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科学的根拠が貧弱すぎる機能性表示食品

2024-05-19 10:36:08 | 化学
最近ドラッグストアに行くと、健康食品などサプリメントを含めた売り場が非常に広い面積を占めています。

私は基本的に通常の食事をとっていれば、不足する要素はないと思っていますので、こういった類を買ったことはありませんが、いわゆる健康ブームで売れているのかもしれません。

食品衛生法第4条には、この法律で食品とはすべての飲食物をいう。ただし医薬品、医療機器等の品質、有効性安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品はこれを含まないとあります。

要するに医薬品と医薬部外品以外は食品であるという事です。食品はさらに機能性を表示できる「保健機能食品」と表示できない「一般食品」に区分されます。いわゆる健康食品は多数ありますが、機能性が表示できないという意味ではあくまでも一般食品です。

トクホは消費者庁の審査を経た製品であり、許可された範囲内で保健効果を記載できます。トクホであることはヒトを対象に行った実験研究において、ある測定項目の差が統計的に有意であったことを意味しています。

しかしこの有意差が実用的に意味を持つものかどうかは考慮されていませんでした。たとえば食後の血糖値の上昇を数ミリ抑制する保険効果を持つトクホがあった場合に、これを食べることが将来的に糖尿病の予防につながるか否かは全く考慮されていないのです。

トクホは医薬品ではなく食品ですので、効果は小さくて当然です。その効果の小ささが消費者に十分伝えられていないことが問題です。

許可要件として健康の維持増進に寄与することが期待できるものであることさえ要求されていませんので、トクホの存在にどれほどの意義があるか疑問となっています。

機能性表示食品の表示しようとする機能性は、「目の調子を整える」「睡眠の質を向上」「疲労感の軽減」など、トクホでは認められていないものがいくつも登場しています。問題はこの科学的根拠が貧弱極まりない点にあり、表現に問題のある広告も既に出ています。

たとえば「内臓脂肪を減らす」と機能性を表示するヨーグルトの広告は、内臓脂肪面積の減少を図示していながら、体脂肪率が増加したことには言及していません。

その機能性はわずかなもので、食品とは本来そう云うものでありもし医薬品並みの「効果」を発揮したら今度は副作用が心配になります。

エネルギーや栄養素を適切に摂取することの重要性を覆い隠してしまうかのような「機能性幻想」は持つべきではありませんが、残念ながらこれとは逆に幻想をあおるかのような制度が次々につくられているのが現状といえるようです。


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