頃には完成するんじゃないかなぁ?”

きっぷる“でも、それじゃ、遅すぎるんじゃ・・・?”

埴谷雄高“人間が一人残らず死に絶えて廃墟と化した地球に僕の「死霊」が残るんだよ!「死霊」だけがね!完成版だよ、君!”

きっぷる“だから、それじゃ誰も「死霊」を読めないじゃないっすか!”

埴谷雄高“だからね、そういう形而下な事は問題じゃないんだよ、君!どうして分からないの?どっちみち、僕はとっくに死んでるんだから死者が完結させた本は死者が読めばいいんだよ!いいかい?あの世こそ、全てがニュートリノ化し物理的衝突の全く無い世界にちかいんだよね。人間がみんな死んでしまえば、僕の言う全てがニュートリノ化して物質的な衝突の起こらない世界が完成する、すなわち、人類全員が僕の「死霊」を読んだのと同じ事になるわけだ!すなわち、あの世だ。じゃあの世に帰るよ、君も早くいらっしゃい!”

きっぷる“へぇ!”

・・・・・・・・・・略・・・・・・・・・・・・・・・・・


                  


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)