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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

一歩立ち止まる。

2012-02-21 06:36:58 | Q&A その他
次のようなやり取りがありましたので、
記事にしてみたいと思いました。


質問です (今年初受験)
2012-02-20 22:16:59
④相当性(利害均衡)を目的審査におとしこむ、とありますが、
④は、手段審査で用いるべきものではないのでしょうか?
なぜなら、相当性を越える規制というのは、目的を達成するための「手段」が行き過ぎていると考えられるからです。
ご回答の方、よろしくお願いいたしますm(_ _)m



このような今年初受験さんのご質問には、
急所の第一章読んでね、と回答しようと思っていたところ、
名無しさんから、次のようなご指摘を頂きました。



Unknown (名無し)
2012-02-20 22:48:36
>>今年初受験さん
初めまして。
横からで申し訳ありませんが、先生の「急所」はお読みになられたのでしょうか?

急所15頁以下を見ればその点についての先生のお考えは書いてあると思うのですが。。。

もし、読んだ上での質問ということでしたら申し訳ありません。

ただ、先生がご好意で回答をしてくださっている以上、せめて急所はチェックしたうえで質問するのが礼儀だと思います。




>>木村先生

余計なおせっかいということでしたら、このコメント自体削除していただいて構いません。

ただ、質問が増えるにつれて、急所や過去の記事を見ればすぐわかる質問等も増えてきているので、読む側としても見にくいですし、何よりも先生のご負担が心配です(余計なおせっかいですが苦笑)。

質問のルール等を決めれば(判例・急所・過去記事は必ずチェックする、質問と言えないような単なる私見の吐き出し等回答が困難な質問は避ける等)、質問者・閲覧者・先生の皆にとってより有意義になる気が致しますので、よろしければ質問のルールをもう少し明確に定立することもご検討していただけたらと思います。

春は入試準備等でお忙しいと思いますが、どうかご自愛ください。

今後も記事を楽しみにしております。



どうもありがとうございます。

確かに、最近、ちょっとしんどい、と思うこともありましたので、
ちょっと交通整理をば。

過去の記事をあさるのは、
最近、自分自身でも大変になってきているので、
Q&A目次を見ても分からなかった、
と言う場合は、遠慮なく聞いてください。

過去にこんな記事があります、
とリンクはるのはそんなに大変な作業ではありません。

そうそう、過去記事検索の方法としては、
グーグル様などを利用し、
「木村草太 違憲審査基準」
「力戦憲法 第三者の主張適格」
などとやると、過去の記事を効率的に探せますので、
ご活用ください。


あと、『急所』の記述は、
読んだ上でご質問いただければと思います。

持っていないよう、という方は、
LSのお友達に聞いて見て下さい。


ええと、今年初受験様には、少し失礼な記事になってしまったかもしれませんが、
ご質問を不愉快に感じたということではなく、
ちょっと調べてから質問していただけると、
コメントを読んでいる人にも参考になるので、
よろしくお願いいたします、ということです。はい。


ふーむ。しかし、そろそろブログを整理して、
一冊の本にまとめる時期がきているかもしれないなあ。
こんな風にまとめてほしい、
この記事はぜひ入れてほしい、
こんなテーマを加筆してほしい、等のご意見・ご要望がありましたら、お知らせください。

中盤戦の戦い方(5・完)

2012-02-20 06:50:26 | 憲法学 憲法判断の方法
さて、中盤戦の戦い方ということで連載をしてきましたが、
いわゆる防御権制約の具体的事案の分析というのは、
例の四要素に関する分析です。


原告・弁護側(違憲を主張する側)は、
その事案の中から、

①目的の正当性
②関連性(目的達成に役立っていること)
③必要性(LRAがないこと)
④相当性(利益均衡)

を否定する要素を抽出し主張します。
(法文違憲審査の場合は、典型的適用例に含まれる要素、
 処分審査の場合は、その事案の特有の要素でないといけない)

他方、被告・国側は、
その事案から、①から④を肯定する要素を抽出していきます。


また、目的が複数構成できる場合、
例えば、猿払事件なんかは、
「行政の中立性それ自体」の保護という目的と
「それに対する信頼」の保護と言う二つの目的を構成できました。


