元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

「雨族」 断片77-残され組:kipple

2011-03-31 23:35:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
        断片77- 残され組


ああ この孤独感

独りでいようと 誰といようと 絶対に充たされぬ

残され組の孤独感

誰も助けちゃくれないし  誰も相手にしちゃくれぬ

ずっと近くにいようとも  ずっと遠くにいようとも

同じ事さ



今さら遅いかもしれないけど、オレはまったくのひとりぼっちで、さらに淋しくやりきれない。

リュウマチに罹った孤独な青ナメクジみたいだ。

空がオレに向かって、ズドンと落ちてきて、オレを通過して、さらにさらに落っこって行っちまったよ。

空にさえ相手にもされずに、オレは全身全霊苦痛病の中で行き場を無くして泣いています。

子供の頃のオレの感性の断片を、時折、思い出す。

おじいちゃんやとうさんやかあさんやおばさんやおじさんや、今は、みんな死んじゃったけど。

10年前の、あの地震と津波で、みな死んだ。オレを残して、皆、去った。

オレを、おかしな色の地面の上に小さな箱詰めにして、とり残して行っちゃったんだ。

オレが世の中にとけ込んでいけないって事は地震の日よりずぅっと昔から分かっていたけど、放射能汚染民という汚名と言われなき差別と偏見の中でも、必死になって「世の中色」に擬態していたんだ。

でも、とうとう、もう前も後ろも分からなくなっちゃって、運動会の徒競走で逆に走り出した頃みたいに、やってる事が何が何だか分からなくなっちゃってさ!

色んな物や人にギリギリに鉛の中に押し込まれちゃったよ。まるでオレは隔離されて見捨てられた放射性物質みたいだ。誰も近づいてきやしない。

毎日が気怠く過ぎてゆく。

汚染された水に汚染された氷を浮かべて、飲んで、繰り返し。繰り返し。過去から津波がやってくる。

ひねくれて、ねじまがっちゃったオレの昔の心。心みたいな昔。うそつきの心。

木の小屋で、蝋燭の灯で、優しい神様みたいな死んでいった人々と一緒に暮らしたら、おそらく空は、ちゃんとオレの上にあってさ、うまく空気だって吸い込めて、ズブズブと沈まないように、軽快に歩いて行けるかもしれないのに。

誰だって、そんな事は無理だって、ちゃんと分かってるよね。

皆、きちんと色とりどりのエランヴィタールをもってるもの!オレも欲しいな。エラン・ヴィタール。

あの日、津波に流され無くしてしまったエラン・ヴィタール。生きるためのエゴ。

代わりにやってきたのは、色んな薬さ。中枢を殺す例のやつらが、ごっそりと待ち受けていやがった。

オレはきちんと今の状況を今こそ本当にきちんと分析するべきなのさ。

苦しんでいるオレを、そのまま置き去りにして、底無しに苦しませてくれる社会の中で生活し、そのためにさらに全てを失い、失った分だけもっと苦しみ続けている、このオレを。

人生は失い続けるものだけれども、得るものが失ったものより、もっと悲しく苦しいものだったら、どうする?

得たけれども、それは失った方が遥かに良かったものばかりだ。

他者ってぇのは本当に冷たいエゴイスティックなものなんだから、我慢しろって言うのかい?

どれも同じさ、とね。生きるって事はけっこう楽しいものなんだからって、被災者にいた時に来たカウンセラーだったか、誰かが言ってたけど。

それは、そういうタイプだから言えるのさ。緑色の光線だって、見える人と見えない人がいるし、何にもない真っ暗闇さえ見えない人だって、万に一人はいるよ。

誰だ?オレだ。青星雨族のオレだ。ノーウェアマンだ。

無の中で生産し、有の中に苦しみ悶える。みつばちたちの営みでも見てみろよ。オレは今、25才だよ。

弱い男だ。本当に弱い、滅多にいない弱い25才の人間だ。

夜の星々!夜の星々よ!オレを捕えろ!捕えて檻に入れろ!

