木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

京都に行く

2015-07-17 19:50:28 | お知らせ
昨日は、大学内の会議。

なんだか忙しい一週間だったと思っているところ、
同僚から、
まあ、おぬしは今が一番忙しい時期じゃろう
と声がかかる。ここで一番忙しいくらいですんでくれると確かに楽だが。

来週7月21日(火曜日)は京都で講演会。
平日のお昼ということで、
もうしわけございませんのですが、
ご予定があうかたはぜひいらしてください。

ふぐと青い薔薇の話もします。

TBSラジオsessionでは
ポッドキャストの配信中。

いろいろお話しておりますが、
私の気持ちは木村一基先生の扇子の通り。


ああ、私体験あります。

2015-07-07 20:39:01 | ちょっと一言
法学部にいると教えられる有名な逸話。

独身の家族法学者が、「家族もいないのに家族法を教えられるの?」とからかわれ、
民法学者に「お前こそ、たいした財産もないのに財産法を教えているじゃないか」と反論。

ここまでは、はっはっはなのですが、
今日、この話の続きを聞きました。

いわく。

そこに通りがかった同僚が、「そうですか。私は、教えている分野の経験がありますよ」と
颯爽と発言し、去ってゆく。

その同僚の専攻は「刑法」で、最初の論文は「通貨偽造」だった。

憲法と国際法

2015-07-07 20:29:57 | 憲法一般
じゅりさんからご質問をいただきました。

憲法優位説に立った場合、国際法上集団的自衛権が認められていたとしても、国際法よりも憲法の効力が優先するので、集団的自衛権の行使は認められないという結論になることは分かります。

一方、国際法優位説にたった場合はどうなるのでしょうか。
国際法上、集団的自衛権の行使が義務づけられているのであれば、憲法上集団的自衛権の行使が禁止されていても、憲法よりも国際法の効力が優先するので、集団的自衛権の行使は認められることになると思います。
一方、国際法上、集団的自衛権の行使が許容されているに留まる(行使は認められているが義務付けられてはいない)場合に、憲法で集団的自衛権の行使を制約することは可能なのでしょうか??


というご質問。

まず、国際法と憲法のどちらが優位するか、という論点は、
授権関係の話である場合
(憲法は国際法の部分秩序なのか、各国憲法が承認したので国際法ができたのか?)と、
効力関係の話である場合
(両者が矛盾したときに、「国内法として」どちらが優先するか?)があり、
授権関係では国際法が優位するが、効力においては各国の内部では憲法が優位する
といった議論もありえます(私は、この立場を支持する傾向を持っていますが)。

ただ、集団的自衛権については、
国連憲章で行使が義務付けられるわけではないので、
各国が、政策判断や条約や憲法や法律で、行使を制限することは、国際法上は各国の判断に委ねられます。

法律ではバイクに乗れても(国際法ではバイクに乗れても)
うちの大学の規則ではバイク通学は禁止(その国の憲法ではバイクは禁止)という話と一緒ですね。
この場合、バイクに乗る法律上の権利はあっても大学の規則で行使できなくなっている。

この場合、バイク通学をすると
法律には違反しないが、大学規則違反になる
(国際法違反にはならんが、憲法違反になる)ということになるでしょう。

なお、日本の憲法98条では国に国際法遵守義務を課しているので
政府が国際法違反をすると、
まず、国際法違反になり、かつ、憲法98条(国際法を守る憲法上の義務)違反にもなるということになります。


いずれにせよ、日本に集団的自衛権の行使を義務付けた国際法はなく、
今回の違憲、合憲論争に、国際法は決定打にならないでしょう。