で、①から④を分節して考えた方が、
クリアな思考ができるので、
私としては、そのまま書くかどうかはともかく、
実際の問題で、制約が認定できたら、
この四要素を表にして分析してみることをお勧めします。

その上で、目的手段審査の基準を使うなら、
①と④を目的審査に、
②と③を手段審査におとしこんで書いてやれば、
おお外しはしないはずです。


・・・。
もし、
「そうはいっても、事案から①から④の要素を
 抽出できないよ・・・。」
こう思われた方がいたら、これはもう練習あるのみです。

お手元の問題集、判例集の事案を読み
ひたすら、①から④の要素抽出の練習をしましょう。


・・・。
また、例の採点実感先生の言うことがどうしても怖い!
ということでしたら、いっそうのこと、目的手段審査の枠組みを放棄して、
制約認定後に普通目的手段審査の枠組みを立てる箇所
(急所で言うと2-4工程か)で、

「このような権利(防御権)の制約が正当化できるか否かは、
 ①正当な目的を構成できるか、
 ②規制がその目的と関連性があるといえるか、
 ③規制について必要性があるといえるか、
 ④目的が、失われる利益よりも重要と評価できるか、
 の四点で検討すべきである。」

という基準を立てて、
目的手段審査の枠組みをとらずに議論してしまいましょう。
(原告のとこだけでなく、私見を述べるところでも
 この基準で判断してもよいのです。)

このような枠組みは、それはそれで不安だ、というご意見もおありでしょうが、
そんな時は、猿払事件上告審判決の立てている
制約正当化の可否を判断する基準を見て見て下さい。

ほとんど、この通りですから・・・。


・・・。
というわけで、これが中盤戦の戦い方ですね。
お付き合いいただきありがとうございました。


そうそう。積み残された課題ですが、
公務員の政治活動の禁止を正当化しようとすると、
結局、

「政治活動するような奴らは、
 業務にも政治信条をもちこんで、
 不当な業務、反対する政治信条を持つ人への
 嫌がらせ的業務をするに違いない」
 という意識を持った国民に迎合すること
 (そういう国民の信頼の確保)

という目的を立てざるを得ません。

実は、法学男子さん、いまどき喫煙者さんが
おっしゃっていたことですが、
「俺のクラスに、そんな国民なんかいない!」
という熱血タケオカ先生的に断言するのは
結構難しいことなのです。

とはいえ、私のいつもの戦法で恐縮なのですが、
そもそも、今見た目的って、正当なのでしょうか?

ちょっと考えて見て下さい。

ではでは
「結局、何のための公務員の政治活動の禁止か?」
の記事で会いましょう。

木村ゼミ終わる。

2012-02-19 15:45:16 | ちょっと一言
先日、学部ゼミの最終回がありました。

私のゼミでは、チームを作っての事例演習をやっており、
最終回は、学期末に、ゲストやOB・OGの方々を呼んで各チームの答案検討をやっています。

今年の課題は、君が代不起立訴訟最高裁判決
(平成23年6月21日判決)について
「意見」または「反対意見」を書きましょうというものでした。

OB・OGが審査員となって、
各チームに質疑をしてもらいます。


今回のゼミでは、
前半で、対象判例の読み込み、分析。
後半で、各チームの答案検討、という流れ。

今年感じたのは、
OB・OGの方々(多くはLS生)の質問のレベルが高い。
学部セミ中は、半ばお笑い担当の扱いをうけていた先輩も、
法科大学院での勉強の成果か、
要件効果をしっかりおさえる、
根拠条文に意識がいく、
先例との関係を説明させようとする、等など
すごくしっかり質問をしている・・・。

