熊本PTA裁判の第一審判決が出ました。
地元NHKのニュースによれば
「父親が「PTA会費納入袋」と書かれた封筒に会費を入れて納 入していることや、PTAに退会の申し入れをしていることを 指摘した上で「一連の行為はPTAの会員であるという認識が あったと言わざるをえない」として訴えを退けました」
とのことです。
原告敗訴ではありますが、
これはPTAの自動・強制加入が適法だ
とされたわけではありません。
実はこの訴訟、
争点は「PTA強制加入の適法性」ではなく
「原告が加入意思を示したか?」でした。
被告PTAも裁判官も任意加入は当然の前提としています。
原告敗訴とはいえ、
①PTAが任意加入団体であることが司法の場でも確認されたこと、
②(かなり強気な)PTA側も、訴訟になれば強制加入が適法だとは主張できないことが分かったこと
(任意加入の論点は投了済みだったのです。
こちらの
被告側書面をご参照ください。)、
の二点で、大きな意味のある訴訟・判決だったと思われます。
今回、原告は、
「会員でなかったのに、会費をとられたから、それを返金せよ」
と請求。
これに対し、裁判官が重く見たのは
「退会届」を出したり、
「会費」と書かれた封筒でお金を出したり、
とのことのようです。
(判決文が公開されたら、精査しますが、
とりあえず報道では、そのあたりが重視されたとされています)
いささか残念な判決ではありますが、
一旦会費名目で集めたお金の返金請求が認められると
全国で同種の訴訟が頻発する可能性があります。
例えば、年間5000円とられていて、それを6年分遡ると
3万円。
この請求が10本たつだけで
PTAは30万円の返金!を要求されるわけです。
そう考えると
熊本PTA訴訟は、思った以上に重要な訴訟で、
裁判官がPTA側に「お金返しなさい」と
いうことに躊躇したことも分からなくはありません。
この訴訟から得られるポイントをまとめると、
1 PTA会費は、払いたくない場合には払わない。
2 自動・強制徴収された会費を返してほしい場合には
「退会届」を出すのではなく
(「退会」届を出すと、入会していたことを認めてしまう)
「会員ではないので返金してください」という
趣旨の書類を出す。
ということでしょう。
そして、また、違法PTA相手の訴訟は
他にもいろいろテがあります。
例えば、PTAに対し名簿を渡していた学校に対し
「個人情報の第三者提供」
という不法行為についての損害賠償を請求する、
ということもあり得ます。
一件あたりは数千円の賠償が相場ですが、
一つでも認容されると、損害額は膨大で、
PTAの運営を根本から考えざるを得ない事態に発展するでしょう。
そういう意味で、違法PTAの運営は、
極めてリスクの高いものになってきています。