232202 ついに国家を潰し始めた金融資本主義
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 10/05/25 PM09
『「政治とカネ」ばかりのこの国は大丈夫か』(日刊ゲンダイ2010年5月22日掲載)リンクより転載します。
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ヤバイ事態になってきた。世界同時株安が止まらない。21日の東京株式市場は、寄り付きから1万円割れの大幅下落。終値も9784円と3カ月ぶりに大台を割り込み、今年の最安値を更新した。
背景には欧米株の下落があるが、この日の東京や欧州市場の続落を受け、今度はNY株が一時、1万ドルを下回るなど、株安連鎖が世界中をグルグル駆けめぐっている。
そもそもの原因は言うまでもなく、ギリシャ危機に端を発した欧州の財政不安だ。EU諸国やIMF(国際通貨基金)は巨額の支援を約束したのに、パニックは収まるどころか拡大の一途。周辺諸国に次々と飛び火する恐れまで出ている。危惧されているのは国名の頭文字を取って「PIGS」とか「STUPID」と呼ばれている国々だ。
「とりわけ危ないのが、ポルトガルやスペインなど、ギリシャと同じ観光立国の南欧諸国です。これらの国では観光以外の有力な産業が育っていないため、経済基盤が脆弱で、巨額の財政赤字を抱えている。近年は世界不況や新型インフル騒動で観光収入が落ち込んだうえ、不況後の景気刺激策で赤字額がさらに膨らんでいた。そこに今回の危機が起こった。EU諸国の銀行は互いに国債を持ち合って運用しているため、万一、ギリシャ国債がデフォルト(債務不履行)にでもなれば大変です。ポルトガルやスペインの銀行は恐慌に陥るし、連鎖破綻もあり得るのです」(エコノミスト・門倉貴史氏)
ギリシャ国債を抱え込んだ銀行や隣国が危機に陥ると、その国の国債がたたき売られていくという恐怖の負の連鎖だ。
そこでEUのリーダーであるドイツはユーロ圏の国債や銀行株の空売り規制に走ったが、これがヘッジファンドの投機資金を欧州から締め出す結果になりかねないと、さらなる株安を招いている。どうにもならない状況だ。
●ついに国家を潰し始めた金融資本主義
今回の欧州金融危機が怖いのは、このように、被害が銀行だけにとどまらないことだ。金融機関が倒産したリーマン・ショックとの大きな違いはそこで、国家が潰れる危険性、破壊力を秘めている。おまけに時期が悪すぎて解決策が見つからない。
「リーマン・ショック後、各国は巨額の財政出動や金融緩和策を実施して、余力がない。これ以上の財政出動は不可能だし、すでにゼロ金利政策をしている国では、金利も下げられない。つまり、自力で景気回復し、赤字財政を好転に向かわせる手がないのです。頼みの中国も不動産バブルが膨らんで、暗雲がたちこめている。不動産価格は前年比12%もハネ上がり、政府は預金準備率引き上げや窓口指導で金融引き締めに入っています。世界中が八方ふさがりなのです」(門倉貴史氏=前出)
日本でも小泉内閣のころからもてはやされた金融グローバル化。どこの国も額に汗して働くより、金融資本主義に走った。地球規模でカネ回りがいい時は、国力以上に景気が過熱するが、そんなウソのバブルは続かない。ワケの分からない金融商品がパンクしただけで、地球規模で損害を被る。それがリーマン・ショックの金融危機だったが、今度はギリシャ国債の暴落をきっかけに、カネ詰まりが起こり、あっちこっちで国家の破綻が始まっている。安直な金融投機で国家を運営しようとした資本主義国への天罰かも知れない。100年に一度の危機は、収まったどころか、深く進行していたのだ。
●巻き込まれた日本経済、株暴落と円高は続く
こうなると、今後の世界経済は七転八倒し、どんなパニックになってもおかしくない。
日本経済もさらに激しく揺さぶられる。株価急落が9700円台で踏みとどまるなんて思っていたら、とんでもない。9000円割れは時間の問題。市場には「7000円台まで暴落」の悲観的見方も出ている。
7000円台といったら、2年前のリーマン・ショック直撃時と一緒で、恐慌状態だ。日本の大手銀行6行は、平均株価が9000円台前半で含み益は赤字に転じる。7000円台になったら、また銀行の収益に大きな穴が開く。すでに経営難の銀行や地銀クラスは目も当てられなくなる。
金融不安と貸し渋り・貸しはがしが広がり、景気は一気に後退してしまう。
~中略~
企業業績も景気も悪化すれば、下請けイジメや社員の給料カット、リストラだ。
ギリシャ危機は回り回って、シワ寄せはわれわれサラリーマンの暮らしにくるのだから、まったく、たまったものじゃない。
~後略~