法科大学院の教育って、非常に有益なのではないか、
ということが感じられた会でした。


また、OB/OGの先輩方は、
いろいろな大学の法科大学院に進学しているので、
各法科大学院の校風のようなものが感じられて面白かったです。

ある都内LSの先輩の発言
「一に条文、二に判例。三四がなくて、五もなく、
 最後に学説。」が印象的でした。

その他、
「要件・効果はだいじでしょう。」
「うちのLSは行政法の先生の圧力が強く、
 どんな事案でも根拠法が気になります。」
「うちは、根拠条文というより、
 その背景の哲学、原理が。」
「うちの先生は、やさしいので、
 そんないじわるなことは聞きません。」
と大変興味深いです。

さて、因みに
首都大LSに持ち上がり的に進学して、
私が教えた連中の感じの悪いこと感じの悪いこと。
「根拠条文は?」
「こういう要件立てる根拠は?」
「この点について主張立証責任を被告に配分する理由は?」


・・・。
まあ、各自、成長していっているようで、
また、各法科大学院特色ある有意義な教育をしているようで、
新制度のプラスの側面に触れられた会になりました。

今年一年、ゼミに参加してくれた方々、
OB・OGの皆様、どうもありがとうございました。

また、やろう(オフロスキー風)。

A級順位戦の一番長い日

2012-02-17 20:07:17 | 将棋
将棋ファンは2月になりますと、
毎年、「今年の解説は誰か?」が大変気になります。

棋士の方々は、「順位戦」と呼ばれるリーグに参加して
名人挑戦権をかけて戦っているわけですが、
そのリーグ戦の一番上のクラス、
毎年、三月頭のA級順位戦の最終局がテレビ放映されるわけです。

これは対戦カードが、上位10名の棋士総当たりということで
大変豪華で、それだけでも面白い番組なのですが、
その解説をする棋士が誰なのか、
という点に注目が集まる訳です。

当然のことながら、上位十名のA級棋士は
対戦中なので、その下のクラスから解説者が出るわけです。

なので、この先生の解説を聴きたい!という先生が
A級から陥落すると、
これは、その先生の陥落が非常に残念に思われる一方、
「来年は、この先生の解説でA級順位戦最終局を
 見ることができるかも」と期待も生じるという
複雑な気分です。

おそらく、佐藤康光九段陥落の際には、
多くの佐藤ファンが、このような複雑な気持ちになったでしょうし、
渡辺竜王A級昇格の際には、
ああ、これでもう渡辺・山崎の名解説が聞けないと、
やはり複雑な気持ちになったはずです。

さて、そんな中、昨年、A級から
永世解説名人の称号を持つ木村一基八段が陥落しました。

私は、やはり昨年から期待していたのですが、
NHKBSはさすがに分かっています。
解説は木村八段。
そして、ゲストに森内名人
(名人は順位戦の優勝者の挑戦を受ける地位なので
 順位戦には参加しない)。

イヤ素晴らしい。
というわけで、将棋ファンのみなさんも
将棋というものが良く分からないみなさんも
3月2日のBSプレミアムに注目です!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・但し、今年は
羽生先生の空気を読まない大バクシンの結果、
八連勝で、挑戦者が決定してしまっています。

アニメキャラの行列に並んでみる

2012-02-16 16:53:17 | お知らせ
先日、QB被害者対策弁護団の方から、ご著書をご恵送いただいた。

ronner『アニメキャラが行列を作る法律相談所』総合科学出版

まことにありがとうございました。

お返事がおくれてしまい恐縮でありますが、書評を記事にしてみたいと思います。


以下の記事を読まれる方に、ぜひお願いがある。

みなさんは、畑健二郎・漫☆画太郎両先生をご存じだろうか?

もしご存じないという方は、ここから先を読む前に、
両先生の画風をチェックしていただきたい。


さて、気になる本書の内容であるが、
アニメ、コミック、ライトノベルなどの場面で問題となる法的問題を分析しながら、
法学入門をするという、大変興味深いものである。

私は、コミケに作品を出品していた友人が何人かいたこともあり
また、数々のライトノベルの著作もある山本弘先生を
『急所』に引用していることもあって、
ronnerさんが「こっちの世界」と呼ぶ世界(同書164ページ)にも
それなりの知識を持っていたつもりであったが、
残念ながら、その自信は打ち砕かれた。

