元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

「家具のつめ直し」:kipple

2005-01-29 00:27:00 | kipple小説


   家具のつめ直し


俺の家は、とにかくゴチャゴチャだった。

俺は、いつか整理しないとと思いつつ、同居している女にも言われつつ、2年間、何もせずにいた。

だが、今、俺は決意した。

この土日の休みの2日間で、全てをキチンと片付けてしまおうと。


そして、土曜の朝が来た。

6時だ。

俺の友人達が、ちゃんと時間を守って、12人、今、車で俺の家の玄関前に集合した。

女が4人に、男が8人だ。

女2人と男3人はパンクスで、残りの女2人の1人は処女で、1人は人妻だ。残り男の5人は、3人が真面目なサラリーマンで、1人が暴力団員で、1人が俺のブラブラしている弟だ。


俺は思った。

こいつら、俺の家なみにゴチャゴチャだなって。

そして、パーティーが始まり、土日の2日間、皆で家具のつめ直しを行なった。

終わってみると、友人たちは、もっとゴチャゴチャにつめ直し、さらに疲労から皆、死んでしまった。


俺の家は、よりいっそうゴチャゴチャになった。

同居女が文句を言って出て行った。

俺は、TNT火薬を身体中に巻き付けて、

人生なんか!大っ嫌いだぁぁぁ~っ!

と、爆死した。


そして、家ごと綺麗にサッパリ吹き飛んで、やっと片付いた。


さようなら。


This novel was written by kipple
 (これはミニ・web小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「宇宙発明者」:kipple

2005-01-17 00:18:00 | kipple小説


     「宇宙発明者」



「これが 宇宙製造機だ!」

手の平を下にかざすと、どす黒い液体が、ボトボトとしたたり落ちて、次第に、でこぼこした球体になった。

「僕の手の平が、宇宙製造機だ!」

でこぼこした球体は、ゆっくりと回転しながら、直径50cmくらいの完全な球体になった。

そして、ぷかぷか、宙に浮いていた。

「もう、いっちょーう!」

両手で真っ黒な球体を、横に引き伸ばすと、それは宇宙になった。

じっと見ていると、その宇宙の中には、やはり僕がいて、同じ様に黒い球体を引き伸ばして宇宙を作っていて、その宇宙の中にも僕がいて、その黒い球体を引き伸ばして・・・・・・

又、僕が今いると思いこんでいる宇宙から見上げてみると、さらに僕によって引き伸ばされているところで、そのまた・・・・・・


This novel was written by kipple
 (これはミニ・web小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「超万能薬」:kipple

2005-01-06 00:27:06 | kipple小説


   「超万能ぐすり」


私は、超万能薬を手に入れた。

どうやって 私が、その超万能薬を手に入れたのか。

それは、誰にも教えない事にしている。

ヒントは言っても良い。

しかし、このヒントから、解答を導き出す事は、誰にも出来ないだろう。


練金釜


レシピのヒント。  青銅のサンダル + ドゥルーズ的問いを極限まで加速させる思考の擾乱 + ??????


これだけだ。

その超万能薬は凄い。私は、10錠持っている。これで、たくさんだ、と思う。

その超万能薬を一錠飲むと、十年間の超安定状態が訪れる。

病気にもならないし、激昂したり、気が滅入ってくる事もない。

たえず落ち着いたハイの状態になっているのだ。

全ての苦痛は排除される。

全ての不快感は一掃され、たとえ事故や暴力によって腕や足や、身体のどこかを損壊したり失ったりしても、24時間以内には完全に再生される。

ウイルスや毒物や細菌も、すぐに無効化されてしまう。

老化も10分の1の速度になる。近視も治り、虫歯も無くなる。

スタイルも、およそ考えられる限り、BESTの状態になる。

そして頭は、いつもスッキリしていて冷静で鋭い。

感性も想像力も、まるで幼児のように新鮮に豊かに強力に働く。

運動能力も飛躍的に向上する。


私は、10錠持っているので、100年間は、最高の状態を維持できるわけだ。

超万能薬は私の 小心さを打ち砕き、行動的にし、感情を絶えず安定させ、あらゆる才能を無限に与えてくれる。

おかげで、最愛の女性と結婚し子宝にも恵まれ、理想的な家庭を手に入れた。

全ては絶好調で何もかもが私を通して明るく光り輝き、私は無類の幸福を手に入れた。


そして、私は、とてつもなく死に憧れ始め、これから死のうと思う。

どうしてだと思う?冷静に分析したところ、私は、おそらく完全に満足してしまったからだと思う。

人間の最も幸福な死は、幸福の絶頂の状態で死ぬ事である。

どんな苦悩、苦痛の中でも、自ら死を選択してはいけない。

自ら死を選択して良いのは幸福の絶頂の最中にある時だけなのだ。


そして、もちろん、私は、シチリアのエトナ山に行き、火口から身を投げた。


え~んぺど~くれ~す~!


さようなら。          


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 (これはミニ・web小説なり。フィクションなり。妄想なり。)