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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

請求権についての質問

2017-01-11 15:27:11 | Q&A 急所演習編
請求権について (きよ25)
2017-01-08 21:36:16
先生の著書「憲法の急所」を拝読いたしました。
請求権(抽象的権利)の検討の仕方について質問させてください。
先生は、「憲法の急所」の中で、まず①憲法上の請求権の行使要件(生存権でいうところの「最低限度の生活」)の充足性を検討し、②その効果として個別法の憲法適合解釈請求を導かれていたかと存じます。
これを、①を介在させずに、いきなり個別法を憲法の趣旨にしたがって解釈するという検討順序をとることは誤りでしょうか。平成22年司法試験の上位答案(先生の著書「Live講義本」に引用されていたもの)も、そのような検討手順を踏んでいるように思います。
お忙しいところ恐縮ですが、お答えいただければ幸いです。



どもありがとうございます。

生存権の場合は、行使要件と効果がかぶるので、
①を省略して、②から議論をするという手順でもきれいな答案がかけることが多いですよね。



ただ、議論の基礎ができていることはとても大事ですし、
きちんと要件から議論しないといけない場面で、
書き方が分からないということになることもります。

あくまで省略しているだけという意識を持った方が
基礎力がつき、応用力も上がると思います。

と言った感じでしょうか。


急所第一問における処分審査

2012-04-25 10:17:13 | Q&A 急所演習編
今日は処分審査の使い方についてのご質問を紹介します。

ここからのお話は、基本的に防御権に限定されたお話です。
(郵便法の話も少ししますが)
ちょっと整理しときましょう。

<司法試験は二段階審査が原則らしい>

過去の司法試験の出題趣旨を見ていると
事案の検討は、二段階審査(法文違憲審査→処分審査)を想定しています。

ただ、二段階審査の一段階目は、書くまでもなく明らかな場合は、
いきなり処分審査をやってしまうことでもよいようですね。

この司法試験的いきなり処分審査は、言ってみれば
法文違憲審査を「暗算」で済ませて、いちいち途中式書かないようなもんです。


<判例は処分審査が原則>

他方、過去の最高裁判例は、
処分審査を原則としていますが(立川ビラ判決では、住居侵入全体の審査をしたりしない)、
次の二つの場合には、法令審査(法令の全体審査)をしています。

<最高裁の法令審査1>

法令審査をする場合の第一は、
その法令の想定されるもろもろの適用例の間で、
憲法判断に影響を与える要素がない、と判断できる場合。
(適用範囲が限定されている場合)

例えば、猿払上告審は、公務員の政治活動は、
どのような態様で行われても、同じ程度に悪質で、
現業非現業、勤務時間の内外を問わず、
憲法上同じように評価できる、と考えているので、法令全体審査をしています。
また、薬事法違憲判決も、このタイプの法令全体審査です。

この第一の法令審査は、問題の処分と他の適用例が大差がない場合の審査であり、
処分審査とやっていることは変わらないのです。
ただ単に、その処分を審査することと、その全適用例を審査することで
やることが変わらない、という場合の審査ですから。

<最高裁の法令審査2>

法令審査をする場合の第二は、
その事案の解決とは別に、
明確に適用範囲を示したいと考えた場合(徳島市公安条例でだ行進以外の事案を検討、など)ですね。


このタイプの法令審査というのは、
裁判所が、その事案とはなれて、実務にメッセージを発信したいときに使うものなので、
さしあたり、実務へのメッセージが要求されない司法試験では
あまり使われない(要求されない)審査方法だと言えそうです。

ではでは、次のご質問とあわせて、復習してみてください。



急所第1問について (satoimomoko)
2012-01-13 15:39:26
木村先生こんにちは。satoimomokoと申します。
急所第1問に関連して質問が2つあります。

質問1
急所69頁6行目「本件職務命令について処分審査をした上で、」の「処分審査」は、本ブログ記事「処分審査の概念(まとめ)」の処分審査1という意味だと理解しているのですが、この場合に審査している部分は、職務命令の根拠法たる地方公務員法32条(以下、地公法)のうち、当該職務命令を基礎付けている部分ということでしょうか。

質問2
急所31頁の「処分審査」と、33頁の「二段階審査」の使い分け方がよくわかりません。
急所第1問の場合は、地公法32条全体に疑義はないから、「処分審査」を使っているということなのでしょうか。

お時間ありましたらご回答よろしくお願いいたします。



>satoimomokoさま
質問1については、その通りです。

質問2ですが、
法令全体に疑義がない、とは、
その法令に合憲部分があることは明らか
(という法文違憲審査を即座にでき、またしたこと)
あるいは、
法令のその他の部分が、その事案との関連が薄く
そうした部分について疑義を検討する意義のない場合
ということになるでしょう。

処分審査は、こういう場合に行います。

ご回答ありがとうございました (satoimomoko)
2012-01-13 19:50:07
木村先生

早速のご回答ありがとうございました。とてもすっきりしました。
佐渡先生やたけるんさんの一連の記事と今回の先生のご回答で、処分審査についてやっと自分なりに理解できてきたような気がしています。

佐渡先生対策講座もとても楽しみです!