ほら、夜の風景は曇っている。空は晴れているのに大気が放射能で曇っているよ。

街は深夜だというのに、まだうめいてる。

星々を消し去って、ガラゴロガラゴロと、機械の“つぶやき”で満たしている。

不眠症になっちまったオレは、熱病になっちまったオレは、行方不明になっちまったオレは、、、どこへ行くんだろう。

どこに行けば銀河ステーションに行けるんだろう。人生は行動だって、みんな言うよ。オレもね、本当はそう思うんだ。

で、さ。行動するんだよ、いつも。

行動して、行動して、気づいてみると、地面が揺れてて過去から津波がやってきて、壊れたロボットになっちゃったり、肺病になっちゃったり、クラッシュ症候群になっちゃったり、存在自体がノイローゼになっちゃって、今みたいなオトボケ泣き虫にになっちまって、あげく相当メッチャクッチャになっちまう。

行動しなけりゃいいって?そんなわけには、100%いかないように出来ているんだよ!人生ってヤツはさ!

叩いて、こねくり回して、振り回して、ちぎって投げて、踏みつけて、ぐちょぐちょにしてやっても、その大原則は変わりはしないんだよ!

一億年経っても、そうだ。オレが死んで、誰かが生きて、誰かが死んで、又、誰かが生きて、たくさんたくさん、それを繰り返して、何とかやっていこうなんて思いながら、最後には何も残さずに消えちまう。

もう、心なんていらないよ。感情なんて、ちちんぷいだ。身体だけは大切にって?放っておいてくれ。

オレは、あの地震と津波の後で、25才までには死ぬと思ってたのに、生き延びちまったよ。

おかげでオレの周りには、お互いを助け合う事が絶対に出来ない悲しい生き残り組ばかりになっちまった。

みんな、うまく笑えない。

オレの死に時って、今なんじゃないかな。外側にいる、お幸せで恵まれた他人たちは実に見事にエラン・ヴィタール満々で生命力に満ちていて好奇心がいっぱいで自分のペースに忠実だ。

オレの事なんか、まるで気にもしてないし、目の隅にさえ入らないみてぇだ。オレって透明人間なのかなあ。この世界の中で。

そう言えば地震の前から、そもそもオレは、子供子供としょっちゅうバカにされていらぁ。

その通り!オレは!雨族!残され組!

ずっと子供と老人の間を、行ったり来たりしてるのさ!

オレが!オレが欲しているのは、こうなんだ!

どこにもない国!どこにもいない人々!どこにもない時間!どこにもない習慣!どこにもない病気!どこにもない楽器!どこにもない文化!どこにも存在しない、もろもろの存在!

本当に生きるって事は、なかなかいいものなのか?

生きる事が、つらいってぇのは、そりゃ、きどり なのか?


さあ!エスペラントよ!其の国で!
たっぷりと化石の夢を見ろ!





断片77     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「雨族」 断片76-命:kipple

2011-03-29 23:58:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
        断片76- 命


