神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

京都・南禅院(南禅寺別院)。

2008年12月14日 | ◇京都府 -洛東


南禅寺 南禅院

(なんぜんいん)
京都市左京区南禅寺福地町86

南禅寺別院



琵琶湖疏水が流れる水路閣の南に建つ南禅院。


〔宗派〕
臨済宗 南禅寺派



 東山山麓に抱かれた南禅寺の三門の南に、豊かな木々に囲まれたレンガ造りのアーチがあります。このアーチは、「哲学の道」沿いを流れる琵琶湖疎水を通す「水路閣」と呼ばれる建造物で、今でも豊かな疎水の水流がこの上の部分を駆け抜けています。モダンな造りの水路閣はすっかり周囲の植栽に溶け込み、「相棒」などをはじめ、ドラマの撮影などでもよく使われる名所となっています。その水路閣の奥にある石段を登ると、「京都三名勝庭園」のひとつにも賞される美しい庭園を持つ、南禅寺の別院・南禅院が旅人たちを待っています。



 
桂昌院の支援によって再建された方丈の全景(左)と西側の縁側からの眺め(右)。

 
方丈の西側に広がる風景。美しい苔庭(左)の向こうに池泉が見える(右)。



 南禅寺が建立される以前、この地には後嵯峨天皇が開き、息子・亀山天皇が愛した離宮「禅林寺殿」が建っていました。1264(文永元)年に造営された禅林寺殿は「上の宮」と「下の宮」とに分かれていましたが、亀山天皇はその「上の宮」に1287(弘安10)年に持仏堂を建立、1289(正応2)年には「上の宮」で落飾(出家)して法皇となり、この離宮も「南禅院」と呼ばれるようになりました。「南禅寺」という寺名はこの名をもとに付けられたため、南禅院は「南禅寺発祥の地」といわれています。



 
方丈の南の縁側からの紅葉(左)と、その先に広がる曹源池(右)。



 南禅院は、1393(明徳4)年と1447(久安4)年に南禅寺一帯を襲った火災や、1467(応仁元)年の応仁の乱の兵火などで焼かれて衰退していましたが、江戸幕府第5代将軍・徳川綱吉公の生母・桂昌院の支援を受けて1703(元禄16)年に再興されました。

 もともと京都堀川通西藪町の八百屋の娘として生まれたといわれる桂昌院は、幼い頃に仁和寺の僧侶から「将軍家の御生母様になる相がある」といわれ、そのお告げ通り、母が再婚した先での繋がりから江戸城に使える女中となり、その美貌から春日局に見出され、3代将軍徳川家光公に寵愛されて懐妊し、お告げ通り将軍家の生母となった日本版シンデレラストーリーの主役となった女性です。



  
池泉の横には亀山法皇分骨廟(左)と一山国師塔(右)が並ぶように建てられています。


 「玉の輿」という言葉は、「お玉」という幼名だった桂昌院のサクセスストーリーから生まれたという説もあるように、人々が羨む望外の幸せを手に入れた彼女は、この幸せは、ひとえに神仏の御加護によるものであると仏門に傾倒。さらに、徳川綱吉公になかなか跡継ぎの子が出来なかったこともあり、その祈願の意味もあって京都などの寺院の再興などに心血を注いだといわれています。南禅院の再興もそんな桂昌院の思いによって行われ、当時再建された総檜造りの方丈などは、今もその美しい姿を後世に伝えてくれています。



 
庭園の奥を流れる曹源泉(左)と、曹源池越しに眺める方丈(右)。



 南禅院は美しい庭園を持つことでも有名です。亀山法皇自らが心血を注いで作庭し、夢窓疎石国師が手を加えて完成させたともいわれている池泉回遊式庭園は、吉野山の桜、難波の葦、龍田の楓などを移植したといわれ、四季折々に様々な彩りを見せてくれる豊かな植栽に包まれた名園で、洛西にある西芳寺(苔寺)天龍寺と並んで「京都三名勝庭園」のひとつとして賞されています。青々と茂る新緑の季節でも、紅色や黄に色付いた楓に染められた錦秋の季節に訪れても、その時々でさまざまな美しい表情を見せてくれる南禅院の庭園は、時代を重ねた今でも多くの人々に愛され続けています。



 
水路閣を彩る楓(左)と、その上に今も流れる琵琶湖疏水の清流(右)。



アクセス
・京都市営地下鉄東西線「蹴上駅」下車、北へ徒歩10分
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拝観料
・300円

拝観時間
・8時30分~17時 (12月~2月は16時30分まで)  ※12月28日から31日までは閉園

公式サイト
  ※サイト内「拝観のご案内」→「南禅院」









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1 コメント

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少し離れますが (リン)
2013-02-02 11:54:57
こんにちは。歩けば、古き無リン庵と瓢亭にて一服。
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