神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

京都・京都霊山護国神社。

2010年11月28日 | ◇京都府 -洛東
国家安泰・所願成就


京都霊山護国神社

(きょうとりょうぜんごこくじんじゃ)
京都市東山区清閑寺霊山町1


通 称
京都神社
(きょうとじんじゃ)



京都霊山護国神社へと向かう参道「維新の道」。美しい東山の紅葉に包まれています。


〔御祭神〕
護国の英霊約7万3千柱




 1639(寛永16)年にポルトガル船の入港を禁止して以来200年間以上もの間、「鎖国」と呼ばれる対外政策を推し進めてきた徳川幕府の治世は、尊王攘夷運動や薩摩藩・長州藩・土佐藩を中心とした雄藩による討幕運動の末に、統治権を朝廷に返上するという「大政奉還」によって終焉のときを迎えました。まさに「新しい日本の夜明け」となった明治維新を成し遂げるために各地で奮戦し、命を落としていった志士たちは数知れません。それら勤皇の志士たちの英霊を慰めるために建立されたのが、京都霊山護国神社。東山の美しい山並みに包まれた、清涼の気に満ちた神社です。





長い坂を登った先にある京都霊山護国神社(左)。この高台に龍馬たちが眠る墓所があります(右)。



 京都霊山護国神社は、明治維新を目にすることなく幕末の動乱の中に命を散らした尊王の志士たちを慰霊すべしという明治天皇からの詔が1868(慶応4)年6月29日(旧暦では5月10日)に出された事をきっかけに、これに感動した公家や山口・高知・福岡・熊本・鳥取・久留米の諸藩が協力して東山の霊山山頂にそれぞれの藩の志士たちを弔う祠を建てたのが始まりで、創建当初は「霊山官祭招魂社」と名付けられました。

 創建時に祀られた志士たちは、土佐藩の坂本龍馬中岡慎太郎などをはじめとして、尊皇攘夷の先駆けとして兵を挙げた天誅組中山忠光卿や吉村寅太郎、長州藩の志士・久坂玄瑞高杉晋作桂小五郎(木戸孝允)、熊本藩の宮部鼎蔵など549柱。それ以降も合祀される御祭神は増やされ、1908(明治41)年時点では1,356柱が合祀。さらには日清戦争・日露戦争・満州事変や日中戦争、そして先の大戦で戦死した人々も合祀されるなど、現在は約73,000柱以上の英霊が祀られています。





京都霊山護国神社の社殿。中には、大河ドラマ「龍馬伝」の告知ポスターが飾られています。
【拝殿内】


龍馬のイラストが描かれたのぼり(左)。その脇には「昭和の杜」があります。



 京都霊山護国神社は皇室の厚い崇敬を受け、たびたび御下賜金などの支援を賜ってきました。1877(明治10)年に銅碑を建立した際には、勅命によって有栖川宮幟仁親王が揮毫された題篆が下賜され、1929(昭和4)年には斉殿と拝殿が建立されました。また、1936(昭和11年)には、ペリー来航を受けて尊皇攘夷運動が激化した1853(嘉永6)年以降に国難に殉じた京都府出身者の英霊を合祀しようという機運が高まり、1,500坪の広さに境内が拡張され、本殿や祝詞舎、拝殿や神饌所など12棟の建物が新築されて、現在の威容が整う事となりました。そして、1939(昭和14)年には内務大臣の指定によって「京都霊山護国神社」と改称される事になりました。





坂本龍馬と中岡慎太郎の墓所には多くの人々がつめかけていました。



 明治維新の実現に大きく貢献した坂本龍馬は、それを疎む何者か(京都見廻組説、新撰組説、薩摩藩説、紀州藩説などがあります)の手によって京都の近江屋で暗殺され、志半ばで31歳の生涯を終えました。1867(慶応3)年の事でした。坂本龍馬が眠る京都霊山護国神社では、その命日にあたる11月15日の午後3時から「龍馬祭」を執り行い、遺徳を偲んでいます。境内では、坂本龍馬中岡慎太郎が最後に食べようとして叶わなかった軍鶏鍋が振る舞われています。ちなみに、ここに建てられている坂本龍馬の墓碑文は、桂小五郎(木戸孝允)の手によるものです。





墓所の横にある坂本龍馬と中岡慎太郎の銅像(左)。その奥には志士たちの墓碑が並びます(右)。
【志士たちの墓碑配置図】

墓碑が並ぶ一角に立つ長州藩の高杉晋作らの墓碑(左)。右は、墓所から見た美しい京都の景色。



アクセス
・JR「京都駅」、京阪本線「祇園四条駅」、阪急電鉄京都線「河原町駅」より祇園方面の京都市バスにて「東山安井」バス停下車、東へ徒歩10分
京都霊山護国神社地図  Copyright (C) 2000-2010 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・境内無料 
 ※坂本龍馬をはじめとする志士たちの墓所に入山するには拝観料が必要 (大人・高校生:300円、小中学生:200円)

拝観時間
・8時~17時 (墓所への入山は9時から)

公式サイト


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槇野 修
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