僕の人生が終わった。

僕は死んだ。

僕の人生はまるでドシャ降りの雨の中にたった一人で閉じ込めれらているようだった。

もがいてももがいても世の中には全く相手にされず、誰にも愛されず、誰も愛せず。

まるで、僕の人生は無の様だった。

まるで、世界に僕は存在していないかのようだった。

ドシャ降りの雨の中にいるから雨の外側にいる人たちには分からないんだ。

だから、誰にも見えないんだ。

ドシャ降りの雨は決して止む事は無く、突然、真っ黒い大きな水がやってきて、まるでボロ切れのように呑み込まれ、呆気なく僕の人生は終わった。

僕の存在なんか誰も覚えていやしないだろう。誰の記憶にも残らないだろうし、僅かな記録だって流されて無くなってしまったに違いない、きっと。

そして、僕はここに来た。これがあの世かと思い、僕はケラケラ笑ってしまった。

だって、ここも、ドシャ降りなんだもの。

しかも飛びっきりのドシャ降りの雨なもんで周りは何にも見えやしない。

やはり、ここはあの世だ。死後の世界だ。

だって、僕の身体には物理的感触が無いし、この思いっ切り降りかかるドシャ降りの雨だって、僕を素通りだ。

ここは物理世界ではないんだ。人生とは物理世界で過ごすことだ。

だから間違いなく僕は死んで、僕の人生は終わったんだ。

そして、あの世もドシャ降りの雨。ドシャ降りの雨そのものの世界。

ドシャ降りの雨以外、何もない。上も下も右も左も無い。

このドシャ降りの雨がどこからどこに向かって降り続けているのかも分からない。

とにかく何も分からない。とにかく方向不明で縦横無尽に降り続けるドシャ降りの雨だけで、また、ひとりぼっちだ。

時間の感覚も無いので、僕が死んでここに来てからどのくらい経ったのかも分からない。

ただただ、ひとりぼっちでドシャ降りの雨だけの世界でドシャ降りの雨が僕を通り過ぎていく。

どれくらいたったのか。幾千万年過ぎたのか、今、来たばかりなのか、さっぱりだ。

しかし、いつしか僕は誰かの存在を感じていた。

確かに誰かが。このドシャ降りの雨の中にいる。僕以外の誰かが。

ドシャ降りの雨に曇って何にも見えないが、ずっと僕の事を感じている誰かがいる。

それも、その誰かは、とても強く、僕を感じている。

僕には分かった。

そして、そこには君がいた。

「やあ、お帰り」

と、君は言った。

そう言われると、僕は何となく懐かしい気持ちになった。ここは?ずっと昔、来た事がある?

そして、僕はごく自然にこう言った。

「ただいま」

そして、君は答えた。

「また、ずっと君を見てたよ。今度も失敗だね」

僕は問うた。

「僕と君は何?何だっけ?よく思い出せないんだ。」

君はすぐに答えてくれた。

「僕は君の命。」

僕はちょっと驚いた。僕の命はここにあったのか。

僕は又、問うた。

「君は僕の命なの?ずっと、ここにいるの?この、僕の人生みたいな、ドシャ降りの雨の世界に」

君は激しい雨音の中から、ハッキリとした声で言った。

「当たり前だよ、僕は君の命なんだから。君は初めてここに来たと思ってる?それとも何となく覚えてる?」

僕は言った。

「何となく来た事があるような気がするけど覚えてないんだ。僕は以前にもここに来た事があるのか?」

君は、何だか嬉しそうに答えた。

「そうそう何度も何度も、ずぅ~っとね。君は生きては死んでは、ここに来てるんだ。でも、死んでここに来た時には、前の人生の記憶しかないんだ。だから、君は僕の事は知らない。生まれた時点で、前の人生の記憶もここの記憶も僕の事もリセットされるから」

僕は、とてもすんなり理解していた。そして、言った。

「僕は、又、生きるんだね?物理世界で産まれて生きるんだね?そして、君はここで僕を見てる」

君はドシャ降りの雨の向こうから元気よく言った。

「うん!その通り!」

僕の決心はもうついていた。当たり前のように、ついていた。

そして、言った。

「いつも、いつだって、君、僕の命は、僕を見ていてくれるんだね!」

君は言った。

「その通り!君は君の命である僕の世界のドシャ降りを止めるまで何度でも繰り返すんだ!」

僕は、もうやる気満々になっていた。そして、気合を入れた。

「うしっ!」

そして、最後に君は僕に言った。

“僕は君の命であり、君を繋ぐ楔だ。僕はいつだって、ここにいる。君の命は、ずっとここにいるんだ。だから君は安心して、思う存分、生きていいんだよ。”

そして、最後に僕は君に言った。

“もう一度、行ってくるよ。何度でも行ってくるさ。そして、いつか僕の人生が、ここに晴れをもたらすさ。”

そして僕は物理世界に再び生を受け、同時にそれまでの記憶を全て失った。



おぎゃー!オギャー!おぎゃー!オギャー!おぎゃぁぁ~~っ!





