神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

西宮・甲子園素盞鳴神社。

2006年08月01日 | □兵庫県 -阪神
縁結び・開運厄除・子孫繁栄・商売繁盛・文武成就

甲子園素盞鳴神社

(こうしえんすさのおじんじゃ)
兵庫県西宮市甲子園町2-40




甲子園球場をスタンド沿いに歩いてくると、この神社にたどり着きます。


〔御祭神〕
素盞鳴尊
(すさのおのみこと)



 高校野球のメッカであり、すっかり強豪チームに成長した阪神タイガースの本拠地・阪神甲子園球場。「西宮市」といわれてピンとこない方も全国にはたくさんいらっしゃいますが、「甲子園球場があるところなんです」というとわかってもらえたりするんですよね。そんな甲子園球場のライトスタンドの向こう側に静かにたたずむ神社が甲子園素盞鳴神社です。




試合前には、タイガースの勝利を祈願する熱心なファンの姿も。



 「タイガース神社」などと呼ばれたりして、甲子園球場で公式戦がある前には熱心なタイガースファンも訪れる素盞鳴神社。野球ボールの形に見立てたお守りや絵馬などが置かれ、境内には岡田彰布監督揮毫の「野球塚」もあるなど、すっかりスポーツの神さまのような感があります。しかし、ここは300年以上の歴史を持ち、昔から牛頭天王社として村人の厚い崇敬を集めた荘厳な神社だったのです。




岡田監督揮毫の「野球塚」。このまわりには絵馬がいっぱい。



 西宮市の東を流れる武庫川。この川は長い間に六甲山系を削り取った土砂が河底に堆積した「天井川」と呼ばれる河川で、大雨のたびに氾濫を起こして周辺の住民を苦しめてきました。1557(弘治3)年には堤防を破った水流が西南の方角へ流れ、そのまま枝川を形成。1740(元文5)年の水害の際には枝川の堤防を破った流れがそのまま申川(さるかわ)となります。

 この分岐点が、今の阪神電車甲子園駅の南側辺りといわれています。その枝川申川の三角州の中心地に祀られていたのが素盞鳴神社で、1688(元禄元)年の再建記録などに記述が見られるように、江戸時代の早い時期にはすでにこの地にお社が存在していたようです。




狛犬の足元には蹴鞠が。野球だけでなくサッカーにもご利益が?!



 素盞鳴尊といえば、八岐大蛇を退治した話が有名ですが、この神話に出てくる八岐大蛇のモデルは出雲を流れる河川だったといわれています。船通山を基点に8つの流れに分かれて出雲平野に流れ込む斐伊川江の川伯太川などは、しばしば氾濫して人々を苦しめたことから、頭が8つある大蛇(ヤマタノオロチ)に見立てられたいう説があります。

 ここ鳴尾村の人々も、度々大きな水害を引き起こす武庫川や、その水害によって生まれた枝川申川の流れをどうにか制したいという思いから、両川の三角州にあたるこの地に素盞鳴尊を祀ったのだと思われます。今は阪神タイガースの勝利を祈る人々で賑わう素盞鳴神社も、昔は水害という大きな敵と戦う人々の思いで満ち溢れた神社だったんでしょうね。




歩道のポールも硬球のカタチをしています。さすが野球の町!



アクセス
・阪神電車「甲子園駅」下車、南へ徒歩3分
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拝観料
・無料

拝観時間
・常時開放


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