娘が芸能人よりもかわいく見えるかどうかは、
主観の問題だからまだ許すとして、
客観評価の可能なハイハイでボルト選手に追いつけるかは問題である。
ところで、ハイハイでボルト選手に追いつける赤ちゃんって、
もはや人間というより妖怪ではないだろうか、
とつっこみの一つも入るであろう、
キヨミズ准教授の法学入門。
この連載では、そのメイキングをお送りしております。
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平林さんのお呼び出しを受け、我々は、
都内の某喫茶店「
青山ティーファクトリー」で会合を持つことになった。
この都内某喫茶店は、
青山一丁目ないし外苑前から歩いて5分くらいの場所にあり、
スリランカ産の紅茶とおいしいワッフルが食べれるおすすめの喫茶店である。
こういうお店は、混むと困るので
場所や名前をぼやかして書いておくのがポイントである。
それはさておき、わたくしが待っていると
平林さんと柿内さんがやってきた。
柿内さんは、
全国5000万人の党員からなる日本最大の政党
日本甘党の党員だったようで、
メニューを真剣ににらんでいる。
ワッフルセットにするか、スコーンセットにするか、
という問題を悩んでいるのだ。
その表情は厳しく、その選択に日本の政権の行方がかかっている時のようだ。
日本甘党の幹部であることをうかがわせる。
そんな柿内さんを横目に、平林さんは、
インタビューのお礼を述べ、アクセスも好調だったと教えてくれる。
まっとうな社会人と言えよう。
私も、カメラマンの山崎さんにもよろしくお伝えくださいと述べるともに
平林さんのおかげで議論も深まり、好評だったことを伝える。
やはりまっとうな社会人だと言えよう。
さて、このようにまっとうな社会人たちが一通り会話をすませたところで、
様子を見ると、日本甘党幹事長は、
いまだスコーンとワッフルの選択を考えていた。
しょうがないので、平林さんは「僕ワッフルにします」と言い、
柿内さんも「僕、スコーン好きなんで」と言いながら
未練がましくスコーンセットをオーダーする。
平林さんにワッフルセットが運ばれてきたとき、
柿内さんがいかにうらやましそうな顔をしたかは描写するまでもあるまい。
このお店は、紅茶原理主義者のマスターが運営しているため、
店内で出されるフードも紅茶第一主義である。
ワッフルは、控えめな味にして紅茶を引き立てるようにできていて、
ベースそのものの味が楽しめるふんわりしたワッフルである。
その香ばしい香りに触れた柿内さんが
「一口ちょうだい」と言い出したことは、やはり描写するまでもないだろう。
この喫茶店でメニューを見ながら選択に真剣に悩み、
あげく一口ちょうだいと言い出す大人の態度は、
Chapter1のキヨミズ准教授の描写に大きな影響を与えることになる。
それはさておき、その後、本題に入った。
柿内さんは、妙にもじもじとし、なかなか話を切り出さない。
やはり愛の告白ではないか、とも思われるが、
そうではなく、新書で「法学入門」を書いてみてはくれないか、
というのが依頼の内容であった。
(ただ、後から考えてみると、出版社の方が著者に原稿を依頼するというのは
確かに愛の告白に似ていなくはない。
これを受けると継続的関係に入り、綿密に打ち合わせをして
一緒に、子ども(原稿)書き上げて、と)
私の専攻は憲法学なわけであるが、
柿内さんたちはインタビューで「法学の考え方」というのが面白く、
そこに焦点を当ててほしいということであった。
(つづく)