226061 「中国と日本とアメリカ」(NEWSWEEK)より②~巨額「へそくり」の使い道
猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/07 PM09
『中国と日本とアメリカ~巨額「へそくり」の使い道』(NEWSWEEK2010.0210)リンクより転載します。
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中国はー月半ぱ、09年末時点の外貨準備高が前年から4530億ドル増え、2兆4000億ドルに達したことを明らかにした。恐らく今年も同じ規模で増えるだろう。この莫大な外貨準備高は金融、経済、そして地政学の観点からみて極めて重要な意味を持つ。中国がため込んだ米ドルを突然「投げ売り」して価値を下落させ、国際基軸通貨の地位から引きずり降ろし、アメリカの経済力と権威を失墜させる恐れがあるからではない。
中国が保有する外貨準備のうち、3分の2あるいはそれ以上がドル建てとみられている。そのドルを投げ売りした場合は、中国自身にもつけが跳ね返ってくる。それは中国人やアメリカ人はもちろん、誰もが敗北することになる経済戦争を重言するのに等しい。
仮定の話として、何が起こり得るか考えてみよう。まず中国がドル建ての証券を売る。そこには8000億ドル相当と推定される米国債と、数十憶ドル相当のアメリカの株式と社債が含まれる。これらの証券類を処分してドルを手にしたら、それを為替市場で売ってユー口や円、その他の通貨に換える。
大規模なドルの放出は新たな世界経済危機を招きかねない。中国がドルを売つたことが知れ渡れぱ(当然そうなるが)、アメリカをはじめ他の国々の投資家もドル建ての証券を売り、ドルを他の通貨に換え始めるかもしれない。そうした動きがパニックにつながれぱ、各国市場は急落し、銀行や投資家の資本や財産は目滅りする。
”他国を犠牲に輸出促進”
今のところ止まっている景気後退が再ぴ悪化し、さらなる不況が訪れれぱ、中国型品の輸出先である外国市場も縮小する(09年は中国の輪出額が16%減少)。他の国々は自国の雇用を守るため、中国製品に対して輸入割り当てや関税を掛けるかもしれない。
こうした事態を招くようなことをなぜ中国はするのか?答えはーつ。中国はそんなことをしない。
莫大な外貨準備高が重要な意味を持つ理由はほかにある。第ーに、外貨準備高は中国の重商主義的な通商政策のスケールを示している。重商主義の国は、貿易相手国を犠牲にしてでも輸出を増やそうとする。中国の場合は人民元の為替レートを意図的に低く抑え、中国製品の競争力を高めることでこれを実行してきた。昨年の中国の貿易黒字は、世界的不況で目減りしたものの、膨大な額に達した。
中国が大量の米国債を保有しているので、「アメリカは中国の金を借りている」とよく言われる。だがこの捉え方は正確ではない。
中国は輸出で手にしたドルを米国債に投じる代わりに、輸入を増やすことも可能だ。あるいは人民元を切り上げてドルの流入を制限し、輪出する製品の価格を上げて輸入製品を安くすることもできる。
中国は05年に緩やかな人民元の対ドル切り上げを始めたが、08年7月には再ぴレートを固定。その後、莫大な貿易黒字が生まれたことによって、中国がアメリカや他の国々に対して金を「貸す」形になっただけだ。
中国の外貨準備高にはほかにも戦略的な目的がある。それは原材料(原油、食糧、鉱物資源)や重要な技術に投資したり、政治的影力を手に入れるために他国への費金援助や優遇借款に使うことだ。
実際、中国は2兆4000億ドルの「へそくり」を好きに使える。
皮肉なことに、中国は大量の米国債を持っていると非難されているが、この莫大な外貨準備高こそが輸出関運産業の雇用を創出したり、主要な輸出製品の不足を未然に防ぐ政策を後押ししている。
”基軸通貨より壮大な野望”
中国政府の狙いは、急速な経済成長を保つことで権力を増強することだ。中国が国内消費を増やして経済成長を促進しようとしているのは事案だが、それが実現するまでは輸出に頼らざるを得ない。
だが中国にとって良いことが、アメリカをはじめ他の国々にとっても良いとは限らない。単に経済力の集積する地域が変わるだけでなく、その新たな経済力が世界の経済秩序をどう形成するかという問題に及ぶからだ。既に米国債に投資された中国の莫大な外貨準備高は、金融危機を招いた低金利の原因のーつとして指摘されている。
為替レートが意図的に低く抑えられている人民元は、アメリカやヨーロッパ、日本だけでなく、他の途上国の輸出にも打撃を与えている。貿易上の市場操作は、他の国々の自由貿易政策の支持基盤をむしぱむ。
今のところ中国は、人民元をドルに代わる国際基軸通貨にしようという欲望は抱いていない。彼らの野望はもっと壮大だ。他の国々の利益は二の次にして、自分たちの国益にかなう世界経済を構築することだ。
