Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

雨、封印された空き地

2013-11-12 00:58:27 | お出かけ
予告通り、聖蹟桜ヶ丘に行ってきました。って、ブログ上で予告してたっけな?人には(意味もなく)告げていたのですが。まあいいや、ともかく行ってきました。

本当は午前中に家を出て、お昼をロータリーのお蕎麦屋さんでいただこうと思っていたのですが、なんとなく寝過して、結局家を出たのはお昼過ぎ。もちろんご飯は食べてしまった。

お昼頃はけっこう暖かくて、厚着していたのでちょっと失敗したかななんて思っていたのですが、次第に雲行きが怪しくなって来ました。今日はロータリーを通り過ぎて、久々に給水塔まで行ってきたのですが、その近くでポツポツと雨が降り出しました。

最初はフードを被れば防げるような降りだったので、特に慌てもせずに「思い出の階段」へ。ああ、ここに来るのは何年振りだろう。「あれ」から訪れたことがあっただろうか。一段一段登ってゆくと、右手には「あの空き地」。しかし真っ先に目に入ったのは、入口の封鎖でした。鉄線が張られている。空き地の奥には苔むした倒木が静かに横たわり、その手前一面はまだ青々としていました。垂れ下がる紅葉は色づいておらず、時期が早かったようです。ここは秋が深まれば、紅葉は赤々と燃え、赤や黄色の落ち葉が足元を埋め尽くし、それはそれは美しい場所になるのですが。でもたとえその時期に来たとしても、この鉄線の向こうに行くことはできない。こんなふうになったのは、いつからだろう。

音もなく降り募る落葉。間断なく雪のようにはらはらと落ちてくる黄色の葉。その光景を思い出す。でもあれは、百草園だったな。百草園から東寺方まで踏破して、夕闇の迫るのも構わずに、ぼくらは紅葉や楓の葉と戯れていた。あれはもう、一昔前。

けれども、そんな感慨に浸る間もなく、ぼくは階段を足早に登り始めました。雨が強まったのです。登りきったところには、大きなドングリの木と照葉樹。ここでしばらく雨宿り。

とても静かで、雨がジャンパーに落ちる音や風の音の他は、何も聞こえませんでした。時折り、木々が風に揺られる音に混じって車の走る音が聞こえ、坂道を走り抜けて行ったりしました。

給水塔は文字通り目の前にあったので、雨が小止みになるのを待って、その給水塔を経由して帰ることにしました。ところが、方向音痴なぼくですので、来た道じゃないと帰り道が分からない。あれれ、ここはどこだ、と思った矢先に、突然の豪雨。まるで台風みたいな暴風雨で、慌てて近くの横道に逃げ込み、再び木の下で雨宿り。風の通り道から外れていたこと、木々が密生していたこと、幾つかの幸運が重なって、これほどの雨の中でも大して濡れずに済みました。

やがて向こうの空に青が広がり、辺りも明るくなって来て、雨もほとんど止みました。来た道を辿り、帰途に就きます。ただ、雨の襲来で気温が急激に下がり、だいぶ寒くなってきました。青空は勢力をいよいよ広げ、すっかり気持ちのいい天気になってしまいましたね。

去り際に「あの空き地」をもう一度確かめました。ぼくは今後ここに来ることがあるだろうか。来るとしたら、一人で?それとも誰かと? たとえそれが誰であろうとも、この空き地の思い出をその人に語ることはないんだろうな。

晴れ、曇り、雨、そしてまた晴れ。目まぐるしく変わる天気でしたが、これもまたいい思い出になりました。