木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

業務日報

2012-02-29 21:38:57 | お知らせ
本日、八王子は大雪(20センチくらいつもった)だったわけですが、
シンポジウムに向けて、パネリストの皆様と打ち合わせをしてまいりました。

詳細は明日、ご報告いたします。

あと、採点実感先生の補足について、情報提供ありがとうございます。
なにかしらコメントしようと思いますが、
佐渡先生に語らせるには、優しすぎる文章で、
佐渡先生ツンデレ疑惑まで発生しています。

うーん、どうしよう?

とまれ、また明日お会いいたしましょう!

法学教室連載決まる問題

2012-02-28 16:24:38 | お知らせ
さて、今日お知らせが出てました。

4月より、西村先生と一緒に法学教室で連載することになりました。

この連載は、「憲法学再入門」というタイトルで、
憲法の入門講座をしていくものです。

憲法というのは、小学校の頃から勉強してきたわけで、
大学に入ってからも、刑法・民法とならぶ基礎科目として習うわけですが、
どうも、抽象的でとっつきにくい、
という印象をもってしまった方、
とにかく大学やLS未習コースに入ってしまったが
何を勉強していいかよくわかない、という方
そういう方々に向けて書かれる連載です。

もちろん実力者が実力を確認して頂くこともできます。

この話の要点ですが、
要するに、みんな読んでね、ということっす。


・・・・・・・・・・・・。

連載は隔月担当で、偶数月(4月、6月…)は私が、
奇数月(5月、7月…)は西村先生のご担当。

西村先生は、私の大学・助手時代の一年後輩で、
赴任先も同じ首都大学東京です。

美濃部達吉の研究のエキスパート、
大変頭のきれる優秀な先生で、
彼のお陰で、私は大学内で大変肩身の狭い思いをしています。


さて、で、内容面ではどう担当が分かれるかと言いますと、
私が統治機構、西村先生が人権というざっくりした担当区分です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・。

統治機構!

Rechtssatz、legislative power、l' Espirit de droit、
国会単独立法、国法の諸形式、大統領緊急大権、官房機密費、
秘密接待、ロズウェル、宇宙人解剖ファイル……。

横文字と四字熟語が飛び交う重厚な領域です。

いっそ、『憲法提要』と題して擬古文調に語るか、
という案まで出た結果、
(いや、それは無理です。石川先生。)
私の脳裏に浮かんだのは、現代屈指のショパン弾き
ジャン・マルク・ルイサダ先生のお言葉でした。

モーツァルトはショパンのように、
ショパンはモーツァルトのように。

ふむ。

統治機構も重厚長大・言語道断ではなく、
普通に、喫茶店でおしゃべりするように語ろう。

統治機構論はおしゃべりのように、
おしゃべりは統治機構論のように。

・・・。

そうすると、相手はツツミ先生である。
論理必然と言えよう。

私は、このような構想を抱え、
大学同期・現在首都大の同僚の研究室のドアを叩いた。

そして私は、同僚の男、つまり堤先生に、
「あのさあ、こんど、法学教室で連載やるんだけど、
 人格権主張してガタガタいわないでくんない?」と許可を求めた。


この際の、堤先生主張の要点は、次の通りである。

1 私(堤)は、人格者なので、私の原稿に登場させられたくらいで
  人格権に依拠してガタガタ言ったりはしない。

2 しかし、そんなやり方がうけるのか?
  そんな構想を抱いてしまう君(私)が心配である。


・・・・・・。
まあ、対話調・小説風の原稿については
法学教室にはいくらでも例はあるので、現行形式としては大丈夫だと思いますが、
私は、小説を完結させた経験がなく、この点は不安要素です。
まず、そこを頑張ってみたいと思います。メタスコ(控え目)。

法令の審査方法(6)

2012-02-28 07:32:34 | 憲法学 憲法判断の方法
長い時間を放置しておりました。
途中になっていた連載を再開します。

法令の審査方法(1)法令の審査方法(2)法令の審査方法(3)法令の審査方法(4)法令の審査方法(5)