……分析されているアニメやコミックのほとんどの内容を知らない。
わずかに知っていたのは、三作品。
いずれも『憲法の急所』と縁のある作品である。


一点目は、おそらく国民的作品といって良い『名探偵コナン』。
ちなみに、昨年末、
東大生協書籍部で『憲法の急所』が1位になっていたとき(9月)
慶大生協書籍部では、コナン最新刊が1位であった!
というニュースがネットや週刊文春で話題になっていた。
不思議な縁というものである。


二点目は、憲法入門として利用されていた『涼宮ハルヒ』シリーズで、
実は、『憲法の急所』第4問妄想族追放条例事件のもとになった
「あるライトノベルの舞台となった高校にファンが無断で立ち入り
 落書きをしたという事件」の「あるライトノベル」こそ、
涼宮ハルヒシリーズである。
ふむ。不思議な縁というものだ。


最後に、ジブリの映画にもなったコクリコ坂。
急所第五問で、X社がペットボトルを輸出しようとした港は
コクリコ坂の舞台、横浜港である。
ここまで来ると、縁というより、こじつけであろう。



さて、私事はこの辺にして、書評である。

法学に限らず、専門的・学問的な知識を
アニメやドラマなどを素材にして説明する作品は多い。
最近では、ガンダムの名セリフの対訳で、英会話を学ぶ著書まであるのだ。

しかし、この種の作品のバランスは難しい。

たとえば、ガンダムの名セリフを日常生活やビジネスの場面でしゃべることは、ほとんどない。

アメリカに入国するときに、入国目的を尋ねられ
「黙れ俗物!(Shut up! Snob!)」と言ったりするだろうか?
あるいは、留学先の友人と会話するときに、骨董品を指ではじきながら
「いい音色だろ・・・。(Hmm,good sound.)」と言うだろうか?
(ハマーンとマ・クベを引用するあたりから、
 思想的偏向がバレそうで気になるところである)

本気でやると、英会話の入門書にはならないのである。

さりとて、ガンダムの場面から、
本当に日常生活やビジネスの場面でしゃべるような会話を拾っていくと、
(そういう会話を拾うことが極めて困難なのが、
 ガンダム制作陣のすごさであるが・・・。)
今度はただの英会話集になってしまう。

検討対象のアニメ・コミック等の場面設定の異常さを、
どのように法学入門の枠におしこめるか。
このあたりのバランスが、本書はすばらしいのである。


まず、作品紹介部が素晴らしい。
無駄のない文章で、未読未視聴の作品でも、内容が把握できるようになっており、
対象となっている作品の魅力をよく伝えている。
ちなみに、私は、この書を読んで、魔法少女まどか☆マギカを見てみたくなった。

また、法学入門において必要なのは、
あえて細かい知識に立ち入りつつ、
基本科目の骨太の体系につなげる語り口、
そして、法学における頭の使い方・精神の在り方の解説である。

本書は、この点でも適切である。
語られているのは民刑憲の基本科目だが、
知識はけっこう細かいうえに、
法的知識の解説としては適切極まりない。

また、法律家の矜持として、本書は次のように言う。

「法が想定しなかったからといって、
 かわいそうな人を放置して事案の解決を諦めるようなことは、
 法律家は決してしない。」(同書15ページ)

まさにその通りであろう。


法学を勉強されている方であれば、
本書の法解釈論、とても面白く読めるはずである。
また、アニメやコミックに詳しくない方でも、
日本でいま、どのような作品が創造されているのか、を知ることができ、
ronnerさまが「こっちの世界」という世界の豊かな営みを理解する一助となろう。


さて、最後に、私が電車の中でおもわず吹いてしまった一節を引用して
本書紹介の結びとしたい。


「いくら同じプロ漫画家であっても、畑健二郎先生が履行するのか
 漫☆画太郎先生が履行するかでまったく違う。
 ある日突然『ハヤテのごとく!』の絵が
 漫☆画太郎先生の絵柄に変わったら困るわけである。」


この一文ほど、民法474条1項但書の適用場面を適切に解説した文章があるだろうか。

というわけで、ronnnerさま、楽しい著書をお送りくださり、ありがとうございました。