さて、中盤戦の戦い方ということで連載をしてきましたが、
いわゆる防御権制約の具体的事案の分析というのは、
例の四要素に関する分析です。
原告・弁護側(違憲を主張する側)は、
その事案の中から、
①目的の正当性
②関連性(目的達成に役立っていること)
③必要性(LRAがないこと)
④相当性(利益均衡)
を否定する要素を抽出し主張します。
(法文違憲審査の場合は、典型的適用例に含まれる要素、
処分審査の場合は、その事案の特有の要素でないといけない)
他方、被告・国側は、
その事案から、①から④を肯定する要素を抽出していきます。
また、目的が複数構成できる場合、
例えば、猿払事件なんかは、
「行政の中立性それ自体」の保護という目的と
「それに対する信頼」の保護と言う二つの目的を構成できました。
で、①から④を分節して考えた方が、
クリアな思考ができるので、
私としては、そのまま書くかどうかはともかく、
実際の問題で、制約が認定できたら、
この四要素を表にして分析してみることをお勧めします。
その上で、目的手段審査の基準を使うなら、
①と④を目的審査に、
②と③を手段審査におとしこんで書いてやれば、
おお外しはしないはずです。
・・・。
もし、
「そうはいっても、事案から①から④の要素を
抽出できないよ・・・。」
こう思われた方がいたら、これはもう練習あるのみです。
お手元の問題集、判例集の事案を読み
ひたすら、①から④の要素抽出の練習をしましょう。
・・・。
また、例の採点実感先生の言うことがどうしても怖い!
ということでしたら、いっそうのこと、目的手段審査の枠組みを放棄して、
制約認定後に普通目的手段審査の枠組みを立てる箇所
(急所で言うと2-4工程か)で、
「このような権利(防御権)の制約が正当化できるか否かは、
①正当な目的を構成できるか、
②規制がその目的と関連性があるといえるか、
③規制について必要性があるといえるか、
④目的が、失われる利益よりも重要と評価できるか、
の四点で検討すべきである。」
という基準を立てて、
目的手段審査の枠組みをとらずに議論してしまいましょう。
(原告のとこだけでなく、私見を述べるところでも
この基準で判断してもよいのです。)
このような枠組みは、それはそれで不安だ、というご意見もおありでしょうが、
そんな時は、猿払事件上告審判決の立てている
制約正当化の可否を判断する基準を見て見て下さい。
ほとんど、この通りですから・・・。
・・・。
というわけで、これが中盤戦の戦い方ですね。
お付き合いいただきありがとうございました。
そうそう。積み残された課題ですが、
公務員の政治活動の禁止を正当化しようとすると、
結局、
「政治活動するような奴らは、
業務にも政治信条をもちこんで、
不当な業務、反対する政治信条を持つ人への
嫌がらせ的業務をするに違いない」
という意識を持った国民に迎合すること
(そういう国民の信頼の確保)
という目的を立てざるを得ません。
実は、法学男子さん、いまどき喫煙者さんが
おっしゃっていたことですが、
「俺のクラスに、そんな国民なんかいない!」
という熱血タケオカ先生的に断言するのは
結構難しいことなのです。
とはいえ、私のいつもの戦法で恐縮なのですが、
そもそも、今見た目的って、正当なのでしょうか?
ちょっと考えて見て下さい。
ではでは
「結局、何のための公務員の政治活動の禁止か?」
の記事で会いましょう。