第五問と判例の立法国賠の基準

2012-04-15 16:00:02 | Q&A 急所演習編
立法行為に対する国家賠償請求について (redia)

2011-12-28 23:51:50
木村先生、初めまして。

急所の第5問について質問したいことがあり、コメントさせていただきました。

木村先生は、第5問において国賠法上の違法を判断するにあたって、「公権力の行使が違法であったこと、行為者に行為の違法性の認識又は認識可能性があったこと、損害発生に関する予見又はその可能性があったこと」という3つの要素から検討しておられると思いますが、この「公権力の行使が違法であったこと」というのは、憲法の答案上は、憲法に反すれば違法だという形で述べれば十分なのでしょうか?

行政法においては、一般の国賠請求訴訟であれば職務行為基準説が通説・判例だとされているので、違法性を検討するにあたっては公務員の注意義務違反の検討が必要になりますし、特に立法行為については最大判平成17年9月14日において最高裁が、立法行為が国賠法上違法になる場合として「国民に憲法上保証されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」を挙げており、これに沿って検討することが必要になるかと思うのですが、憲法ではここまで踏み込む必要はないのでしょうか?

本問では、平成17年の最高裁判決を用いても、憲法上保障されている権利を侵害しているかが問題となる以上、答案の流れはそんなに変わらないと思うのですが、気になり、質問させていただきました。

もう1点、立法行為ではなく通常の国家賠償請求が問題となる場合、職務行為基準説をとると答案がどのような流れになるのかということもぜひ教えていただきたいです。憲法に反するような行為をすることは職務上の注意義務違反と評価できる、と言うような流れになるのでしょうか?

長文すいません。お時間があるときにご回答いただければ幸いです。



>rediaさま (kimkimlr)
2011-12-30 12:41:41
こんにちは。ありがとうございます。

ご指摘の問題ですが、
例の立法国賠の要件というのは、
大雑把に言うと、立法が違憲で、
しかもそれが明白だから違憲の認識があった
というもので、
論証例などもそれを意識して書いていますが、
判例の文言にもっと結びつけるべきだったと思います。

職務行為基準説で答案をという場合ですが、
この場合の「違法」は
「取消違法がある、結果発生の予見可能性がある、
違法性の意識可能性がある、
よって、その職務を基準としたときに、
義務違反がある」
ということなので、
厳密に議論するためには、公権力発動要件欠如説と同じように、
手順を踏んで書いて、
さいごに「だから違法だ」といってやった方が、どういう要素を判断しているか明確になって、読み手にわかりやすいかなと思います。

私は、学部の頃、行政救済法の試験の日は
そうやって準備していましたが、
確か、「国賠法の『違法』について」という一行問題が出題されてしまい、
事案へのあてはめはしなかったなあ。

参考になりましたでしょうか?
何かあったら、またコメントして頂ければと思います。


ありがとうございます。 (redia)
2011-12-30 14:21:01
木村先生、ご回答ありがとうございます。

なるほど、在外選挙事件の判例の規範も、職務行為基準説も、結局は「公権力の行使が違法であったこと、行為者に行為の違法性の認識又は認識可能性があったこと、損害発生に関する予見又はその可能性があったこと」という3つの要件を検討しているのと同じことなのですね。

文言にばかり気をとられていてそのような意識で行政救済法を勉強していなかったので、大変参考になりました。

ありがとうございました。


>rediaさま (kimkimlr)
2012-01-02 09:59:17
どうもありがとうございます。
また、何かあったらお知らせいただけるとうれしいです。

委任立法について

2012-04-12 06:43:11 | Q&A 急所演習編
今日は委任立法についてのお便りを紹介します。

法律と命令の形式的効力について (mona)
2011-12-19 18:41:15
こんばんは。
たびたび質問、失礼します。

ものすごく基本的なことなのですが、調べてもよく分からないので教えてください。

どうして委任命令は法律よりも、形式的効力が劣るとされているのでしょうか?
法律が一定の事項について命令に委任した場合、行政府には、その一定事項について法規を定める権限が与えられるのですから、制定された命令には、法律と同格の地位が与えられると考えるのが自然なように感じます。

