-八-
その瞬間、ワードパッドの文章の狭間から巨大な銃弾が物凄い速度で出現し作者キップルの眉間を、ぶち抜いた。 最後の瞬間、脳味噌を銃弾が通過する、その一瞬に、作者キップルは、脳味噌の中で遠い昔、若い頃、一緒に仲良く暮らしていた女の子と夏のある夜に見に行った隅田川の綺麗な綺麗な、花火の光景を見た。 ど~んと鳴って、夜空に巨大な美しい花火が上がった。遠い思い出。女の子は金魚の浴衣を着て髪をピンクのカンザシでとめていた。 あんなに幸福な時間は作者キップルには2度と訪れる事はなかった。作者キップルの人生で一番、幸福な時間だった。 帰り道に、でっかい月が出ていた。2人は手を繋いだまま月に吸い込まれそうな気分だった。 「こんなバカな・・・」 「・・・オイラが今まで生きてきて最後に浮かんでくる記憶はこれなのか?オイラは彼女に酷い事を言って別れてしまった。オイラが本当に好きだったのは彼女だったのか?そう、彼女とオイラは双子のようだった。いつもいつも一緒だった。本当に大好きだったんだ。絶対に失いたくなかったんだ。彼女は、あれからどうしたのだろう?・・・おかしい。オ・オイラも誰かに書かれている・・・」
そして、作者キップルの思考は血の海の中で完全に停止した。 KIPPLE |
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