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猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 10/05/25 PM09
『「政治とカネ」ばかりのこの国は大丈夫か』(日刊ゲンダイ2010年5月22日掲載)リンクより転載します。
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ヤバイ事態になってきた。世界同時株安が止まらない。21日の東京株式市場は、寄り付きから1万円割れの大幅下落。終値も9784円と3カ月ぶりに大台を割り込み、今年の最安値を更新した。
背景には欧米株の下落があるが、この日の東京や欧州市場の続落を受け、今度はNY株が一時、1万ドルを下回るなど、株安連鎖が世界中をグルグル駆けめぐっている。
そもそもの原因は言うまでもなく、ギリシャ危機に端を発した欧州の財政不安だ。EU諸国やIMF(国際通貨基金)は巨額の支援を約束したのに、パニックは収まるどころか拡大の一途。周辺諸国に次々と飛び火する恐れまで出ている。危惧されているのは国名の頭文字を取って「PIGS」とか「STUPID」と呼ばれている国々だ。
「とりわけ危ないのが、ポルトガルやスペインなど、ギリシャと同じ観光立国の南欧諸国です。これらの国では観光以外の有力な産業が育っていないため、経済基盤が脆弱で、巨額の財政赤字を抱えている。近年は世界不況や新型インフル騒動で観光収入が落ち込んだうえ、不況後の景気刺激策で赤字額がさらに膨らんでいた。そこに今回の危機が起こった。EU諸国の銀行は互いに国債を持ち合って運用しているため、万一、ギリシャ国債がデフォルト(債務不履行)にでもなれば大変です。ポルトガルやスペインの銀行は恐慌に陥るし、連鎖破綻もあり得るのです」(エコノミスト・門倉貴史氏)
ギリシャ国債を抱え込んだ銀行や隣国が危機に陥ると、その国の国債がたたき売られていくという恐怖の負の連鎖だ。
そこでEUのリーダーであるドイツはユーロ圏の国債や銀行株の空売り規制に走ったが、これがヘッジファンドの投機資金を欧州から締め出す結果になりかねないと、さらなる株安を招いている。どうにもならない状況だ。
●ついに国家を潰し始めた金融資本主義
今回の欧州金融危機が怖いのは、このように、被害が銀行だけにとどまらないことだ。金融機関が倒産したリーマン・ショックとの大きな違いはそこで、国家が潰れる危険性、破壊力を秘めている。おまけに時期が悪すぎて解決策が見つからない。
「リーマン・ショック後、各国は巨額の財政出動や金融緩和策を実施して、余力がない。これ以上の財政出動は不可能だし、すでにゼロ金利政策をしている国では、金利も下げられない。つまり、自力で景気回復し、赤字財政を好転に向かわせる手がないのです。頼みの中国も不動産バブルが膨らんで、暗雲がたちこめている。不動産価格は前年比12%もハネ上がり、政府は預金準備率引き上げや窓口指導で金融引き締めに入っています。世界中が八方ふさがりなのです」(門倉貴史氏=前出)
日本でも小泉内閣のころからもてはやされた金融グローバル化。どこの国も額に汗して働くより、金融資本主義に走った。地球規模でカネ回りがいい時は、国力以上に景気が過熱するが、そんなウソのバブルは続かない。ワケの分からない金融商品がパンクしただけで、地球規模で損害を被る。それがリーマン・ショックの金融危機だったが、今度はギリシャ国債の暴落をきっかけに、カネ詰まりが起こり、あっちこっちで国家の破綻が始まっている。安直な金融投機で国家を運営しようとした資本主義国への天罰かも知れない。100年に一度の危機は、収まったどころか、深く進行していたのだ。
●巻き込まれた日本経済、株暴落と円高は続く
こうなると、今後の世界経済は七転八倒し、どんなパニックになってもおかしくない。
日本経済もさらに激しく揺さぶられる。株価急落が9700円台で踏みとどまるなんて思っていたら、とんでもない。9000円割れは時間の問題。市場には「7000円台まで暴落」の悲観的見方も出ている。
7000円台といったら、2年前のリーマン・ショック直撃時と一緒で、恐慌状態だ。日本の大手銀行6行は、平均株価が9000円台前半で含み益は赤字に転じる。7000円台になったら、また銀行の収益に大きな穴が開く。すでに経営難の銀行や地銀クラスは目も当てられなくなる。
金融不安と貸し渋り・貸しはがしが広がり、景気は一気に後退してしまう。
~中略~
企業業績も景気も悪化すれば、下請けイジメや社員の給料カット、リストラだ。
ギリシャ危機は回り回って、シワ寄せはわれわれサラリーマンの暮らしにくるのだから、まったく、たまったものじゃない。
~後略~
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