文面審査、適用審査について、ここまでにすでに
まとめた内容を含みますが、ご参照ください。


・・・。というわけで、話は富士見台公園に戻る。
遊具がたくさんあり、斜面が広大な芝生になっている
素晴らしい公園である。
よくドラマのロケもやっているのだ。


私「うーん、その文面審査、適用審査というのは、
  話を整理しないとごちゃごちゃになるんだよな。
  まず、話を防御権の審査に限定しよう。」

ツ「防御権ってのは、確か、表現の自由とか
  営業の自由とか、そういう何何の自由っていう権利だよね。」

私「その通り。で、さしあたり、法文の明確性や過度広汎性は
  問題にならない、と仮定してくれ。
  これがからむと、話は二段階くらい複雑になる。」

ツ「おお。アタシのような民法専攻の人間からすれば、
  ほんとにどうでもいい細かい分類だ。
  確かに、切手マニアの世界だな。」

 このような細かい話をしているためか、
 我々を見るネコの表情も、あきれ顔である。


私「防御権の審査というのは、
  要するに、その行為(自由)の規制により得られる利益が
  自由の価値を上回っているかどうか、という点の審査だ。

  要するに比較考量だな。これをやるとき、比較考量の対象になる
  規制された行為の単位が問題だ。」

ツ「さっきの話だと、原則として比較考量の対象は、
  原子法命題、その事実にあらわれた行為ということになるよね。」

私「そう。だけど、原子法命題とか、その行為の要素を全て書き記すことは、
  実際には不可能だろう。」

ツ「おっしゃる通りだね。」

私「だから、裁判所は、問題となった行為のうち、
  憲法判断に影響を与えそうな要素をくくりだして、
  ある程度抽象化された行為、行為の類型を単位にして
  比較考量せざるを得ないわけだ。」

ツ「そうだったな。」

私「そうだろう。で、ここで一つクイズだが、、
  例によって、『公務員は政治活動しちゃダメ!』という規制がある。
  猿払事件みたいなケースが裁判所にもってこられたとしよう。
  この場合、『勤務時間外』とか『現業』という要素が
  憲法判断に影響を与えると考えた場合は、
  審査対象は、この規制の一部分(現業の勤務時間外部分)ということになる。」

ツ「ふむふむ。」

私「これに対し、そう言う要素は憲法判断に影響を与えないと考えた場合には、
  公務員の政治活動という類型について審査される。そうだろう?」

ツ「理論的にそうなるなあ。
  アレ?そうなると、
  この事件にあらわれた要素のうち
  憲法判断に影響を与える要素は何だろう?って、
  事件の側から考えた結果、出てきた審査対象は、
  『公務員の政治活動の禁止一般』ってことになって、
  これ、法令全体の審査じゃないか。」

私「まさにその通りだよ。
  つまりだね、防御権制約の正当化の可否を審査する場合の審査対象は、
  全て事実を見て、
  そこから重要な(憲法判断に影響を与え得る)
  要素をくくり出して決めるわけだ。」

ツ「ふーん。全てはその事案の事実から審査がはじまるのか!」

私「そうだね。その事案の事実を司法事実と呼ぶこともあるんだが、
  そういう意味で、
  防御権の審査は全てそういう意味での司法事実を参照しながら行われる。

  しかし、そこから審査対象を特定していった結果、
  にゃんと、法文から導かれる法命題全体の審査が行われることがある。」

ツ「うむむ。そうすると、司法事実から憲法判断に重要な要素を括りだした結果として、
  A:法文から導かれる法命題のうち一部を審査する場合 と
  B:法文から導かれる法命題全体を審査する場合    がある、と。」

私「そうそう。それで、Aを適用審査とか部分審査、
  Bを文面審査って呼ぶ人がいるんだよ。
  別に、切手の絵柄と一緒で
  どうという違いではないんだが、区別をしたい人にとっては
  すごく大事な区別だ。」

 我々は、富士見台公園を登り切り、
 運動場にやってきた。陸上部のみなさんがハッスルしている。

 ちなみにハッスルと言う言葉は、ほぼ死語だが、
 私の同僚に、この言葉を愛用するタケオカという男がいるため、
 うちの学部では、死語になっていないのだ。

 わが法学部は、レッドデータアニマル ハッスル保護協会といってもいいだろう。

ツ「いや、しかし、文面審査とか適用審査って
  用語がすごく混乱していると思うんだが、
  今の話だと、すごく単純な区別だよね?
  なんでそんな話が混乱するんだ?
  憲法学者や憲法にかかわる実務家はアホなのか?」

私「それはそうじゃない。
  防御権以外の審査がからむと、話がかなり複雑になるんだよ。」

                     (つづく)

takuto様の偉業をたたえる

2012-02-27 19:33:44 | お知らせ
私は、昔、小説を書くことにチャレンジしてみたことがありますが、
一度として、最後まで書ききったことがありません。

