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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

組体操について

2016-01-29 12:30:12 | お知らせ
現代ビジネスにて、
組体操を題材とした道徳教育の教材について
書いてみました

大変好評で、多くの方に読んでいただけたようです。

内田良先生が

この記事

で指摘している通り、
組体操は、バスケットボールや跳び箱など、
他の体育授業とは一線を画した危険性があります。

また、私も沖縄タイムスの連載で指摘していますが、
違法な形で行われることも多い競技です。


記事の中でも指摘していますが、
骨折の危険を十分に除去して組体操を行うには、

1 タワーやピラミッドの際には、
  バランスが崩れている箇所がないか、
  すべての箇所を丁寧に監視すること。

2 バランスが崩れている箇所があった場合、
  即座に形成を止め、解体をすること。

3 転んだり、バランスを崩れた場合に、
  それぞれの児童・生徒が何かにつかまるなどして、
  転落や崩落を防げるような特別の措置をとること。

少なくとも、この三点は必須になります。

しかし、1と2を実現するには、
相当数の監視人員がいて、学校所属の先生だけでは不足する可能性が高く、
また、3については
そもそも、タワーが崩壊するときに、何につかまればよいのか?
という根本的な問題があります。

要するに、1~3の基準を満たした形で組体操を行うのは
実際の現場ではほぼ不可能です。
(もしそれを否定する人がいたら、それは学校がいかに限られた資源の中で
 運営されているかをしらない、現場を知らない意見と思います)

また、跳び箱やバスケットボールなどの他の体育科目では
普通は、1~3の基準が満たされています。

例えば、1についていえば、
ぐらついたまま跳び箱をやらないよう
跳び箱が始まる前には、先生がバランスを確認しているはずですし、
それを怠っていれば、明白な職務怠慢の違法行為でしょう。

次に、2ですが、
体育館の床がぐらついていて崩落の危険がある場合、
バスケットボールをやったりはしないでしょう。

また、3ですが、学校に組体操のピラミッドと同じ高さの
手すりのない階段があったら、立ち入り禁止は避けられないでしょう。


現代ビジネスの記事については、

そうすると、学校で組体操をやると違法なのですか?

とご質問をいただきましたが、

まさに、その通り

と言わざるを得ない、ということになると思います。


好きな駒における法律家(2)

2016-01-21 21:39:03 | ちょっと一言
好きな駒は何ですか?」という質問は奥が深い。


さて、話は本題に入り法律の話である。

法律の世界は、囲碁の世界と将棋の世界、どちらに近いかと言われれば
将棋に近い。

一つ一つの条文には個性があり、それぞれ違った役割がある。

例えば、憲法の9条と21条では、飛車と香車のように役割が違い
一つ一つの石に個性のない囲碁の世界とはちがう。

(もっとも、囲碁に詳しい友人によると
 達人になると、一つ一つの石の個性が見分けられるようになるそうで、
 彼は、二つの黒石を指さしながら、
 法律でいうとこちらが刑法18条、こっちが会社法121条だ
 と説明していた。
 もちろん私は話をきいていてちんぷんかんぷんだったが、
 おそらく、刑法と会社法の勉強不足だろう)

さて、となると法律家たるもの「好きな条文は何ですか?」と
しょっちゅう聞かれているはずだが、
私自身、意外とそんな質問をされた覚えはない。

確か、昨年5月、あるニュース番組の憲法特集の取材を受けた時に
「好きな憲法条文は?」と問われ、
そういえば、そんな質問があるのか、と思った次第である。

それをうけ、法科大学院で、院生たちに
「好きな条文は?」と聞いてみたりしたが
やはり、それをすらすら答える方はいらっしゃらない。

法科大学院生なのだから、それこそたくさん条文を知っているはずで

権力者のロマン、ワイマール憲法48条。

李白が見たら激怒するアメリカ合衆国憲法修正18条。
(すごい条文なのでぜひ調べてみてほしい。
 あの「山中与幽人対酌」は、
 この条文にキレた李白の作品だという)

無茶な契約条項があったときに
実にいやらしい働きをする民法415条と
考えてみればいろいろ思いつくはずであり、
どの条文をあげるかによって性格診断もできそうである。

また、われわれ憲法学者は
「好きな憲法の条文は何ですか?」と問われるわけだが、
憲法は、まあ人権保障など、格調高い条文が多く答えやすいが
刑法学者に「好きな刑法の条文は何ですか?」と問うと、
何を答えても犯罪である。難しい。

ついでに言うと刑法学者が専門をかたると冗談のようになる。

ある大学の教授会で、
新任の刑法学者が「詐欺のプロ」と紹介され、
あやうく採用を取り消されかかったという。

おまけに将棋の駒といっしょで状況というものがかかわってくる。

藤井九段の「駒台の上の金銀三枚」というのを
法律の条文でいうと、何だろうか?