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猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/07 PM09
『中国と日本とアメリカ~巨額「へそくり」の使い道』(NEWSWEEK2010.0210)リンクより転載します。
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中国はー月半ぱ、09年末時点の外貨準備高が前年から4530億ドル増え、2兆4000億ドルに達したことを明らかにした。恐らく今年も同じ規模で増えるだろう。この莫大な外貨準備高は金融、経済、そして地政学の観点からみて極めて重要な意味を持つ。中国がため込んだ米ドルを突然「投げ売り」して価値を下落させ、国際基軸通貨の地位から引きずり降ろし、アメリカの経済力と権威を失墜させる恐れがあるからではない。
中国が保有する外貨準備のうち、3分の2あるいはそれ以上がドル建てとみられている。そのドルを投げ売りした場合は、中国自身にもつけが跳ね返ってくる。それは中国人やアメリカ人はもちろん、誰もが敗北することになる経済戦争を重言するのに等しい。
仮定の話として、何が起こり得るか考えてみよう。まず中国がドル建ての証券を売る。そこには8000億ドル相当と推定される米国債と、数十憶ドル相当のアメリカの株式と社債が含まれる。これらの証券類を処分してドルを手にしたら、それを為替市場で売ってユー口や円、その他の通貨に換える。
大規模なドルの放出は新たな世界経済危機を招きかねない。中国がドルを売つたことが知れ渡れぱ(当然そうなるが)、アメリカをはじめ他の国々の投資家もドル建ての証券を売り、ドルを他の通貨に換え始めるかもしれない。そうした動きがパニックにつながれぱ、各国市場は急落し、銀行や投資家の資本や財産は目滅りする。
”他国を犠牲に輸出促進”
今のところ止まっている景気後退が再ぴ悪化し、さらなる不況が訪れれぱ、中国型品の輸出先である外国市場も縮小する(09年は中国の輪出額が16%減少)。他の国々は自国の雇用を守るため、中国製品に対して輸入割り当てや関税を掛けるかもしれない。
こうした事態を招くようなことをなぜ中国はするのか?答えはーつ。中国はそんなことをしない。
莫大な外貨準備高が重要な意味を持つ理由はほかにある。第ーに、外貨準備高は中国の重商主義的な通商政策のスケールを示している。重商主義の国は、貿易相手国を犠牲にしてでも輸出を増やそうとする。中国の場合は人民元の為替レートを意図的に低く抑え、中国製品の競争力を高めることでこれを実行してきた。昨年の中国の貿易黒字は、世界的不況で目減りしたものの、膨大な額に達した。
中国が大量の米国債を保有しているので、「アメリカは中国の金を借りている」とよく言われる。だがこの捉え方は正確ではない。
中国は輸出で手にしたドルを米国債に投じる代わりに、輸入を増やすことも可能だ。あるいは人民元を切り上げてドルの流入を制限し、輪出する製品の価格を上げて輸入製品を安くすることもできる。
中国は05年に緩やかな人民元の対ドル切り上げを始めたが、08年7月には再ぴレートを固定。その後、莫大な貿易黒字が生まれたことによって、中国がアメリカや他の国々に対して金を「貸す」形になっただけだ。
中国の外貨準備高にはほかにも戦略的な目的がある。それは原材料(原油、食糧、鉱物資源)や重要な技術に投資したり、政治的影力を手に入れるために他国への費金援助や優遇借款に使うことだ。
実際、中国は2兆4000億ドルの「へそくり」を好きに使える。
皮肉なことに、中国は大量の米国債を持っていると非難されているが、この莫大な外貨準備高こそが輸出関運産業の雇用を創出したり、主要な輸出製品の不足を未然に防ぐ政策を後押ししている。
”基軸通貨より壮大な野望”
中国政府の狙いは、急速な経済成長を保つことで権力を増強することだ。中国が国内消費を増やして経済成長を促進しようとしているのは事案だが、それが実現するまでは輸出に頼らざるを得ない。
だが中国にとって良いことが、アメリカをはじめ他の国々にとっても良いとは限らない。単に経済力の集積する地域が変わるだけでなく、その新たな経済力が世界の経済秩序をどう形成するかという問題に及ぶからだ。既に米国債に投資された中国の莫大な外貨準備高は、金融危機を招いた低金利の原因のーつとして指摘されている。
為替レートが意図的に低く抑えられている人民元は、アメリカやヨーロッパ、日本だけでなく、他の途上国の輸出にも打撃を与えている。貿易上の市場操作は、他の国々の自由貿易政策の支持基盤をむしぱむ。
今のところ中国は、人民元をドルに代わる国際基軸通貨にしようという欲望は抱いていない。彼らの野望はもっと壮大だ。他の国々の利益は二の次にして、自分たちの国益にかなう世界経済を構築することだ。
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