そんな中、次のようなコメントが投稿されました。

お願い (takuto)
2012-02-24 09:58:01
いつも、楽しく拝見しています。
takutoと申します。

いきなりですが、先日、私は「木曜日に妄想を求めて」という長編ライトノベルを完成させました。
そして、電撃大賞に応募して銅賞を狙ってみたくなりました。

ご許可、頂けますでしょうか?
ちなみに、第三者の権利侵害を生じさせるような内容ではありません。
当たり前ですが・・・


>takutoさま
ご連絡、ありがとうございます。
想定外の展開にびっくりです。

どうぞよろしくお願いいたします。
出版されたら買います。

ちなみにメタスコ星人や妄想族は登場するのですか?
わはは。

とお返事いたしました。

すると、次のようなお返事が。


ありがとうございます (takuto)
2012-02-25 13:47:29
ご許可ありがとうございます。

「木曜日に妄想を求めて」には、メタスコ星人、妄想族、だけでなく、にしきのあきらやモケーレ・ムベンベも登場し、果ては外国人の参政権の問題にまで言及するという、壮大で野心的な作品に仕上がっております。
ちなみに、「萌え」はありません。

せめて一次を通過したいという想いを持って、現在、勉強の合間を縫って、推敲作業の真っ最中でございます。
「木曜日に妄想を求めて」の名に恥じない結果を残せたらと思っています。


話がビッグになっていて、大変うれしいです。
そこで、次のように返しました。



>takutoさま (kimkimlr)
2012-02-25 15:19:42
確かに壮大で野心的な作品です。

にしきのあきらさんや
モケーレ・ムベンベが登場とのこと。
大変に期待したいところです。

ええ、勉強の合間に推敲とは大変かと思いますが、
おそらく妄想族仲間のtakutoさまのことですから、
司法試験では公法系一位、総合一ケタ合格、
電撃大賞受賞、
二回試験主席で将来の最高裁判事と、
すばらしい実績をあげられることを期待しております。


メタスコ!


これに対するtakutoさんのお返事です。


Unknown (takuto)
2012-02-25 16:56:52
ストレス発散に書き始めて、約1ヶ月で完成致しました。
自分でも完成したことに驚いています。

期待に応えられるよう、精々頑張りたいと思います。

メタスコ!


すごい展開です。
小説を最後まで書ききるというのは、それはそれは大変な作業です。
私も私版「木曜日に妄想を求めて」を書いて見たくなりました。

そういえば、YSさまから
「ちなみに,法令の審査方法(6)を楽しみにしています☆
切手マニアの世界が見たくて見たくて(笑)」との投稿をいただいておりました。

いまだに完結していません。
私はとりあえず、そこから手をつけたいと思います。

ともあれ、takutoさまの偉業を心からたたえたいと思います。
試験勉強も頑張ってください。

みなさまもtakutoさまの受賞を願って、ご唱和、お願いします。

メタスコ!

楽しそうに舞台に立つ

2012-02-27 07:46:52 | 音楽
ひょんなことから
近所のホールで行われていた
ある音楽教室の発表会に行くことになった。

バイオリンやフルート、声楽の生徒さんたちが
集まり発表をする催しである。


私は、古来より、強制参加の芸術鑑賞会というものが嫌いであった。
中学にせよ、高校にせよ、年に一度はそういうイベントがあり、
この強制参加下での芸術鑑賞というのはどういうものでも・・・・・・。

話が私のダークサイドに入り込んでいるので、
話をもとにもどそう。


さて、今回の発表会は、とても楽しかった。

最初に出てきた小学生の女の子のバイオリンは、
なかなか上手で、
次に出てきた男の子のバイオリンも
良く演奏できていると思った。

そのあとも出てきた子どもたちは
楽器や高学年、低学年を問わず、
とても上手で、子どもたちの学ぶ力と言うのは、
すごいなあと感じたわけである。

また、教室の生徒さんには、
20歳くらいの男女の方々、
おじいちゃん・おばあちゃん、
いろいろな方々がおられるわけであるが、
技術的な上手い下手にかかわらず、
とても楽しそうであった。

この「楽しそうに何かをやっている姿」というものは、
鑑賞者に、良い影響を与えるように思った。


・・・・・・。
さて、ちょっとダークサイドに戻ると、
私は、強制参加の芸術鑑賞会というものが大変嫌いであったわけで、
舞台で演じている人を見て、もっとうまくやれよ、
と怒ることが多かったわけである。

しかし、自分自身が、教壇で講義をする、という立場になってみて、
「舞台」で演目を演じるということが、
どういうことであるか、理解してみると、
過去、いかに無茶苦茶な要求をしていたかが反省されるところである。

新学期は、とにかく、楽しそうに教壇に上がることを
心がけて見たいと思う次第であります。