というようなことを考えてみる今日この頃であった。





好きな駒における法律家(1)

2016-01-15 22:48:40 | ちょっと一言
将棋界の定番の質問として、
「好きな駒は何ですか?」というものがある。

将棋は駒に個性があるため、
その一つ一つに愛着がわくのだ。

このため、好きな駒質問は
将棋ファンやプロ棋士への定番の質問であり、
羽生名人のクラスになると、
人生において数千回は質問されてきたことだろう。

この質問だが、傾向としては、
「飛車」と「桂馬」という答えが多いことで知られる。

飛車は最強の駒であり、
桂馬はその動き方が特殊だから、
そう答える人が多いのはよく分かる。

もっとも、藤井九段クラスになると、
より創造的な回答になり
「駒台の金銀三枚」ということになる。

私は、これを聞いて、
自分の「好きな駒」の概念がいかに浅薄だったか反省をした。

私の好きな駒は「玉将」、
理由は「絶対取られたくないから」という単純なものだったが、
考えてみれば、駒が好きかどうかは状況に依存する。

(なお、玉将については、
 「こいつのせいで負けたから」という理由で
 むしろ嫌いな駒に挙げる人も多い。
 いわれてみればなるほどで
 私も将棋の敗因のほぼ100%が玉のせいである) 


歩切れをつかれて香車を撃たれたときに
「好きな駒は何ですか?」と聞かれれば
(なぜ、そんな切羽詰まった状況で、そんなのんきな質問をされるのか
 という問題はあるが))
誰でも「歩だよ、歩!きまってんだろ」というだろう。

あるいは、いくら飛車が好きでも
△1九銀成、▲同飛車の結果、飛車が
香車並みの働きしかできなくなり、
それでもその飛車が好きだという人はいないだろう。

こう考えると、「好きな駒は何ですか?」という質問は奥が深い。


さて、話は本題に入り法律の話である。・・・・つづく

卒業式と年賀状

2016-01-08 19:35:59 | ちょっと一言
大学最大のイベントは卒業式である。

最大のイベントが
組織からの追い出し式ということで、
大学というのは、なんともせちがらい団体である。

ただ、やはり卒業単位がきちんとそろうか、
ということは、とても心配なことで、
とある老教授も、いまだに、単位不足(体育の単位が1足りない)で
大学を卒業できない悪夢をみるという。

そんな単位不足の夢で心配になっていた今日この頃、
お正月に、とある方から、年賀はがきをいただいた。

とある方と表記するのは、別に個人情報を保護しているわけではなく、
名前が分からないからである。

その年賀状、宛先は、私なのだが、送り主の名前がない。

そして、「あけましておめでとう」のあと

「はやく法学部に帰ってきてください」

と一言、記されていた。


今現在、私は「法学系」というところにいて
法学部に所属しているのとはちょっとちがうのだが
まあ、同じようなものである。

ただ、名称が違うので法学部にいないといえばいないかもしれない。

この年賀状のメッセージをどう読み解けばよいのか。

「いまのところから出てってくれ」

ではなく

「帰ってこい」

と書いてあるから、
恐らく、送り主は、法学部に所属している人物なのだろう。


問題は、なぜ法学部に帰ってきてほしいかだ。

私はかつて法学部に所属したことがあるが、
そこに所属する目的はただ一つ。
単位をとることである。

ということは、私が法学部に帰る理由があるとすれば、
単位をとりわすれているということではないか。

そうなると、送り主は、私が昔、登録していて
誤って単位を認定してしまった恩師ということになる。怖い。

冒頭で紹介した悪夢がまるでカムトゥルーしているようだ。
そして、カムトゥルーに示された私の語学力からして
誤って認定された単位は英語であると考えるのが相当であろう。

ムーミンハウス

2016-01-02 17:13:48 | ちょっと一言
横浜そごう、ムーミンハウス祭を見に行く。

ムーミンハウスの構造は複雑で
木造四階建て。

かなり精工に再現されていたものの
ママの台所の広さがたりないのでは、と思わされた。


ムーミン谷はホビット庄と比べ、
過ごしやすいか、という古典的な問題を考えるが、
ホビット庄は、作者の細かい生活考証に裏付けられ
食料・工芸品の生産からガンダルフによる治安活動まで
とりあえず、暮らしが成り立ちやすそうな気がするのに対し、
ムーミン谷は、極めて生活を想像する事が難しい。

ママの畑の広さで十分なのだろうか?
ママのパンケーキ用の粉はどこで引いているのか?

いろいろと考える余地があるのがムーミン谷の楽しさなのかもしれない。