野中他編「憲法2 第4版」p.72以下の国会中心立法の原則の説明をみると、「委任された権力は委任せらるるをえず」という法諺が根拠のようなのですが、なぜこれが根拠になるのかよく分かりません。

分からなすぎて眠くなってきて困っています。
よろしくお願いします。


>monaさま (kimkimlr)
2011-12-20 06:46:02
こんにちは。

ご指摘の法格言は、この文脈で言うと
憲法が国会にゆだねた立法権自体を、
国会が他の機関に再委任することはできない、
という意味ですね。

どういう事例を想定しているかはわかりませんが、
委任立法というのは、
「こういう範囲で命令をつくれ」という内容の法律で、
後法が「そうした委任を解除する」と定めたり、
特別法が「この範囲では、その委任命令を適用しない」と定めると、
委任立法が廃止(後法優先)されたり、
適用除外(特別法優先)される結果、
委任命令が適用できなくなるわけですね。

また、委任立法Aの前法として、
「こういう命令を作るな」とかいてある法律Bがある場合は、
法律Bに対し、委任法律Aが優先するので、
命令は有効になります。

これは、命令が法律Bと同等の効力があるのではなく、
あくまで、法律Aが法律Bと同等のランクの方形式だからです。

このように、命令と他の法律の関係は、
委任元の法律と他の法律との関係として考えるとわかりやすいです。

どうですか?


ありがとうございます (mona)
2011-12-20 09:36:54
委任立法と他の法律との関係を考えればよかったんですね!
勘違いしたまま考えすぎて混乱していたようです。
目が覚めました!ありがとうございます!

その上でもう1つ質問があるのですが、
例えば、委任立法が委任した事項を、命令が定める前に、他の法律で定めてしまったとします。その後、命令はその事項について定めることができるのでしょうか?もし定めた場合、後法は前法に優先するの原則から、命令が優先するのでしょうか?それとも、このような場合は、他の法律により、委任事項が一部変更されたと解するのでしょうか?

ややこしい場面設定ですみません。
つまり、命令が(委任立法ではない)他の法律を改廃する場面が想定できるのか、ということが知りたいのです。
私は今ちょっと考えただけですが、ないんじゃないかなと、思っています。

よろしくお願いします。



>monaさま (kimkimlr)
2011-12-20 17:56:16
そういう場合は、後法が委任を撤回しているわけですから、
委任が消滅し、命令が制定できなくなります。

はい。わかりました! (mona)
2011-12-20 20:43:35
やっぱりそうですよね。
何度も失礼しました!ありがとうございます!

タケオカ先生も面白かったです!

それでは、お体にお気をつけて。

第一問の処分審査と合憲限定解釈

2012-04-08 09:03:04 | Q&A 急所演習編
急所の第1問の処分審査について (yokoyama)
2011-12-07 21:47:46
木村先生こんばんは。前回の質問に対するご回答ありがとうございました。

yokoyama様からのご質問です。

今回は急所の第1問の処分審査について質問があります。

第1問の原告の主張の結論として、次のような理解でよろしいのでしょうか。

本件処分は(それと同時に根拠法は)、違憲である。したがって、その処分の根拠となった法令の一部は無効と解すべきである。だから、根拠法がなくなって、本件処分は権限逸脱の違法である。

本件処分審査は、その実質は根拠法の審査ですよね(急所P31)。したがって、思想良心の自由を侵害するような処分は違憲であり、同時に、その根拠法令の処分根拠該当部分が無効になる。その結果、根拠法のない権限逸脱だ、という理解でよろしいのでしょうか。


どうも、自分の周りでも、憲法を苦手とする人間が多く、そのいちばんの原因が、いったい何をどのように違憲審査しているのか、という点なんです。ロースクールの教員にもこの点質問しても、うやむやに逃げられてしまいます。「法令審査は目的・処分」「処分審査は利益衡量」ということを抽象的に言うだけでした。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。


>yokoyamaさま (kimkimlr)
2011-12-08 13:55:10
うーんと、あの事案は、たぶん、部分無効ではなくて
合憲限定解釈して、そういう思想良心を侵害するような命令を出す権限までは
地方公務員法上認められないとかってやるんでしょうね。
職務命令関係の条文は抽象的なので、
こうやる余地はあると思います。


処分審査については「処分審査について(まとめ」の記事をご覧ください。
ご指摘の処分審査の理解は、いわゆる処分審査2
ってやつですね。

ではでは