神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

神戸・湊川神社 茅の輪神事。

2006年07月02日 | ■神戸市中央区
国家安泰・開運招福・厄除け・家内安全・交通安全

湊川神社・茅の輪神事

(みなとがわじんじゃ ちのわしんじ)
神戸市中央区多聞通3-1-1



参道の中央、「神さまが通る道」の上に茅の輪が設けられています。


〔御祭神〕
楠木正成公
(くすのきまさしげ)



 神社にはいろいろなお祭りがあります。元旦の歳旦祭から月々の月次祭、春の御田植祭や秋の新嘗祭など様々なお祭りがあり、それぞれ無病息災や五穀豊穣などを神さまに祈願するという意味合いのものが多いようです。

 そんなお祭りのひとつ、6月に行われるのが夏越大祭です。神道では、特に「穢れ(けがれ)」というものを嫌います。神社にお参りするときに、まず手水舎で手や口を清めるのも、穢れを落としてから神さまの前に進む、といった発想から行われるものです。本来は川や海などに入り、そこで全身を清める「(みそぎ)」を行うのですが、なかなか参拝するたびにそこまでは出来ませんので、その代わりにお清めとして手水舎を置いてその代用としています。





※何度も水を汲むのはNG。最初に汲んだ水で一連の所作を完結させてください。
※柄杓から直に水を口に含むのは、柄杓に穢れを残すという意味でNGです。






手水舎。「ちょうずしゃ」 とも 「てみずしゃ」 とも言います。



 日常生活で知らず知らずのうちに溜まった穢れを祓い、それから先の半年の災厄を除き幸せを祈るために行われるのが、年に2回(6月と12月)行われる「大祓(おおはらえ)」で、7世紀ごろから宮中で行われるようになった行事です。民間では6月の大祓をとくに「夏越の祓(なごしのはらえ)」と呼んで盛大に行うようになったそうです。昔はこの時期に疫病が流行ることが多く、病の流行は為政者の徳の欠如や自らの信心の欠如といった部分に原因を求める傾向があったため、こういう神事を行うことで疫病の流行を防ごうとしたのでしょう。




境内も夏色の緑で一杯です。



 夏越大祓では「茅の輪(ちのわ)」をくぐる事で身を清め、疾病から身を守る「茅の輪神事」も一緒に行われることが多いようです。茅の輪の由来としては、素盞鳴尊が諸国を巡り「世に疫病あらば、茅の輪を以て腰上に着けしめよ、着けしめば、即ち家なるものまさに免れむ」と仰せられたという伝説によるもの、「蘇民将来」の故事によるものなど諸説あります。

 蘇民将来の故事とは中国の古い言い伝えです。山中で道に迷った1人の旅人がいました。さまよううちに1軒の豪邸を見つけた旅人は、ホッとして門を叩き、一夜の宿と食事を求めましたが、ここの主人はケチで有名な荷担将来という男で、話もそうそうに旅人を追い払ってしまいます。落胆した旅人がさらに山道をとぼとぼ歩いていたところ、ボロボロのあばら家を見つけます。ここの主人はとても貧しい蘇民将来という男でしたが、心根が優しく、自分が食べるつもりだった食事を分け与え、なんとか寝床を作って旅人を泊めてやりました。

 その優しさに感動した旅人は、茅の茎で作った輪をお礼に渡して帰ります。実はこの旅人は疫病神で、置いていった「茅の輪」はあらゆる疫病から守ってくれるものだったそうです。疫病神を丁重にもてなした蘇民将来は病気にかかることなく、貧しくも幸せな一生を送りますが、疫病神を邪険に追い払った富豪(蘇民将来の兄)はまもなく疫病にかかって死んでしまったということです。 その故事にちなみ、茅の輪をくぐることで疫病から身を守ろうというのが「茅の輪神事」のルーツだといわれています。






アクセス
・神戸高速鉄道「高速神戸駅」下車すぐ
・JR「神戸駅」下車、北へ徒歩5分
・神戸市営地下鉄「大倉山駅」下車、南へ徒歩3分

拝観料
・無料

拝観時間
・日の出から日没まで

公式サイト



神戸の神社
兵庫県神社庁神戸市支部
神戸新聞出版センター

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