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元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

さすらい少女2004夏 1

2021-07-28 06:43:39 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-1-


 私は中学2年の夏休みに、たまたまケーブルTVでやっていた1970年代アメリカ・ニューシネマ特集というやつで、「イージーライダー」という映画を見た。最初は古臭い映画だなって、それに長いし、イケメン風の主人公のキャプテンも何かダサイし、キャプテンと一緒の片方の男の顔は、はっきり言ってキモイ。そう思って途中なんか眠くて最後に2人とも撃ち殺されるまで何だかストーリーもあるんだか無いんだかワカンナイ、変なの見ちゃったって感じだった。

 知らない人の為にちょっとストーリーを言うと、って言っても私も半分眠ってた感じで見てたから自信ないんだけど、昔々、アメリカにヒッピーという人たち(主に若者なんだと思う)がいて、そのヒッピーの2人組が自由を求めて、ありきたりの人生をすてちゃうんだよ。捨てちゃうって言っても難しいと思うんだけど、親とか親戚とか社会とか、そういうのに関わった一般的な常識的生き方っていうか、会社員になるとか、結婚するとか、まあ、そういうのを止めちゃって、大きなバイクに乗って広い荒野に旅にでるの。昔の西部劇に出てくるような荒野のハイウェーをバイクで突っ走るわけさ。金はどうすんだよ、とか将来無いじゃん、ばかじゃない?ってそう思ったよ、当然。しまいに本当にゴミみたいに殺されちゃうし、実は相当、バカな話なのかもしれない。

 でもね、それから、ふっと一人になった時とか、最初に時計を捨てるシーンが頭をよぎるの。夜、寝るときとかね。そんで、何で時計を捨てたんだろうって考えるようになっちゃってさ。ああ、そうか時間に追われて生きるっていう、何て言うか時間に束縛されるのが嫌だったって事か、いやいや時計はアリキタリの生き方の象徴なのかなって、そんな風に考えているうちに、ある時、「なんだ、時計だけ捨てればいいなんて、楽な時代だわ」って呟いてる自分にビックリ。

 思えば私たちの世代って、毎日毎日どころか、毎分毎分ケータイのメールが入って無いか気になってチェックチェック、また、自分のホームページのアクセス数が今日は何件あったか、掲示板にカキコがあったか、ないと不安になったり、また、自分が書いたカキコミにレスがついて無いか、やきもきやきもき、しょっちゅう確認して神経をすり減らす毎日だ。私は今、高1女子だけど、中学に入った頃からずっとこんな感じで生きている。起きればメールチェック、御飯食べてる間にも返事を打ち込み入ってくるメールを確認してる。そんで、暇さえあれば掲示板をチェック。誰も書いてくれてないと不安になるし、書いてあればあったでレスを相手に好感を与えるように最大限気遣って考えて書き込んだり、またその自分の書き込みへの反応が気になってイライラしたり。私たちって、まだ15才なのに、なんでこんなに神経をすり減らして気を使って年がら年中、メールと掲示板でストレスまみれにならなければならないんだろ?まだまだ、若い身空なのに。思えば神経ボロボロだよ。

 そう思うようになっても結局、フツーの生活してたら、この状態は延々と引っ付いてくるし、だから、ああ昔は時計捨てれば良かったんだ、楽じゃんって思ったわけさ。自己分析。そういう事、言うとクラスの連中はすぐに、「簡単だよー、援交やれば精神的に解放されるじゃん!」ってニコニコ言うけど、だけどそんな事してたら、ますますドツボにはまる気がするんだわ。永久にケータイ・パソコン、メール・掲示板地獄から抜け出せないって。学校出て、社会で働き始めたら、もっと凄くなる気がするし。

 そんで、思ったわけよ。他の手があるじゃんって。「プチ・イージーライダー作戦」だ。親も兄弟も社会も捨てて荒野にバイクで旅出って挙句の果てに殺されちゃたまんないから、プチ一人旅に出ればいいんじゃないかなぁって、思ったのが中2の夏休みも終わる頃かな?時計は別にいいけどさ、とにかくケータイとNETよ、おさらばさ!って感じで、ちょこっと家出の一人旅でキメ。また戻ってくるわけだけど、かなりスッキリするんじゃないかなって。思いました。

 そして時は無情に過ぎて、はや2年、実は私は小心者らしくて、今まで一人旅なんてしたことないし、いったいどこへどうやって行ったらよいのか、と言うよりも、やっぱケータイ離すの不安だし、掲示板気になるしホームページだって結構人気があったりするから、ずるずると高1女子になっちゃった、ウチは付属高だからね自動的に。なんて言い訳、良い訳。わかってるんだ。勇気がないんだ、あったしはさぁ~。やっぱ1人きりでケータイ無くて掲示板にも書き込め無い、ホームページも見れないなんて怖すぎ。そう思うと、あの映画「イージーライダー」の時代は時代でケータイもメールもホームページも掲示板も無かったような時代に、そのようなストレスを恐らく与えていたに違いない時計を捨てるには相当、根性がいるなと改めて、なかなかやるじゃんと例の2人はけっこう勇気があって、ただのバカじゃないんじゃないかと思い始めたりするんだ、これが。
 





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