元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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音楽室5号 第12.1章

2021-06-28 07:08:39 | 音楽室5号

 


第12.1章
(スポーツ廃止法。全ての戦争代理ゲームは禁止されました)


 列車は走り続けます。

っ。」駅が小さく小さく置いてけぼりを喰らってしょんぼりしてるのがサイドミラーに映し出されています。

 キーホーは口を大きく開けて、バンザイの様な格好で、のびをしました。

 すると、いつの間にか、向かいの席でウインクを繰り返している小説家が「レティシアのテーマ」を口笛で吹きながら、キーホーに釣られてバンザイをしているではありませんか。

 


 小説家は言いました。


「あ。」


  キーホーも言いました。


「あ。」

 


 それから列車が一回転して口から炎を吐き出して大阪城を焼く間に、小説家はキーホーに向かって驚くべき事を話し始めたのです。


小説家「私は君の叔父の息子の妹の娘の祖父にあたる。

      私と君は親類同士だ。」


キーホー「ほう。」


小説家「いいかい?

    君は知らない風だけど、僕ら一族はね、クルベムゲイルの血筋なのだよ。

    神の血筋だ。」


キーホー「ほう。」


小説家「ほーら、驚いた!」


キーホー「・・・」


小説家「・・・」


キーホー「・・・」


小説家「退屈かね?」


キーホー「退屈かね?」


小説家「ざけんじゃないよ!」


キーホー「ざけんじゃないよ!」


小説家「・・・」


キーホー「・・・」


小説家「・・・」


キーホー「実は。」


小説家「何だね。」


キーホー「僕、退屈なんです。」


小説家「そらみろ。

     そうだと思ったんだ。

     じゃあ、これを読みたまえ。

     私の書いた本だ。

     世界の秘密とクルベムゲイル一族の関わりについて書いてある。

     遠慮せずともよい。

     さぁ。」



 キーホーは、成りゆき上、退屈しのぎに小説家に手渡された百ぺーじほどのガリ版刷りを読み始めました。

 小説家は、うれしそうにニッコリと笑みを浮かべてキーホーの一挙手一投足を曼珠沙華のように揺れながら凝視しているのでした。


 

 本の題名は、これです。


       ↓


   『奇型的美男子』




 



 

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