断片76     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「月影の殺人者」:kipple

2011-03-22 23:59:00 | kipple小説

「月影の殺人者」


世の中には おんなじ人が いっぱいいる

あっと言う間に そうなった

世の中には 違う人は あまりいない

あっと言う間に そうなるよ

ビルや家は吹き飛ばされて 地球に憑りつく見えない影に引き込まれ

あっと言う間に 皆 おなじ

真っ黒なドロドロが 違いを消して 人々は一瞬で一生、歳をとり

すぐに地上の薄い影になり 月夜の波間を朧げに漂うの


世の中とは 永劫の 闇の穴だ

誰にも 見えない人が いる

世の中とは 完全に 擦り減るまで 続く

誰にも 見えない車が 走る

冷たい泥を飲み込んで 張詰めた身体は真っ黒な穴に引き込まれ

あっと言う間に 皆 おなじ

真っ黒なドロドロが 違いを消して 人々は一瞬で一生、歳をとり

すぐに地上の薄い影になり 月夜の波間を朧げに漂うの


影はのび 真っ黒い水平線で 月と交わりました

影はのび 真っ黒い水平線で 月と交わりました


遠い昔の事でした

ボクたちの世の中は ボクたち以外のものだった

ボクたち以外は死に絶えて 遠い過去から呪ってる


世の中から 灯が 次第に 消えてゆく

星の数ほど 闇ばかり

ボクたち以外は地の底で 遠い過去から笑うんだ

キミたちは 何の役にもたたないよ 何の役にもね

キミたち以外の 全てに憎まれ 嫌がられ


鮮やかな月の光が 全てを照らせば

影は どんどん のびてゆく どんどん のびてく 地の底へ

永劫の 闇の穴の底無しの底 影は交わり牙をムく

人々を おなじにすべく 牙をムく 遠い 過去から 牙をムく


ほら また 月影の殺人者が ニヤリと笑う




                   


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「放射能雨の唄」:kipple

2011-03-20 23:58:00 | kipple小説

放射能雨の唄


そう言えば 子供の頃に 雨が降るたび 言われたよ

“おい、お前、この雨には放射能が混じってる
 濡れたらハゲるぞ、頭を覆え!        ”

ビキニ環礁!水爆実験!降る降る降る降る放射能!

雨に混じって降ってくる!ハゲたくなければ頭を覆え!

ビキニ環礁!ビキニのネーちゃん、いっぱいだ!行けば天国ピンク色

イメージ先行!この雨にはビキニのネーちゃんが混じってる!

そう思ったら大間違い!ビキニ環礁核実験!

放射能が雨に混じって降ってくる!濡れたらハゲるぞ、そら逃げろ!

エニウェトク環礁核実験!気をつけろ!ハゲに加えてバカになる!

知ったこっちゃねぇ、この雨はビキニのネーちゃんの雨なんだ!

環礁、環礁と、干渉すんな、おいらは遊ぶぜ!どんと来い!

どしゃ降り放射能雨の中!ずぶ濡れになって遊んだぜぇい!

ビキニ環礁!ビキニのネーちゃん!降る降る降る降るオネーちゃん!

ビキニのネーちゃん、降ってくる!

そう言えば おいらは 放射能を浴びて 育ったわけだ

でも、全然、ハゲてねぇ! 特にどぉって事ねぇ! なんともねぇ!


未だに髪の毛生えてるし、バカは死ななきゃなおらない




                   


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(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「雨族」 断片75-影をいけ!:kipple

2011-03-08 01:27:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
        断片75-影をいけ!


無の存在!雨の中は快晴!継続的分断的睡眠!存在の無!

孤独!雨に青空的幻想と血を!

不快なる個として!自己の実態的存在感の欠落!

一日!一日!1分!1秒!一ヶ月!一年!一時間!一生!

欠落のドロ沼!希望!欲望!絶望!理性とスキゾとパラノイア!

つきまとう妄想!青と赤の混沌!肉体の変調!

とどのつまりは全人類、影をいく!

雨にまとわれ影をいく!自覚無し!

感覚の同期を最優先に望むな!人生をひとりぼっちで放浪せよ!

はじめから愛を欲するな!与えられる愛は偽者だ!

誰にも相手にされぬ心地良さは愛を欲せぬ者の特権!

死への逃亡と極点の愛はどちらも幻想!

不安と恐れと、社会的孤立感ゆえに雨族は存在し、非存在を欲す!

青空幻想に血を見ろ!輝く青い空にたれる真っ赤な血を思え!

刺激は雨族を苦しめ、言葉は刃のように突き刺さる!

