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慢性骨髄性白血病の治療薬が続々と登場

2022-07-28 10:33:52 | 
私は若いころ血液検査で白血球数が高く、再検査になることがかなりありました。

高いといっても正常値の1.5倍程度でしたが、白血病ではないかとやや心配したこともあります。その後正常値を若干上回る程度で落ち着いていますので、これが私に体質なのかもしれません。

慢性骨髄性白血病は、骨髄の中で血液を作る造血幹細胞の遺伝子異常により、ガン化した血液細胞が増え続ける病気です。

この治療には進行を抑える分子標的薬の開発が進み、今年になっても新たな薬も登場し、長期間の服用が基本ですが再発の恐れが無ければ薬の中止も可能であることを示す研究結果も報告されています。

慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の中に異常なBCR-ABLというタンパク質ができ、ガン化した血液細胞を過剰に作り出す病気で、10万人に1〜2人の割合で発症するといわれています。

初期は目だった症状がなく、健康診断で白血球の数が多いことがきっかけで見つかるケースも少なくありません。進行すると正常な白血球や赤血球、血小板が作られなくなり、免疫の低下や貧血がひどくなるなどの症状が出てきます。

かつては有効な治療法に乏しく、3〜5年後に病状が急激に悪化して亡くなる人が大半でした。しかし2001年にBCR-ABLの働きを抑える分子標的薬の飲み薬が登場すると、病気の進行を長期間抑えられるようになりました。

BCR-ABLにエネルギー源になる物質であるATPが結合すると、ガン化した血液細胞が際限なく作りだされますが、この薬はATPの付着を防ぎます。同様の仕組みのクスリが次々と発売され、生存率は向上しました。

1982年以前に診断を受けた患者の推定8年生存率は15%以下でしたが、2001年以降は87%と大幅に改善したとする海外の報告もあります。ただしBCR-ABLが変形して薬が結合しづらくなるなど、治療効果が低下することもあるようです。

こうした場合、別な薬への切り替えや休薬も検討します。2022年5月に公的医療保険が認められたセムブリックスは、従来と異なるBCR-ABLの部位に付着し働きを抑え、2種類以上の薬を使っても効果が得られなくなった患者を対象に使われます。

治療が功を奏して、ガン化した血液細胞が一定期間ほぼ見つからなくなった患者には、薬の中止を試みることもあります。国内の臨床試験で、薬を1年以上中止しても半数以上が再発しなかったとする報告も複数あります。

この様に骨髄性白血病は治癒可能な疾患となりつつありますが、問題は薬剤費がやや高額で受診1回あたり支払う医療費は平均6万4000円となっています。このあたりも薬を中止する試みが研究されている背景にあるようです。

骨髄移植しか完治する方法の無かった病気が、飲み薬で治療できるようになったことは大きな進歩といえるでしょう。


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