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ペットボトルを分解する触媒反応を開発

2022-07-27 10:29:05 | 化学
私の家ではプラスチックとペットボトルを分別してゴミに出しています。ところが先日ゴミ収集車が集めているところを見ていたのですが、なんとペットとプラを一緒に収集車に入れているのです。

多分私の住んでいる市では、プラやペットは単に燃焼して処理しているのかもしれません。市民には分別を呼び掛けておきながら、まぜて処理するというのはひどいものですが、実際の再利用などできずこんなものなのかもしれません。

東京農工大学などの研究グループが、ペットボトルや食器などに使われているポリエステルを単量体(モノマー)に戻すことができる触媒反応を開発したと発表しました。

今回開発した触媒反応を応用できれば二酸化炭素を出す焼却処理をせず、効率的なリサイクルが可能になると期待されています。日本のプラゴミ総量は年間800万トンを超え、1人当たりのプラ容器ゴミは米国に次いで多いとされています。

研究グループによると、プラスチックのリサイクル率は86%とされますが、溶解して再び素材として利用する「マテリアルリサイクル」は21%で、63%は焼却処理して排熱を利用する「サーマルリサイクル」となっています。

ペットボトル用のポリエチレンテレフタレート(PET)は強いアルカリ性のもとで分解できますが、分解後は大量の酸で中和する必要がありました。最近新しい触媒反応としてリチウムメトキシドを使った分解方法が報告されましたが、大量の添加剤が必要となっています。

研究グループはPETが「エステル構造」と呼ばれる構造を繰り返している点などに着目しました。エステル構造をメタノールなどの低分子量のアルコールに置き換えることができれば、最終的には原料であるカルボン酸のメチルエステルとジオールに分解できると考えました。

そこでポリブチレンスクシネート(PBS)を使って多くの触媒候補をさまざまな条件で検討した結果、原子番号57の希土類元素ランタンの錯体が触媒として有効であることを突き止めました。

この触媒反応では90℃の温度下でPBSを4時間で原料であるコハク酸ジメチルとブタンジオールに分解できました。

この反応をペットボトルのPETで試したところ、150℃でやはり4時間で原料のテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールに分解でき、市販のペットボトルを使った実証実験でも同一条件で同じように分解できました。

研究グループは当面は縮合反応で合成されるプラスチックの分解の研究を進めるが、将来的には分解前のプラスチックよりも価値ある化学物質を作り出す「創造的分解」の開発にも挑戦するとしています。

安価な触媒と溶媒で反応は進むようですが、生成した原料エステルの用途があるのかは問題かもしれません。


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