たれこめる灰色の空いっぱいに真っ赤な血の雨が世界のてっぺんから、どくどくどくどく流れ落ち、真っ赤っかぁな、でっかいクレッションマークを描いてくれる!



就職を望むな!働くな!集うな!虚栄のリズムに踊るクソどもだ!
断固、雨族をまっとうしろ!

金は盗むために存在し!約束は破るために存在し!
試験はカンニングのために存在する!

ゆえに雨族は非現実的に存在し!
現実に反存在するホムンクルス崩れのスナフキンだ!

狂気!鬱!肌の汚れぇぇぇえええええ!

青白い月夜に最近出会わないのが悲しい!悲劇だ!笑え!

今、何が悲しいかって、女の足首をギュッと握れないのが、やりきれないんだ!

不毛!不毛!不毛!招かざる孤立!孤立!それが人間だ!誇れ!

点か全てか?!生も死も無意味だからこそ能動的自殺は美しい!

人が全てに嘘をついているのか?全てが人に嘘をついているのか?

きっと人も全ても、ウソに違いない!其の国へ行きたい!其の国へ!

最大の謎は己自身だ!
今日も昨日も明日も死後も、謎に始まり謎に終わる!

世界中のケータイを全てブチ割りたい!

世界中のパソコンを全てブチ壊したい!

破壊!破壊!破壊!

吹けよ!太陽風!発せよ!磁気嵐!

そして地球上の全ての電子機器が無効化され
             全人類はボーゼンと雨にうたれて泣けばいい


雨にうたれて、影をいけぇ!





断片75     終


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(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「雨族」 断片74-ひまわりごはん:kipple

2011-03-07 01:46:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


いつか、どこかに、どこでもなく、いつでもなく、それは存在している。

それは通路だ。 其の国へと続く 通路だ。

それは扉だ。  其の国へと開く 扉だ。

スクリーンだ。 それはスクリーンなんだ。

そして、そのスクリーンはどしゃぶりの雨に濡れている。

               「雨族」
        断片74-
             ◎ひまわりごはん◎


ふざけてばかりいて、何もしないでいたら、皆、いなくなって、一人きりになりました。

まわりの景色も月影に滲んで、ズドン!と地面に落っこちて来そうなのでした。

しょうがないからボクは昔の記憶に色を付けて頭でぐるぐる回して寝転んでいたのです。

ずぅ~~~~~~っと、そうしていたんです。

月影の庭の花壇をぼんやり見つめて、又、目を閉じます。

過去の切れ切れに着色し、組みかえ遊びを繰り返します。

そんな事をずぅぅぅ~~っと何年かやってたら、ますます一人っきりで、なんだか産まれて以来、ボクは誰にも出会った事がないような気がしてきました。

どこもかしこもガランとして、中性子爆弾を逃れて、たった一人になっちゃったのです。

まだボクの他に人はいるのか確かめようと思いました。

だから、ボクは何年かぶりに外に出たのです。

わあ、まぶしい事、まぶしい事。ああ、昼間だ。

まぶしくてボクの目はすぐに閉じてしまうので、目蓋をクリップでとめて見回してみると、いるわ、いるわ、いるのです。

人がたくさん、いるのです。

あんまりたくさんの人を見て、感じて、ボクは、ゲロを吐いてしまいました。

涙が滲んで両手がふるえて、立ってらんなくなっちゃいました。

他の人間の人たちは、皆、何やらザワザワ動いて生きているのです。

水星人か木星人みたいです。

ボクは恐ろしくなって、バルコニーから這い上がって部屋に入ってシャッターをおろして真っ暗の中で目を瞑って、心臓をバコバコさせて唾を何度も飲み込みました。


でも、大丈夫です。

ひまわりごはんは、吐き出しましたから。






断片74     終


あ~ピッカピッカの良い天気だ、人々もニコニコ気持良さそうに、ゾロゾロと咲き乱れる向日葵みたいにお出ましだ!

オェー!反吐が出る!死にそうだ!雨族諸君に告ぐ!

ひまわりごはんを食べたなら、それがどんなに美味くとも、吐き出したまえ、今すぐに

This novel was written by kipple

(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)